第7話 魔法の特訓
少し遅れました。
申し訳ございません。
その後、他にも重要な話をした後、レフィアさんは部屋から出て行った。
レフィアさんは明日から魔法の稽古をつけてくれるらしい。
緊急の依頼があった時は、稽古をつけれないが、それ以外の時は毎日、稽古をつけてくれるようだ。
レフィアさんは風系統の魔法が一番得意で、炎系統の魔法が一番苦手らしいが、それでも使える炎系統の魔法は俺よりも多い。
「さて、魔法の特訓をするか。」
宿の部屋の中で訓練するのに、炎系統の魔法は使えない。
なので、レフィアさんが最も得意な魔法属性の風系統を特訓することにした。
土系統だと部屋が汚れるし、風系統は汚れない代わりに威力が高めなので物が壊れる可能性がある。
水系統は一番攻撃力が低いが、物が濡れることがある。
他系統だと威力が高すぎたり、危険性が高いものが多い。
唯一、回復系統は汚れないし、何かを破壊することもないが、けがをしてない状態で使うのは危険らしい。
まず、魔力霧散体質のせいで回復系統は使えすらしないが。
「『接続、我が魔力は世界に浸透する。』『風よ、集まれ。』」
俺が使ったのは風を集めて小規模の渦をつくる『つむじ風』だ。
『つむじ風』は第二階位魔法に分類される魔法だ。
魔力操作の訓練として、風の渦の回転速度を上げていった。
集める風の量を増やしすぎると、部屋の中の物を巻き込みかねないので、回転速度を上げることしかできない。
「『渦巻け!』」
多分、今の『つむじ風』を触れば、手が巻き込まれてぐちゃぐちゃになるだろう。
そのあまりの威力に部屋の中の物がカタカタと震えだした。
俺はこれ以上は危険だと判断して、『つむじ風』の回転速度を抑え始めた。
「やべっ!『逆に渦巻け!』」
今度は逆回転の『つむじ風』を発生させて、強大になりすぎた『つむじ風』を相殺していった。
数分後、ようやく『つむじ風』を相殺しきった。
「はぁ~、疲れたぁ。」
俺はベッドに倒れこんで、ぐたーっと体から力を抜いた。
レフィアさんと会ったことや話したことから、集中力が乱れていたみたいだ。
「・・・綺麗だったなぁ。」
俺はレフィアさんの姿を思い出した。
銀色に輝く長髪に、エメラルド色の瞳、スラッとしたプロポーション、非常に綺麗だった。
その綺麗さとあまり表情が変わらないことが、ミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
「・・・特訓の続きをするか。」
俺は煩悩を頭から追い出し、風系統の魔法の特訓を続けた。
もちろん、周りに被害が出ないように気を付けてだが。
――――――――――――――――――――
【レフィア】
「・・・リューの力なら。」
私は、陽だまりの宿を出た後、宿泊先の『花弁の館』に向かっていた。
リューの魔法技術を身に着けることができれば、私の目的に一歩近づくはず。
リューの体質は元々、私が魔法を一切使えなかった原因であるあの体質と同じもの。
私よりも魔力霧散体質が強いように思えたのに、リューが私と同じ体質のままで魔法を使えることにはとても驚いた。
私も一生懸命、あの体質が治る前に魔法を使おうと頑張ったけど、うまくいかなかった。
結局、父様と母様が手を尽くしてくれたおかげで、体質を直すことができて、魔法が自由に使えるようになった。
「明日からどうやって教えよう・・・」
私は、風系統の魔法を感覚的に使えているから、魔法の教え方がわからない。
教えられることと言ったら、昔、母様に教わった特殊な魔力の練り方しかない。
でも、エルフの魔力親和性あってのものだと、母様は言っていた。
「ほんとにどうしよう・・・」
あの技術が教えてほしくて、つい稽古をつけると言ってしまったけど、私はそこまで魔法について詳しいわけでもない。
「急ぎすぎたかも・・・」
母様や父様にも目先のことにとらわれやすいと注意を受けたことがあった。
今回も目先のことにとらわれて、先走りすぎたかもしれない。
リューがキラキラした目で期待してるようだったから、あまりがっかりさせたくはなかった。
「うぅ・・・何か、考えないと。」
私は何か、いい特訓方法がないかと、エルフの里にいた時のことを思い返し、明け方までずっと頭を悩ませることになってしまった。
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