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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
6日目 normalワールド探索(学校編)
66/291

6.学校観光 その2

吸い殻さんを先頭に私達の案内も兼ねた学校探索は続く。

認識合わせのためとはいえ時間を取らせてしまい少し申し訳なく思う。


次に訪れたのは「2-3」と表札が書かれた教室である。

ガラッと扉を横に開いて中の様子を見ると、まあ辛気臭さでカビでも生えているのかといわんばかりに活気が無い。

机や椅子は積み上げられており、そのまま教卓付近に固められている。


その分空いた広いスペースには幾人かのNPCが座り込みボーっとしている。

試しに全員に話しかけても反応は似たり寄ったりである。


『いつ終わるの?いつ帰れるの?』


『のど乾いた…。』


『疲れた。誰も帰ってこない。』


とまあ大した情報は手に入らなかった。

先ほど思いついた事を実践しようにもどうやらここのNPCは違うようなので次に期待する。

そしてNPCへ打つ手がないとなると次の行動へ早速移る。


まずは教室の中をあら探ししてみる事だろうか?

ひょっとしたら何かあるかもしれない。


掃除用具箱はアンズが、窓の上の方に何か乗っていないかはワズンさんがそれぞれ探してみる。

私と吸い殻さんは椅子や机が積んであるところを何かないか探してみる。

手に取ると動かすことができたので移動させながら何かないか探してみたけど特にめぼしい物は見つからなかった。

そしてコンソールが表示されないという事は…この椅子は持ち帰れないようだ。

…そりゃあセーフエリアでノーリスクで持ち帰れたら面白みも何も無いし妥当だね。


全て動かし終わった後に一息つくと自然と雑談タイムに入る。


「一応俺らも見てみたんだけどやっぱり何もなかったな。」


「何か鍵とか隠してあってもよさそうなんだけどね?」


「と言うか何で力仕事を女性の私がやっているのかな?」


…確かアンズの推薦で…しまったはめられたか。

アンズがクスクス笑っているのが憎らしい。


まあ結果として探してみた所は安全なところでは何も収穫を得られないといったところかな?

しかし何か気付いたのかアンズがふと一言発する。


「椅子や机を動かせるなら外に積んでそれで道を作るというのはダメでしょうか?」


…あぁなるほど。

確かに机重ねて通路にしたり、外のゾンビに投げつけたりはできるのではないだろうか?

辺りを見回してみると…椅子も机も十に満たない。


「発想はいいっすけど数が足りないっすね?」


「他の教室ってどれぐらいありますか?」


「まあここと似たり寄ったりだな。」


あれこれ話してみたけどどうやら実現は難しそうだ。

しかしこういった駄目だったとしても新たな発想が出てくることが望ましいとかどこかで聞いたような?

それ自体がダメでも何かのとっかかりに…。

とりあえずここではセーフエリアの物も一応持ち運びできるという事がわかっただけでもよしとしよう。


その後残りの教室を巡り、同様に確認していくがやはりNPCの配置も物の配置も同様であり特に差は無かった。

私達は最後の確認ポイントである体育館へと向かう。






「さて、ここが最後だけど本当に何もないっすよ?」


heavenワールドでは賑やかに歓談していたNPCも存在せず、座り込んでいるNPCがちらほらいる程度である。

数も少なく、よく見たら持ち主がいないブルーシートや段ボールが敷かれている面積の方が広い。


「これって全部ひっくり返してみました?」


「さすがにそこまではやってないが…ああ、そうか移動させればこれも何かに使えるかもしれないな?」


その後NPCが座り込んでいる敷物以外は全てひっくり返してみたけどやはり何か裏にあるということは無かった。

…骨折り損になってしまい申し訳ない。


結局ここも特に変わり映えが無いかな?

全てひっくり返したものを元に戻して流石に疲れたのか四人そろって空いているブルーシートへと座り込む。


「さすがに疲れたね…。」


「俺達もここまでは探してなかったな…まあ何もなかったわけだが。」


カラカラと笑っているけどくたびれもうけで申し訳ない。

息を吐いて整えていると静かになったせいだろうか?

NPCの独り言もこちらまで聞こえてくる。


『ここもいつまで安全なのかねぇ…』


『俺も銃さえあればやれるのに。』


『おなかすいた…。』


やはり似たり寄ったりのスピーカーと化している。

RPGのNPCですら会話をすれば情報をくれるというのに景色の一部である。


…おや、希望が沿うNPCを発見ですよ?


「吸い殻さん、確認ですけどNPCってやはり話をしても反応変わらないでしょうか?」


こちらに振り向くと力無さげに首を横に振りながら答えてくれる。


「ああ、何度聞いても聞き方を変えても同じだったよ。やはりセーフエリア内はこれと言ってとっかかりになりそうなものはなさそうだな。」


聞き方を変えただけとなると…。

やはり物は試しだしやってみようかな?


「これって一度コミュニティールームとかマイルームに戻れって帰ってこれますでしょうか?」


「ん?戻ってこれるぞ。けど戻った時点でルームメンバーのログに載るからな。これを知らずにマイルームでさぼったやつが前に出てな…。」


なるほど…。

そうなると。


「ちょっと取ってきたい物があるので一度行ってきてもいいでしょうか?」


吸い殻さんもワズンさんもアンズも首をひねっているけど最終的には苦笑しながら許可をくれた。

早速コンソールを開いてエスケープを実施、するとマイルームまですっと転送される。


「おおっと、割とあっさり戻れるのね?」


そう言えば余裕をもってマイルームに戻ったのはこれが初めてかもしれない。

いつもと同じ無機質なマイルームだけど平和に戻れたことに少し感動する。


さて、感動するのはいいけどあまり待たせるのもよろしくないので目的の物を探す。

部屋の隅に放置してある荷物の山の中からアンズより返却されたカバンを取り出す。

確かこのカバンの中に…と、目的の物があったのでそれを手に取る。


後は戻り方だけど…?

どうすればいいのかな?


固定コンソールを操作すると…まあ戻るようなものは出ない。

とすればまた個人コンソールの方かな?

コンソールを開くとルームメンバーと同一のワールドに接続するという項目が増えている。


これを押せばいいはずと決めつけぽちっと押すと風景は切り替わりnormalワールドへと転送される。

私の予想通りの結果になり適当にやった事が正解である以上、文句は無い。

…なぜか初期位置であるグランドのど真ん中である以外は。


「融通利かせて体育館開始でいいのに!」


割とどうでもいい恨み節を吐き捨てると私は体育館へと駆け出したのだった。

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