エピローグ
「…今日の話だけど、お化けは僕達が作ってるのかもって話。
あれね。最初に思いついたのは実は龍君のことがあった時なんだ。」
食事を食べ終えて、ハルが食器を洗っていると、珍しく、総一郎が手伝いに来た。
そして、お皿を洗いながら、真面目な顔でハルに言ったのだった。
「どいうこと?」
総一郎の言葉を聞いて、ハルは手を止めて、総一郎の方を見た。
「あの時、川田師範が龍君を道場に縛っていたって話したけど、もし、生きている人間にそんなことが出来るとしたら、恐ろしいなと思ったんだ。」
「恐ろしい?」
ハルは総一郎の真剣な表情を見て、少し怖くなった。
「うん。川田師範は優しかったからよかったけど、世の中にはもっと汚い、醜い強い「思い」を持っている人もいると思う。
そういう人の「思い」が化けて出たお化けとハルが出会ってしまったら…もしくは、日常的に出会ってるんだとしたら、怖くなって、心配になってね。」
総一郎も手を止めて、心配そうな顔をして話した。
ハルは黙って総一郎の顔を見て聞いていた。
「前にハルに軽はずみに「理解すれば、怖くないよ」と言ったけど、理解できない考え方を持っているお化けも少なからずいるはずだ。
だから、そういうお化けに出会ってしまったら、必ず逃げること。理解しようと頑張らないこと。
これを約束して欲しいんだ。」
そう言って、総一郎は右手の小指をハルに出した。
ハルも右手の小指を総一郎の小指にかけて、言った。
「うん!心配してくれて、ありがと!
分かった!約束するよ!
今まで、そういうお化けにあってるけど、逃げれてるから、心配しなくて大丈夫だよ!」
そして、二人は笑いながら、指切りをした。
ハルはお化けが見えることをこんなに心配されたのは初めてだったので、嬉しかった。
翌朝、ハルは学校の準備をして、自室から一階に向かうと、階段下にハイテ君が待ち構えていた。
ハルは笑ってハイテ君に言った。
「おはよう!ハイテ君!出迎え嬉しいけど、掃除もちゃんとしてね〜」
ハイテ君はハルの言葉を聞いてか、慌てて、周囲を掃除し始めるのだった。
終わり




