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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
7日目~9日目 normalワールド探索(下水道編)
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5.下水道探索

「それでお茶の介が先にスキルを取得したってわけか…、うらやましいな。」


「まあこれも危険な所へ先行した役得だと思っておけ。じゃあ軽く打合せするぞ。言うまでも無いけど小声でな。」


そう言うと円になり今後の予定について相談する。

便利なスキルを手に入れた事により、方針が変更になった。

正確に言うと目標が具体的になったと言うべきか。

そこら辺はお茶の介さんから説明がある。


「まずこのスキルによるとこの下水道の出口はここを含めて十二箇所あるらしくそれぞれに印が付いていてだ…。とりあえず近い所から当たって行くのがいいと思うけど?」


「それでいいだろうな、ゴールがあるというのはわかりやすくていい。」


それに対してアンズが一言思いついた事を遠慮がちに差し込んでいく。


「その印の中にここからまっすぐ行ったところにあるものはありますでしょうか?」


「確かに近くに一個あるけど…これが?」


お茶の介さんは首をかしげて聞き返している。

近場から当たるつもりならそこから行くつもりだったのだろうか?

けど、そこは…。


「…そうか、まっすぐ走ってここへ来たわけだからそこはプールの排水溝ってわけか。」


吸い殻さんの言った通りである。

わかっている以上は行く必要性は薄いからね。


「なるほど…ではそこを除いて一番近い所から当たってみるか。」







ギィっと鈍い金属音が小さく鳴る鉄扉を慎重にゆっくりと開いていく。

外を見た感じゾンビに囲まれてるとか化け物がいるとか…はないようだ。

ただ深々とした薄暗さとそれをチカチカと照らす僅かな灯りだけが存在している。


まずはランプ付きヘルメットをかぶったサカキさんを先頭に、次に新しくランプ付きヘルメットを手に入れたお茶の介さんが続く。

ちなみに部屋で集めたアイテムはヘルメットは分担し、アイテムはルームリーダーであるサカキさんが一旦預かりとしている。


私もランプが付いたヘルメットを、アンズも普通のヘルメットを渡されておりそれぞれかぶっている。

なるべく足音を立てないようにそろりそろりと下水道の側道を進んでいく。


「どうやら音反応なのは間違いないっすかね?何も来ないっすよ?」


「こらワズン、余計な事はしゃべるな。それでお茶の介どっちが近い?」


サカキさんがぼそぼそといさめながらお茶の介さんに確認を取る。

お茶の介さんは無言で右を指し示す。

それに従ってこっそりこっそりと足音をなるべく立てないように移動していく。


ゆっくりと足音を立てずに進んでいくと分かれ道と共に下水の上に架橋されている箇所がある。

下水道ではこういった所もあるだろうと事前に相談していた通り、ここで側道を進むのを一列から両側道の二列に変更する。

一列だと一瞬で全滅、逃げる際に困る、縦に長いと情報伝達が伝わりにくい等リスク分散も兼ねての事である。


お茶の介さんを先頭に下水の上にかかっている金属の架橋を足を立てないように渡っていく。

ちなみにアンズもあちらなのでここで一度お別れである。


…この決定にはひと悶着あったけどあえて語るまい。


私は頭を振って気分が暗くなる過去を追い出す。

そのままスキル持ちであるお茶の介さんを確認しつつ、ゆっくりと薄暗い下水道を進んでいく。


足音を立てないようにゆっくりと慎重に…。

基本慎重さで言えば男性陣の方が遥かに緊張しておっかなびっくり歩いているようにも見える。


…比較対象がピクニック気分でランランとしているアンズ(狂人)なのが原因かもしれないけど。


それでもしばらく進んでいくと左への曲がりがどの正面に丸い穴が見えてくる。

土管のような形状をしたコンクリートの穴でありここがスキルで印のついていた通路という事かな?


目的地が見えてきたせいか先頭のサカキさんも後ろからついてきていた男性陣も音を出さないようにほっとした息を吐く。

皆様大分(だいぶ)お疲れのようですね。


さて、こちらの側道だと土管へは一直線だけど向こう側のチームは下水を渡るか回り込んでこなければいけない。

まあ回りこむのでお疲れ様だなと思ってあちらを見てみると…。

あれ?

お茶の介さんが先頭で首をひねって慌てている。

あちら側の四人はお茶の介さんが先頭で止まって困っている事から何かもめているようだ。

何かあったのかな?

こちらでも私がおかしいと気付いたのかブラックさんが後ろから小さく声をかけてきた。


「どうかしたか?」


「あちらのチームが何か()めているような気がしまして。」


そう言うと向こう側のチームへと視線が移って行く。

まあ声は上げずに何か相談している形になっている。


「迂回してこっちに合流するのが面倒だからじゃないっすかね?」


「ワズン、下水を横切って合流したら音を立てすぎだろ。流石にあいつらもそこまではやらないはずだ…はずだよな?」


サカキさんそこはやらないと言い切ってあげたほうがいいんじゃないかな?

やがて揉めるのが終わったのかこちらに向いて各々何かを伝えようとジェスチャーをしてくる。

けど手振り身振りではさっぱりわからない。

むしろどこかにぶつけて音を立てるのが落ちになりそうなのでやめてほしい。

そんな中で一つだけわかる動きがあった。


「サカキさんすいませんがアンズの手元を照らしてくれませんか?」


「おう、わかった。」


アンズの手の動きに注目する。

これは羽山さん式のハンドサインかな?

よく見て解読していく。


「何かわかるか?」


「少し待ってくださいね…彼…あぁ、お茶の介さん。技、あれ…土管が、座標無し?違う、ポイント…位置が無し。なるほど。」


大体わかった気がするのでこちらのチームに展開する事にする。


「どうやらあの土管はお茶の介さんのマップスキルで表示されていないようなので困惑している…みたいです。」

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