雪つもりて新年
初雪は、なんだか可笑しい。
ふわふわと舞い落ちる雪空を見上げれば、まるで世界がリセットされるようで、街の景色が真っ白に洗濯されていくようで。
それならば、昨日までの世界は、どれほど穢れていたのかしらと、少しばかりの過去を辿っては、クスクスと笑みが溢れる。
だって、少しばかりとは言っても、昨日は大晦日、年を跨いだなら、それはもう立派な昔話で、私の18分の1が詰まった昨日までの一年は、なるほど、確かに、碌でもなくて。
憧れのキャンパスライフは、半分はリモートのみ、もう半分は、遅れたカリキュラムを取り戻すべく、缶詰のようにぎっしりと詰めこまれて。バイトとか、サークルとか、恋愛なんかも何一つ満足にできていないやと、思えば思うほど、ヤケを起こして、あんぐり口を空めがけて開いては、空から溢れた雪を、ぺろりと食む。
昨年の元旦なら、明治神宮まで足を運んで、友達の夢見るさんなんて、気合い入れて振り袖まで着ちゃって、汚さないように、屋台のたい焼き、リスみたいにちびちび食べて。それがなんだか可愛らしくて、ケラケラ二人して笑いあった。
今年はそうはいかなくて、代わりに日の出までzoomでおしゃべりして、恋話とか、今年こそはと、今年もやっぱり夢見るさんと、画面越しにケラケラ笑いあったり。
初日の出。
寝巻きにコートを羽織っただけじゃ、やっぱり寒い。
寝不足でコンタクトが限界だから、不本意ながら眼鏡して、庭に行くだけなのに、律儀にしっかりマスクして。
ニューノーマルって言うの?しっかり身についた自分自身も、なんだか可笑しいやと、苦笑い。
やめた、やめた。
だって一人きりの朝だもの。庭で一人、マスクなんてはずしてしまえ。ついでに眼鏡だって、朧げに見える世界で、今は十分なのだから。
初雪を踏む音、クキュクキュと鳴いて、なんだか愉快。
雪が浄化なら、目の前に広がる無垢なる世界は、振り返れば私の足跡で穢されている。
だから、朝日を待つ今だけは、もう少し振り返らずに夢みよう。
そんな白々しい景色も、目を背けた、無責任な幸せも、若い私は、きっと許される。
あけましておめでとうございます。
お嫁を夢見る彩は、今もちゃんと元気です。
知り合いの子から新年の挨拶メールがきまして。
文章も内容もいじってますが、青春だなあと遠い目をするそらとびです。
本年も宜しくお願い申しあげます。