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第6話 新しい出会いと恋

ヒロイン登場はいいんですが、描写が難しい!

拙い表現で申し訳ありません。

「んんっ?・・・ここは?」


周りを確認してみると、少し見覚えがあるし、俺の荷物がすぐそばにあった。

ということは、ここは陽だまりの宿の俺の借りている部屋になるだろう。


「痛っ!」


左腕を確認してみると、俺の左腕はもう存在しなかった。

服は新しく着替えさせられているが、左腕の袖はペシャンコで何もないことが俺の左手が完全になくなったことを分かりやすく教えてくれている。

ベッドを降りようとした瞬間、部屋の扉をノックする音がした。


「・・・どうぞ。」


「リューくん!」


バタンッと部屋の扉を勢いよく開けて中に入ってきたのはミリーちゃんだった。

ミリーちゃんはそのまま俺に飛びかかってきた。


「私、気をつけてって、言ったでしょ!?」


「あれは、事故だよ、事故。」


「何が事故よ!左腕をなくしてるじゃない!」


ミリーちゃんは俺のなくした左腕の方を見て、泣きそうな表情でそう言った。


「あのくそ熊が出てくるのが悪いんだ。俺、予知なんてできないし、冒険者だったら、こんなもの当たり前だって?」


「リューくんは私より年上でしょ!リューくんの人生はまだまだ続くの!」


「運が悪かっただけだよ。当分は仕事はなしかな。初っ端からつまづいたというのはなんか馬鹿みたいだけど。」


俺は左腕に関してはあまり後悔はしていない。

あのくそ熊には恨みがあるが、あのくそ熊は何かに頭を貫かれて死んでしまったので復讐の仕様がない。


「あ、そう言えば、俺どうやって助かったんだ?」


「それを今聞く?私、リューくんが心配で泣きそうだったんだけど?」


ミリーちゃんがちょっとむくれた表情でこちらを見てきた。


「あぁ、ごめん、ごめん。」


「もう・・・まぁ、気になるよね。驚かないでね?『弓聖姫(アルテミス)』様があなたを助けてくれたの。私はすごい驚いたよ。あの『弓聖姫(アルテミス)』様があなたを背負って、この宿に来たんだから。」


