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第4話 イブリスと冒険者ギルド

人の口調って本当に難しい!

ちょっと訂正しました。

家を出てから、数日が経ち、俺は既に12歳になっていた。

追っ手が来なかったのは、エドワード、いや、兄さんのおかげなのか、それとも、ゼブリストが情けでもかけたのか。

まぁ、どちらでもいいが、追っ手が来なかったことは幸いだった。

途中で魔物と呼ばれる魔法を使う化け物に襲われそうになったが、魔法で撃退したり逃げる羽目にもなったが、食料も結構な量があり、空腹に困ることはなかったのでまぁまぁ快適な旅ができていた。

前世の記憶はそこまで戻っていないが、サバイバルでもした経験があったのか、そっち方面の知識がある程度あった。

今いるのは、カインズ王国とレントセリア連合の国境を越えたあたりだ。

遠くには、小さな町が見えてきていた。

地図を確認すると、町の名前はイブリス、レントセリア連合の重要な防衛拠点の1つだ。

それでもイブリスを囲っている街壁はかなり薄いが高さだけは立派だ。

魔法を使わなければ、物体を変形できないということもあるので街壁を作るのにもかなりの労力がいる。

それと街壁を分厚くするよりも魔法をかけて強化する方が防衛力が高いというのもあった。


「急ぐか、今日はきちんとしたベッドの上で眠りたい。」


俺はイブリスに向かって、全力で走り出した。

魔力量の代わりに身体能力は高い方なのでこのまま走り続ければ、あと数時間でイブリスにつくだろう。

そのまま数時間走り続けていると、ようやくイブリスの門にたどり着いた。


「身分証を提示してください。」


「あー、身分証はないな。どこかで落とした。」


「はぁ・・・では、仮身分証を発行します。銀貨1枚お願いします。」


俺はお金が入った革袋の中身を初めて確認すると、金貨が9枚と銀貨が100枚入っていた。

この世界の硬貨の価値は安いものから順に銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒金貨になる。

銭貨100枚で銅貨1枚という形で、100枚ごとに1つ上の価値の硬貨になる。

国ごとに硬貨の絵柄が異なるが、価値はそのまま等倍、国が違ったとしても銅貨1枚なら銅貨1枚で交換できる。

白金貨と黒金貨は一般人が見ることはめったにない。

黒金貨は国同士の取引、白金貨は貴族や商人の取引レベルでないと使われないからだ。

それはともかく、俺は革袋から銀貨を1枚取ると門兵に渡した。


「はい。」


「これは・・・イブリス硬貨ですね。」


「何か問題が?」


「いえ、問題はありません。お名前は?」


「リューテ・・・いや、リューだ。」


「リュー・・・はい、これが仮身分証になります。ギルドに登録すれば、身分証が手に入ります。その時に受付に仮身分証を渡してください。」


「分かった。」


俺は門兵から仮身分証をもらい、イブリスの中に入った。


「ようこそ、イブリスへ。」


門を通ると、活発な雰囲気の街並みが見えた。

結構発展しているようで、人の行き来がかなり激しい。

俺がまっすぐ向かったのは、宿屋だ。

兄さんがかなりの金額を持たせてくれたおかげで、当分、生活に困ることはないだろう。

久しぶりのベッドなので多少いいベッドで寝たいところだった。

ちょっと高級そうな宿屋『陽だまりの宿』に入った。


「いらっしゃいませ!御宿泊ですか?それとも、お食事ですか?」


「宿泊だ。」


宿屋に入った瞬間、声をかけてくれた女の子は結構かわいい女の子だった。

だが、姉のリディアで美少女には見慣れているので、そう大して興味はわかなかった。

ただ、雰囲気補正というのと活発な印象というのが花のような印象を抱かせる。


「はい、宿泊日数はどれくらいですか?」


「えーと、1週間程で頼む。」


「はい、えーと、銀貨3枚と銅貨50枚になります。それと食事は別料金になります。」


1日の宿泊代金は銅貨50枚らしい。

銭貨1枚は日本円で約1円になるので、1日の宿泊代金は約5000円になる。

食事なしということがないと考えると、前世を基準にすれば、かなり安いだろう。


「分かった。銅貨の持ち合わせがないから、銀貨4枚で頼む。」


「はい、銅貨50枚と部屋の鍵です。部屋は201号室です。」


「ありがとう。」


俺は部屋の鍵と銅貨50枚を受け取り、銅貨を革袋に入れた。

女の子は何かを書こうとして、ぴたりと動きを止めた。

俺は何かあったのか聞こうとすると、女の子の方から声をかけてきた。


「えーと、お名前は?」


どうやら、名前を聞くのを忘れていたらしい。


「リューだ。」


「はい、リューっと。それではごゆっくり。」


「あぁ。」


