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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
7日目~9日目 normalワールド探索(下水道編)
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4.下水道保守部屋集合

「何か仕掛けは無いかな?」


「そうだな…あっちからは棚を動かしてこっちからは押し倒すだけだと物音立ててしまうからな…。何かあればいいんだが。」


「サカキさん、こっちにレバーがありますぜ。」


小声でライトの光を頼りに調査しながらぼそぼそと小声で話しているのは私、サカキさん、お茶の介さんである。

用務員室の隣の給湯室のマンホールから降りた先が小部屋だったというのもあり狭すぎるため先行して調査しているのである。


…しかしこういう未知の場所の先行調査とか危険な事って男の仕事じゃないのかな?

女性の私が先行偵察ってどういうことなのか。

何か誤解を招かれているのかもしれない。


まあ後でそこは丁寧に解決するとして、今はお茶の介さんが見つけた金属製のレバーだ。

これが普通ならレバーを倒せば隠し扉的な要素で棚が動いたりすると思う。

けどそこまで常道を信用していい物だろうか?

人を裏切るようなイベントをやらかした運営の事である。


まあその事もあって二人とも悩んでいる事からきっと同じことを考えているのだろう。


「怪しい…動かしたくはあるけど。」


「本当にこちらの望むような結果になるか?ってところだよな?」


「…けど動かさないなら結局穴につながる棚を押し倒すしかないので音は派手に立っちゃいますね。」


やむを得ないと判断したのだろう。

サカキさんはお茶の介さんにレバーを動かすように指示する。


カコンっとレバーが落ちると穴を塞いでいた棚がカラカラと横に移動する。

その何も起きなかったあっけなさに三人そろって小さくため息をつく。


「取り越し苦労だったみたいですね。」


「あぁ、しっかし部屋の中も安全とは限らないから気を抜かないで行きましょうぜ。」


きょろきょろとしながらサカキさんを先頭に部屋に進入する。

部屋の中は前回と同じレイアウトである。

設置しているアイテムには変更があるらしく、例えば壁に掛けられているランプ付きのヘルメットは二個に減っており、ランプがついていないヘルメットが二個新たに設置されている。

…まあ一個は化け物だったわけだけどね。


「大丈夫そうかな?俺は上の連中に降りてくるように言ってくるわ。」


「お茶の介任せた。こっちは部屋の中を捜索しておく。」


「…捜索は全員そろってからの方がよくないですか?」


サカキさんがこちらに振り向いて苦笑する。

ヘルメットのライトは付けたままであるためこちらの視界が白く塗りつぶされブラックアウトする。

思わず体をのけぞらせてしまう。


「ちょ…まぶし…。」


「ああ、すまん。」


サカキさんは慌ててライトを消すと再度こちらに振り向いて来る。


「確かに人が増えた方が安全かもしれない。けど人が多すぎるとパニック起こす要因も増える可能性が高い。それにニミリさんなら万全の状態ならさっさと処理をしてくれそうな気がするからな。」


…それは女性に対する評価として如何な物だろうか?

と言いますか武器も持ってないのに…素手で化け物の対処できるとか思われてませんこれ?


「そうですね、そこら辺の評価は後で修正するにしましても部屋周りはさっさと確認しちゃいましょうか?」


「ああ、そうしよう。」


さてまずは天井と床下をチェック…特になし。

次に木棚は体を正面に置かないようにゆっくりと開けて確認していく。

何か飛び出してきても困るからね。


それで出てきたのは布の手袋が二個と巻きメジャーが一個。

とりあえずテーブルの上にポイっと乗せておく。


最後に前回化け物が潜んでいたヘルメットだけど…。

こちらは安全第一でやるとする。

床にヘルメットを落とし、その中を力いっぱい踏みつける!


幸いな事に肉を潰すような変な感触はせず、ただプラスチックの底とぶつかるだけだった。

…前回のケースはないから問題は無いかな?


そう思ってるとお茶の介さんが戻って来た。


「とりあえず全員降り始めた。…お、アイテムが日毎の短時間メンテナンスで戻るんだったらここ稼ぎ場だな?」


「安全にという意味では確かにいいかもしれないな?最もランダムでここにも何かでるかもしれないけどな。」


「そうだな…正直ヘルメットに擬態したカブトガニの化け物なんて予想できないっつぅの。…あれ?」


そう言うとお茶の介さんがテーブルの上のアイテムを手に取っていたが…テーブルを見ている。

何かアイテムに変な点とかあったのかな?


「何かアイテムに変な物が混じってましたか?」


「あぁ…ニミリちゃんか。いや、そうじゃなくてテーブルの上に紙が貼ってあってな。これって地図じゃないか?」


「え?」


よく見てみると確かに地図のような紙が貼られている。

前回はテーブルひっくり返してバリケードにしたせいか気付かなかったのかな?

灯りもチラチラと最低限だったし、よく見ないと気付けないのかもしれない。



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【下水道の地図(A)】


下水道の保守のために用意された下水道の地図

この地図には南鶴舞商店街、南鶴舞高校、中鶴舞通り、中鶴舞浄水場まで記載されています。



アイテム使用時間:2分

取得可能スキル1:下水道マップ(A) Lv1


スキル1取得確率:100%


重量:不明


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地図に触れるとコンソールが表示される。

これはスキル系のアイテムだね。

中々に有用そうなアイテムである。


「いいアイテムじゃないですか。今からでも役に立ちますよ。」


「そうだよな…しかしこれどうしよっか?俺が使うわけにもいかないし…。」


「何かあったのか?」


反対側を調査していたサカキさんが戻ってくる。

そして私達はスキルアイテムについて説明する。

少し考えていたけど原則は原則という事で決着がついた。


「見つけた物は原則発見者だからな。これの価値は計り知れないのが難点だが…とりあえずお茶の介使っておけ。他の奴から苦情が出たら俺から説明する。」


「うぃっす。じゃあ早速…。」


こうしてお茶の介さんは地図アイテムの使用を始めた。

使用中は身動きが取れないらしく固まってしまっている。

試しにサカキさんや私も声をかけてみたけど反応が無い。


「隙だらけになるのってまずいですよね?」


「スキル習得に時間がかかる物がある。その間はこうなるか…。それがわかっただけでもいい事だな。」


そのようなやり取りをしていると奥からカツンカツンと控えめな音が響き始める。

なるべく音を立てないようにひっそりと私達は集合していくのだった。

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