「『弓聖姫(アルテミス)』って、誰だ?」


「えぇっ!?」


俺は『弓聖姫(アルテミス)』というのが誰のことを言っているのか、分からなかった。

なので、ミリーちゃんに聞いたら、すごい驚かれた。

多分、冒険者の二つ名だとは思うが、俺はこの街に来たばっかりなので知らないのも無理はないと思う。


「『弓聖姫(アルテミス)』様はこの街最強のSランク冒険者よ。私と同い年くらいなのに、すごいお強くて、しかもエルフということもあって、すごい綺麗な方なの。」


「へぇー。それは会ってみたいな。まぁ、お礼を言わないといけないし。」


俺も男だから、その『弓聖姫(アルテミス)』がどれくらい美少女なのか、気になる。


「ほー、やっぱり、リューくんも男の子なんだねぇ。」


「ま、そりゃあね。」


そう言った瞬間、ちょうど部屋の扉がノックされた。

ノックしそうな人と言えば、ミリーちゃんと他の従業員くらいだ。

ミリーちゃんを探しに来た従業員の可能性が高いだろう。


「どうぞ。」


扉を開けて、部屋の中に入ってきたのは、宝石という表現すら拙い表現になるほど、白銀の凄まじい美少女だった。

後ろで一つに結んだ髪が歩くことに合わせてゆらゆらと揺れているその様は俺にまばたきを忘れさせ、目を離すことができなくさせた。


「『弓聖姫(アルテミス)』様!?どうして、ここに!?」


「この人が『弓聖姫(アルテミス)』!?」


美少女とは言っていたが、まさかここまでとは思わなかった。

姉であるリディアも前世基準なら、世界最高峰の美少女だと言えるが、これは違う。

そんな領域に収まらない。

彼女に微笑まれたら、どんな人でも性別や性癖関係なしに惚れてしまうだろう。

俺も彼女に一目惚れしてしまった。


「よかった。無事だったんだね。」


「は、はいっ!」


とっさの返事で声が裏返ってしまった。


「ごめんね。助けた時には、もう左腕は・・・」


「あ、いえ、大丈夫です。僕は魔法師ですから、左腕がなくても戦えます。といっても、まだまだ弱い方なので、当分は特訓ですが。」


ついつい、貴族時代の口調に近い口調に戻ってしまった。


「今の階位は?」


「辛うじて、第三階位魔法師(ドライマギカ)です。」


「・・・あれで第三階位魔法師(ドライマギカ)?」


彼女の何かを考えこんでいるその姿はまるで彫像のようだ。


「・・・なら、私があなたに稽古をつけてあげようか?」


「「えっ!?」」


思わぬ提案に俺とミリーちゃんは驚きの声をあげた。

イブリス最強の冒険者である『弓聖姫(アルテミス)』が弱小魔法師でFランク冒険者の俺に稽古をつけてくれるというのは破格の提案だ。


「い、いいんですか、『弓聖姫(アルテミス)』さん?」


「いいよ、それと、宿屋の子、少し大事な話をするから、この部屋の外で待っていてくれる?」


「は、はいっ!分かりました、『弓聖姫(アルテミス)』様!」


ミリーちゃんは慌てて、部屋を出て行ってしまった。

一目惚れした相手も2人きりという状況は少し気恥ずかしい。


「『弓聖姫(アルテミス)』さん、大事な話とは?」


「レフィアでいい。それと口調は楽にしていい。さっきの続きになるけど、あなたに私が稽古をつける。その代わり、あの魔法を教えて。」


「口調についてはご勘弁を、僕のことはリューとお呼びください。それとあの魔法とは?」


「ベルゼベアに放った魔法のこと。」


「ベルゼベア?あのくそ熊のことですか。」


憎きくそ熊のことを思い出して、ちょっと言い方が荒っぽくなった。

俺はあの憎き熊の名前がベルゼベアということを初めて知った。


「あのくそ熊、そんなに強いんですか?」


「ベルゼベアはSランクの魔物。」


Sランクの魔物と言えば、小さな街なら壊滅できるレベルの魔物だ。

普通の街なら、壊滅はしていないだろうが、半壊はしていた可能性が高かった。

あのくそ熊がそんな化け物とは知らなかった。


「でも、あの魔法でベルゼベアはかなり弱ってた。」


「私は第三階位魔法師ドライマギカです。冒険者でも魔法専門なら一番階位が低いと思います。おそらく、見間違えでしょう。」


「ベルゼベアにまともに傷を負わせるのには、最低でも第四階位魔法(フィーアマギ)でないと無理なはず。」


確かに思い返せば、かなりの魔力量と体毛の厚さだったが、相性が良かったのか、炎で燃えていたはずだ。


「いえ、そんなわけないでしょう。僕が使ったのは、威力は重視したとは言え、第二階位魔法(ツヴァイマギ)ですから。」


「あれで、第二階位魔法(ツヴァイマギ)?どんな方法を使ったの?」


「うぇっ!?」


レイフィアさんが俺の隣に座り、近くに寄ってきた。

興味津々といった感じの様子だが、健全な男子にはちょっと刺激が強すぎる。


「わ、私じゃないと発動はできても使用自体はかなり厳しくなりますが、大丈夫ですか?」


「もちろん、私が使えなくても、約束は守る。」


「・・・あれは魔力暴走の応用というより亜種になります。魔力の制御をわざとあいまいにして、属性を保ったまま、魔力を暴発させました。ただ、それだけだと威力が多少上がるだけです。僕は魔力の精密な操作は得意なので、暴走させた魔力自体を強制操作することで炎を収束させて威力を高めています。魔法名は『炎破(フレア)』、僕が使える魔法で最高威力の魔法になります。」


俺自身、かなり滅茶苦茶なことを言っているのはわかる。

暴走させているのに制御するというのは矛盾している。

事実、できてしまったのだ。

俺は魔力も少ないし、体質上、魔法を使うには魔力の操作をかなり鍛えなければいけなかった。

魔力の操作という点だけでは、トップクラスにいると自負できる。


「暴発させた後、一部の魔力を制御するということ?」


「そうなります。ただ、暴走させているだけあって、制御できてもほぼ確実に自分もかなりのダメージを負うことになります。」


「なら、あなたはその魔法をなぜ使っているの?」


もっともな疑問だ。

なぜ、そんなデメリットの多い魔法を使っているのか、不思議だろう。

それは俺の特異体質にあった。


「僕は魔力が霧散する体質なんです。自分に近い位置に存在する魔法や魔力が霧散して操作がかなり厳しくなります。いくら魔力が少ないとはいえ、一応、第四階位魔法(フィーアマギ)を使えるくらいの魔力ならあります。それでも、第三階位魔法(ドライマギ)で限界なのはそれが理由です。」


「私も昔は魔力が霧散しやすい体質だった。」


「どうやって、直したんですか!?」


さすがに聞き捨てならない。

レフィアさんが今、ベルゼベアを倒せるほどの魔法を使えるということは体質はもう直っているはずだ。


「エルフの秘術。体質、直したい?」


「それは・・・直したいです。」


この体質が治れば、あのくそ家に復讐することに一歩近づく。

兄さんと姉さんには復讐する気はないが、あのくそ親父やそそのかした家臣どもに、場合によっては母さんにも復讐をするつもりだ。

魔法が多少使えないだけで、家を追い出されたのだ。


「・・・ごめんなさい、今はできない。私が目的を達成したら、父様と母様に頼んでみる。」


「分かりました。」

お楽しみいただけましたか。

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