11.総合研究所へ納品を
今日は4月1日すなわちエイプリルフール…何か嘘をつかないと…
…二日連続で更新します!
コミュニティールームからの移動も今回で何度目でしょうかね?
割と慣れてきたようなそうでもないような…。
いや、今回は前回と違う面では同じじゃないと言うべきかな?
確かに真っ白な病院のような壁や清潔感溢れる空間は同じだけど、前回と異なり総合研究所の入口ではなかった。
ではここはどこなのかな?
少し視線を移動させて確認していたけど解決の声は側ですぐにあがった。
「アンズさんはここ初めてかな?」
「いえ、一回来た事はありますけど確かロビーへ移動して来たのでこちらはどこかと思いまして。」
アンズの方がきょろきょろとしている挙動不審が激しかったようでフォローされている。
フォローした吸い殻さんも少し驚いた顔をしているけどすぐに納得した顔になり説明を続ける。
「あぁ、なるほど。確かにこのお二人様なら事前にあいつ等を倒してここに来ていても不思議じゃないか。」
カラカラと笑いながらこちらを見る。
いや私だけが暴力的なわけじゃないですよ?
アンズも必要とあらば平然と手を下しますよ?
…私よりも残酷に。
ひどい誤解だと思うけど訂正しても無駄なような気がするので言葉にだすのはやめておいた。
こういう時のためにおしとやかさで偽装しているのだろうからね。
私が眉をひそめると吸い殻さんがコホンとわざと咳をして話を進める。
「ここは総合研究所の二階らしい。まあ実際に俺達も来るのは初めてなわけだが、条件としてはコミュニティールームに参加しているとこっちへ移動になるらしい。」
なるほど、私は窓の側までよって下を見てみる。
確かに二階であるらしく、下には駐車場と数台の救急車と装甲車が停車している。
そしてここも同じように受付のNPCがいるけど…どうやら個室になっているようだ。
「まあ獲物の分け前の相談をするなりとことん喧嘩するなり好きなようにしろというスペースという事だな。ここの運営にしては珍しく心配りができているじゃないか?」
「全くだな。おっといかん。とりあえず納品してくるけど本当に均等割りでいいんだな?」
サカキさんが笑うのを止めてこちらを振り向いて来る。
それに対して私もワズンさんも頷く。
「それじゃあまあさくっと納めてくるな。少し待っておいてくれ。」
私達の承諾を確認したサカキさんはカブトエビもどきのような化け物を抱えるながらNPCに話しかけている。
話し終わると横のベルトコンベアに化け物を載せる。
するとコンベアが回り出し化け物の亡骸は部屋の奥へと回収され消えるのだった。
そしてしばらくすると私の目の前にコンソール画面がパッと表示される。
周りを見ると興味深げに見えない何かを操作している事から他の人にもコンソール画面が表示されたのだろうね。
…アンズのは見えるからフレンドだと表示されるのかな?
役に立つかは知らないけど覚えておこう。
さて内容はどうなっているのかな?
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【貢献ポイント付与】
・変異生命体(A): 300ポイント(生命体ポイント) × 0.8(保存状態)=240ポイント
ルームメンバー頭割りによる個人獲得ポイント
240ポイント÷8人=30ポイント
【今回の獲得ラインナップ】
・初期変異生命体の体液(L1) :10ポイント
・ラキュラスの甲殻:100ポイント
・ラキュラスの足 :20ポイント
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ラキュラスっていうのがこの化け物の名前かな?
前の猫…じゃなかった蛇はついてなかったけど何か条件でもあるのかもしれない。
うーん、交換できる物が増えたのは喜ばしい事なんだろうけど…。
ポイントが少なくないかなこれ?
参考までに前回のポイントを思い出してみる。
〈パラサイトスネーク: 3,000ポイント(生命体ポイント) × 0.4(保存状態)=1,200ポイント〉
…これより小さくて弱い蛇でもこれだったはず。
ひどい格差である。
ワールド毎のポイントのインフレーションが少年漫画並みにひどい。
周りを見てみるとそれを裏付けるかのような声が聞こえてくる。
「おーすごいっすよこれ!?30ポイントも入ってるっすよ!?」
ワズンさんがものすごく発狂しての大騒ぎである。
周りの人もそこまで羽目を外してはいないけどアンズを除いてすごくにんまりとした顔をしている。
「heavenのヨワヨワゾンビなんか完全状態でも5ポイントだったからな!これはでかいな。」
「確かnormalの学校の外のゾンビも体格によるけど10ポイント前後らしいからな?一体で三桁とかぶったまげたな。」
「瀕死状態でまだ死んでなかったせいか倍率が高かったのもいいよな。なんだよこいつ仮死状態になれるとか…気を付けないといけないよな。」
確かにコンソールで見た情報が全てではないと今回わかったのも大きかった。
私も死亡状態と表示された事で安心しきっていたからね。
油断大敵である。
そして…ポイントの格差の情報は出さないほうがいいよね。
私はアンズと違って空気が読めるから当然の配慮もできるのだ。