ジューショクです!
依頼とやらはこうだ。
この近くにあるシンラの森。その中央に位置する池の畔に薬草が生えているという。
それを摘んでくるということらしい。
依頼人は近所に住む魔術師。
ご老人の彼にはそこへ至るのが難しいとのことでの声かけだ。
月の塔への依頼金は若干お高めらしい。
金額は……というと。
「えーっと、8万Gですねー」
とミコトさん。
泊まっている宿は一泊100G。僕たちの世界でいうと1000円といったところだろうか。
確かに割の良い依頼だ。しかも日帰りでいける。
んー……これを3人で割って……。
借金……うーん、気長にやるしかないかなぁ。
「そういえば」
僕はふと思った。
シャイラはクレリック。ゲームの中では神の力を借りて回復術を行っていた。
この世界での信仰を持たない彼女はどうなるんだろう。
「シャイラって回復術は使えるの?」
「試行錯誤の結果使えるようになりました! あたしのお父さん、お寺の住職なんです」
「ジューショクってなんだ?」
とマルシーン。
「えーっとぉ……個人経営の教会の神官です!」
いやいや、そうじゃ……まあいいか。
「こっちでそれ使えるんだ……」
思わずつぶやくと、シャイラが笑いながら言った。
「あたしがそれ、一番ビックリしてます!」