2.願い事
何でもと言われたら…。
とことんふざけた事を考えたい。
せっかく苦労したのだから何か全員がドン引きになるような、または全員が笑顔になるような…。
そんな都合のいいは選択肢あるわけないかな?
まあ配慮と常識で考えて優等生的な回答をすればいいんじゃないかな?
頭の中で軽くそろばんをはじくいた内容を口に出そうとしたその時である。
「ねえ、下水道に入る前に入手したアイテムはいいの?空き缶とかヘアピンはニミリのでしょ?」
「ああ、あれはあんたらのでいいぞ?ロッカーへのピッキングとかは個人技能によるものだから文句は無い。」
吸い殻さんの回答からして前半部分は私達が全部もらってもいいらしい。
すなわち私物…。
そこで私の中でカチカチとピースがはまっていく。
昨日取得したアイテム、願いを何でも叶えると言った無謀な人間、受けを狙うならどれが衝撃がいいか?
そして私は出した結論を正直に口に出す。
「それなら一つサカキさんにやってほしい事があります。それさえやっていただけるのならさっきの要望のヘルメットは今日の探索のため全て放出しますし、他のアイテムもこちらで持ち出した物以外は昨日の取得物全てを八人で均等割りで構いません。」
私の回答にサカキさんは少し眉を吊り上げて少し考えこむそぶりを見せる。
しかし好条件だったのか先を促すことに決めたようだ。
「こちらとしてはアイテムは貴重品だから全員に分配となれば…モチベーションも上がるし正直ありがたいのだがいいのかな?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「…それで条件とは?」
ここだ。
私は愛想よく不自然さが無いように極力ぼかして願い事を提示する。
「実は昨日、画期的なアイテムを一個見つけまして。…それをサカキさんに着用してプレイしていただければと思います。希少価値の高いアイテムですので損はしない良い物だと思いますよ?」
椅子に座っていた吸い殻さん、ワズンさん、アンズは首をかしげている。
そんな物あったっけといった顔だね。
…そのままサカキさんが承諾するまで沈黙しておいていただけると助かるかな。
「そんなアイテムがあったのか?吸い殻からは聞いてないが…わかったそう言う事なら…。」
全てうまく行く。
そう確信したその時だった。
「あ…そういやあれ…あーーーーー!そうかそう言う事か!いいじゃんサカキwそれ受けろよww」
吸い殻さんがとうとう答えに行きついて…腹を抱えて爆笑を始めてしまったのである。
これにはさすがにサカキさんも怪しいと思って慎重に考えこみ始めてしまった。
「おい、こちらが不安になる馬鹿笑いはやめろ。そして心当たりがあるんだろ?説明しろよ。」
「んーw。可愛い女性からのお願いなんだからまずは承諾すればいいんじゃないかw」
吸い殻さんは指さして爆笑、サカキさんは顔を引きつらせて警戒をどんどん引き上げていく。
…失敗か…残念だ。
「ねえニミリ…何をお願いするつもりだったの?」
「うん、それを説明するためにも…ごにょごにょ。」
アンズが私のひそひそ話を聞き終えるとプッと噴き出す。
想像してしまったのだろうか?
「そういうわけで悪いけど現物取ってきてくれない?」
「わかりました。すぐ取ってきますね。」
そう言うとアンズはそそくさと自分のマイルームへと戻って行く。
その間も拒絶状態に入ったサカキさんと笑いながら促す吸い殻さんの攻防は続く。
そしてアンズが目的の物を持って帰ってきたところで、視線はそのアイテムに釘付けになる。
「着用するアイテムはこちら女子高校生用のセーラー服です!」
私は勢いのままにサカキさんへ提示する。
セーラー服を見たサカキさんは呆然とし、きょろきょろして、そして叫び始める。
「ちょ!?お前!セーラー服って女子用だろ!?」
「ご安心ください。こちらの衣装アイテムは男女どちらも使用可能です。男女差別が無いって素晴らしいですね。」
そこへ吸い殻さんが会話へ乱入…もとい私とバトンタッチしてくる。
「やっぱそれか!サカキこれ着ろよ!目立つぜ間違いなく!」
「ふざけんな!完全に違和感バリバリの女装プレイじゃないか!」
「突き抜け具合がモノジーと互角になるぜ。これなら勝負になる事間違いないだろ?」
「最底辺決定戦に俺を推薦するな!」
他のきょとんとしていたルームの四人も事態を察したのかこの乱痴気騒ぎに介入してくる。
「サカキさん絶対セーラー服にあうっすよ!」
「ここで引いたら男じゃないですよ!俺達の分け前のためにその条件飲みましょう!」
「ちなみにノーパンって選択できます?」
「Tシャツからでもわかるような腹筋むきむきの結構マッチョなキャラメイキングですからその違和感だけで話題を鷲掴みですよ!」
もはや収拾がつかない。
いいぞもっとやれ。
「俺は絶対やらないからな!」
しかし、帰ってきた答えは拒絶だった。
残念だがこれでおしまいにしておくべきだろう。
「わかりましたお願いは無しにしましょう。後ヘルメットについては提供するので使って大丈夫ですよ。」
「ぜぇーーー。ありがたいけど…ゲームする前に疲れ切ってどうするんだこれ?」
…そんな事言われても困る。
私は要求に従って正直にお願いを口に出しただけなのに。
「じゃあ話はついたという事で…。じゃあアンズその制服渡して。」
「いいですけどどうするのです?」
そんなの決まってるじゃない。
衣装アイテムを使用するかコンソールが出たので「はい」を選択する。
すると私はポンっという軽い音と共に白い煙に包まれる。
すると一瞬で私の衣装はセーラー服姿に早変わりである。
そして手元には別のアイテムがある。
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【執事服(女性用)】
衣装アイテム
使用することで外見を変更可能。
胸元が強調可能な執事服。
下はミニスカート、靴は革靴固定。
女性のみ使用可能
重量:?グラム
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衣装アイテムって使うとどうなるか検証しておきたかったのよね。
そして使ったら前の衣装はアイテムとして残るらしい。
なるほどまた一つ情報を得た。
「わぁ、衣装ってそう変わるのですね。ニミリも二年前までは着ていたのですわね?」
「いや、私はブレザー…ってアンズ!人の年齢わかるような事言わない!」
私は咄嗟にアンズの頭にチョップを落とす。
潰れた蛙のような呻きをあげるが、情報流出は防げなかったようだ。
「…?という事はニミリちゃんもアンズちゃんも女子大生!?」
「馬鹿な年齢詐称無しだと!よければ現実でお付き合いを…。」
「ざっけんな!お前ら冷静になれ!ゲームの話をリアルに持ち込んでるんじゃねえ!」
ほら、プライバシーを露出した上に余計な騒乱を…。
アンズも少しは考えて発言を…いや、むしろわざとかな?
横を見るとアンズのしてやったりとする顔…。
前の分も含めて後で仕返ししよう、そうしよう。




