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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
3日目~5日目 ゲームをプレイしない日々
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15.サークル小道具研究会


あの後の顛末を簡潔に話すとすれば何とか杏子の魔の手から逃げる事に成功した私は残骸を回収して離脱(エスケープ)に成功。

帰宅と同時に母にやはり怒られたということだけだった。


「なんで草や土だらけになって帰ってくるの!?子供じゃないんだから!」


…まあ言いたい事はわかるよ?

友人のお宅にお出かけして何でボロボロになって帰ってくるのか?

それも毎度のごとく。

少し理不尽さも感じるけどこちらも毎度のごとくへとへとなのでそのまま着替えるとぐっすりと眠ってしまったのである。


その翌日、アンノウンディザスターオンラインもメンテナンス日が明けて今日から杏子はプレイをする…はずだったのだけどまあ無理だろうねと思って放置することにした。

そうなると何をすべきかと考えると大学の小道具研に顔を出すことにした。

昨日浪費してしまった資材の調達が必要であるからである。

いつ何時使う事になるかわからないしこういうのは早い方がいい。


そう決めると私は母に大学に出かけることを告げて、電車に乗る事約数十分。

めったに来ない大学キャンパスへと私は足を踏み入れている。


既にオンラインで講義も試験も可能なこの時代に果たして大学キャンパスという建造物は必要なのだろうか?

そう思う事もあるけど割かし人はいっぱいいるようだ。


「おお、二味ちゃん珍しいね?人足りてないから合コン出ない?」


「二味じゃん?大学来るとか男漁り?」


かかってくる声が全て男女関係に関わるのもどうなのかなと思う。

…まさか大学に出会いの場を求めているとかないよね?

ここは学業を修める場であって…。


面倒だしどうでもいいや。

そもそも私自体まともに講義を受けてないのに学業とか片腹痛い。

それよりも変な事に巻き込まれる前にさっさと移動してしまおう。

私は講堂より少し離れた位置にあるサークル棟へと歩を進めた。


…逆に私が変だという事は無いよね?





さてやって参りました本日の目的地。

我が大学のサークル棟はまあ壁の色床の色はともかく汚れ具合…そもそも本当に使用しているのか怪しいぐらいに変わりがない。

ピッカピカであり逆に存在意義が疑われかねない。


「久々に来てみたけどどこも本当に変わらないね?」


まあ別の用途での使用が一時大問題になったことがあるらしいけど…その分監視の手が厳しくなってさらに利用者が減ったようだ。

その代わり映えの無い閑古鳥が鳴いているサークル棟で私が用があるのはこの中でもさらに端へ隔離された部屋…既にギュィーンとかバチバチとかどこの工事現場だと突っ込みたくなる騒音をまき散らしている部屋である。


…相変わらずここだけ別な事やってるようですね。

少し躊躇していたけど、次回の杏子宅に訪問する前に装備は整えておかないといけない。

私は意を決して扉をガラガラと横へ開く。


「ちわーす。マキちゃんいる?」


部屋の中は機械音だらけで聞こえてるか怪しそうだ。

大丈夫そうかな?

そう思ってたら近くにいた男性が鋼鉄製のマスクをつけたまま振り向き返答してくれた。


「真希絵さんですか?奥にいると思うんで呼んでくるっす。」


そう言うと奥に叫びながら消えていく。

バーナーを持ちながら移動は危ないような気がするけど郷に入っては郷に従えとも言うしもはや気にしまい。


「真希絵さん!お客が来てるっすよ?」


「えー?今いい所なんだけど。まあしゃあないか。お客様に飲み物出すよう誰かに頼んでおいて。」


そう言うと機械の山の奥からガチョンガチョンとパワードスーツを着装したマキちゃんが姿を現した。


「お、ゆりっぺじゃん?どしたの?また注文?」


「そうそう、発注したい物があってね。時間今いいかな?」


「うんいいよー。気前のいい出資者からの頼みは聞くよ。その上に面白いもの毎回頼んでくれるからね。作る方も楽しいさ。まあ詳しいことはあっちで聞くね。」


機械の山の奥に辛うじてポツンと空いている箇所の丸テーブルに向かい合うように腰かけ私達は雑談を始める。

…そのパワードスーツ着たまま椅子に座れるんだね?


「じゃあまずは依頼を聞こうか?」


「うん、前に作ってもらった自走式のホログラフ投影の自転車あったでしょ?」


「あー、あれね本人が乗ってるように見せかけるとか何のための機能とか思ってたけど割とあれ外部でも好評なんだよね。」


「あれ売れたの!?私ぐらいにしか需要無いとか思ってたけど。」


「うん、何でも投影する物を変えたら面白映像が一杯撮れるってことで結構注文入ったんだ。それ以外にも広告出して無人で走れるという事で宣伝用にも割とこちらでも売れたかな?」


「チンドン屋みたいな使い方かー…ここ小道具研だったよね?そこまで商売しちゃっていいの?」


「いまさらでしょ?けどねえ売れたのはいいけど問題もついてきちゃってね。」


「どんな問題よ?」


「ホログラフの出力あげて裸のマッチョ男のタワーのホログラフを投影したまま瀬戸大橋を走らせた馬鹿がいてね。公序良俗違反と道路交通法違反で逮捕者が出たのよ。そんでもって製造元のうちらもついでに怒られたと。」