俺は部屋に入り、荷物をベッドの上に放り投げた。

お金が入った革袋と仮身分証を持って、宿屋を出た。

ギルドで身分証を発行してもらうためだ。

ギルドは同じ職業の組合のようなものだ。

冒険者ギルド、商業ギルド、錬金ギルド、鍛冶ギルド、魔導ギルド、建築ギルドの6つが存在する。

冒険者ギルドは魔物や盗賊の討伐、護衛、雑用の依頼などを、商業ギルドは交通手段の確保や取引の立会人、物流の管理などを、錬金ギルドは魔法薬などの薬物や特殊な素材の作成などを、鍛冶ギルドは武器や金属加工などを、魔導ギルドは魔法を使える道具である魔道具の作成や新魔法の開発などを、建築ギルドは建物の建築や水道の整備などを行っている。

別枠として、農業ギルドや運搬ギルドなどもあるが、これは商業ギルドの方が統括しているのでまとめて商業ギルドとして扱われることが多い。

一応、俺は冒険者ギルドに入る予定だ。

基本的に冒険者となる奴らは魔法専門でも第四階位魔法(フィーアマギ)が使えれば、十分な実力を持っていると判断されるらしい。

俺は攻撃系の魔法はほんの少ししか使えないが、あの宿に継続的に泊まるレベルに稼ぐ分には多分、十分だろう。

第二階位魔法(ツヴァイマギ)までしか使えない奴も結構いると聞いている。


「ここが冒険者ギルドか、案外大きいな。」


冒険者ギルドは2階建ての一軒家3個分ほどの大きめの建物だった。

冒険者ギルドの中に入ってみると、予想通り、冒険者たちが飲み食いをしていた。

やはり、冒険者ギルドの1階は酒場のようなものになっているらしい。

登録のために受付の列に並んだ。

受付はやはり容姿のいい女性が多いようで、男性もいるにはいるが数は圧倒的に女性の方が多い。

少し待つと、俺の番になった。


「冒険者ギルド、イブリス支部へようこそ。」


「冒険者登録を頼む。」


「はい、登録ですね。身分証と銀貨1枚お願いします。」


「えーと、はい、これ。」


「これは仮身分証ですね。なら、銀貨1枚の方は結構です。それではリューさん、説明をさせていただきます。」


冒険者にはランクが存在し、下から順にF、E、D、C、B、A、S、SS、SSSとなっている。

ランクの上げ方は依頼の難易度ごとにポイントが決まっていて、規定以上のポイントが貯まると、昇格試験を受けることができ、それに合格できれば、ランクが上がる。

ただし、Cランクまでは昇格試験はなしで、ランクが上がる。

依頼の受け方は依頼ボードがあるから、そこにある依頼を勝手に選んで受付に申し出て、依頼を受注する。

受けられる依頼の内容は、依頼にはランクが決まっているので、自分のランクより1個上と1個下の難易度

規則としては、冒険者同士のいさかいは禁止、決闘の場合はギルドを立会人にして行うこと、依頼に関しては自己責任、法に違反はしないということだけだった。

なぜそんなに少ないのか、理由を聞いたが、冒険者に細かいルールを決めていても破る奴が多いかららしい。

最近は守る人も増えてきたが、それでもまだ少ないらしい。


「・・・以上で説明は終わりです。何か質問はありますか?」


「特には。」


「それでは、登録いたしますので、そこの魔道具に手を置いてください。」


手の形にへこんでいる魔道具が受付のところにあったので、それに手を置くと、キィンと魔道具から音が鳴った。

すると、その魔道具から認証タグのようなものが出てきた。


「これが冒険者タグになります。」


「ありがとう。」


タグを確認してみると、名前とランク、それとシリアルナンバーか何かなのか、数字と文字がランダムに書かれていた。


「あ、お金を預けたいんだが。」


「あ、はい。」


ギルドにはそれぞれ銀行のような機能がある。

お金を預け、同じギルドならば、どの支部でもお金を引き出すことができる。


「いくらお預かりしますか。」


「これに入ってる分、全額で。あ、革袋は返してくれ。」


「分かり・・・えぇっ!」


受付嬢は革袋の中身を見て、驚いていた。

失敗してしまったかもしれない。

革袋の中には金貨9枚と銀貨80枚が入れていた。

それが大金であることは忘れていた。

受付嬢の視線が俺と革袋の中身を行き来しているが、俺は極力それを無視していた。


「・・・そ、それではお預かりいたします。」


「あぁ、よろしく。」


これで俺の手元に残ったのは銀貨15枚と銅貨50枚になった。

革袋が重すぎて大変だったが、これでかなり軽くなった。


「そ、それで依頼をお受けになりますか?」


「いや、今日は帰ることにする。」


「はい、それではこれからよろしくお願いします。」


俺は冒険者ギルドを出て、陽だまりの宿の部屋に戻った。

お楽しみいただけましたか?

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