「高速道路で馬鹿な使用したんだ…けどそれって完全に使用者の責任じゃないの?」


「まあ一昔前でも繁華街で軍用ナイフで連続通り魔が出たことがあって使った本人はともかくそういった商品を取り扱ってる店も怒られて規制されてたぐらいだからね。恒例行事みたいなものじゃないかな?」


「そっかー、まあそれ一つお願いね。」


むしろ高速道路でも使用できるし、そこいらの宣伝用としても発注が入る以上は自動運転は割かししっかりとプログラム組めているということだろう。

むしろ信頼性に箔が付いたので私は安心して購入できる。


「騒ぎが落ち着くまでは製造自粛しろと言われてたんだけど…まあいいかゆりっぺ用にこっそり作っておくね?今回も自爆装置つけとく?」


「あーそれなんだけど火薬量多すぎでしょ。さすがに乗ってる人がいたら死ぬレベルは避けてほしいかな?」


「…ちょっと待って。自爆装置使ったの?」


使ったというか使わざるを得なかったというかまあ不可抗力だねうん。

私は入れてもらったコーヒーを…なんか臭い。

コーヒーを飲むのを止めて苦笑して返答した。


「まあ使わざるを得なかったとだけ答えておきます。」


「そっかあ、まあ次はそこら辺も考慮しておくよ。」


そう言うとマキちゃんもカップを持ってコーヒーらしきものを一気に口に含める。

と思ったら次の瞬間噴き出した。

…しかも私の顔に。

しかもやっぱり私の勘違いじゃなく油臭い。

目の前でゲホゲホむせて苦しんでいるマキちゃんに確認を取る。


「ねえ、これって油よね?」


「ゲフォゴホ!うぇ…そうよこの味だと機械油のはずなんだけど…こら松田!なんでカップに油入れてんのよ!?」


…なんで味で油の種類がわかるのか?

突っ込みを入れたいのを我慢していると奥の方からごっついヘッドギアを被った男がのっそりと現れた。


「あれ、真希絵さんさっき潤滑油大量に用意しておけって言ってませんでしたっけ?それでカップに入れて出せって言伝を聞いたんですけど?」


「お客に出す飲み物に入れるな!第一カップに入れる時点でおかしいと思いなさい!」


「いやー真希絵さんなら使えるものを横着して何でもいいと言うから別に不自然なことは無いかなと…。」


このサークルの技術力は本当に中堅大学のサークルなの?というぐらい飛び出てるんだけど、頭のネジのはずれ具合もご覧の通り飛び出ているのである。

危うく巻き込まれそうになったけど回避できてよかったと思う。


…できてないですね。

私は松田さんから手渡された布で顔を噴きながらマキちゃんに話しかける。


「とりあえず水で口すすいで来たら?」


「それで落ちるかな?業務用洗剤でも口に放り込んで…」


「悪いことは言わないからやめておいたほうがいいわよ?」


結局この後落ち着くまでしばし時間がかかってしまった。

まあここではいつもの事だと思うしこれが日常風景となっているのだろう。

部屋の中も軽い笑いに包まれておりマキちゃんも根に持たずさらっと流してしまっている。

その風景に苦笑を浮かべている時である。

私のポータブルが着信音を鳴らしている。

誰かから電話かな?

ボタンを押して電話に出る。


『あ、ニミリ!今からでも遅くないからたすけ…』


そしてすぐに通話を切る。

その様子を見ていたマキちゃんがこちらに声をかける。

どうやら既に口の中の油の対処は完了したらしい。


「電話はいいの?」


「うん、間違い電話だったみたい。」


私は着信拒否の設定を入れるとポータブルをしまう。

さて商談の続きをしなければ。


「後はハンググライダーの修理もお願いしたいんだけど。」


「ねえ本当に何があったの?どこかで悪いことに使ってないよね?」


「悪い事には一切使ってないですよ?ニュースになってないでしょ?後頼みたい物として…」


私は次または次の次を想定して色々と提案していく。

その中からマキちゃんが実現可能そうなのを拾い集めて見積を作成していく。


「とりあえず一月もあれば大抵仕上がると思うよ?お金の方はこれだけかかるけど大丈夫?」


見積の内容と予定される成果物の内容を確認して問題ないと判断する。

むしろ他へ持ち込んだらさらに高額をふっかけられるかそれ以前に依頼を受けてくれないだろう。


「うん、問題ないですね。とりあえずいつも通り一括前払いで払っちゃいますね。もし足が出そうなら相談してください。ある程度は出しますね。」


杏子の父からいただいたお小遣いの八割は消えてしまったけどこれは必要経費である。

すぐに小道具研の口座に入金する。


「入金確認っと♪まいどありー。ゆりっぺはいつも一括前払いで助かるよ。」


「まあ無理させちゃってますからこの程度はね。仕上がりの方は期待してますね?」


「そっちは心配しなくても大丈夫だから任せておきなさいって。」


マキちゃんの自信満々の回答に私は満足する。

そして用事を終えた私は小道具研を後にするのだった。

本項で3章は終了になります。

4章は書きあがり次第また随時投稿していきたいと考えています。


…正月休みが終わってしまう。

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― 新着の感想 ―
[一言] つまり杏子の写真でパパンから稼いでその額で逃走用装備を用意すると …やはりパパン〆るのがニミリを逃がさない最適解なのでは?
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