6.veryhard 開始位置
杏子に圧された私は一度それぞれのマイルームへ戻った後にまた私のマイルームへ集合した。
集合したアンズは期待に満ちたニコニコ顔に戻っている。
…いや、これは最後の希望を託したあきらめの裏の顔かもしれない。
それにしてもこの笑顔を現実でやったら男がダース単位で軽く落ちそうなんだけどね。
「お待たせ、さあ行こうすぐ行こう!」
テンションも高くて結構である。
この無邪気さ…実にうらやましいものである。
「じゃあ「veryhard」でいいんだね?」
「うん、時間もないし早く行きましょう!」
私は先ほどと同様にコンソールを操作してオープンワールドを選択する。
「heaven」のチャンネルはさっきまで六つだったのに八つへ増えている。
急遽サーバを増設したのかもしれない。
運営会社の皆様本当お疲れ様です。
そして他の難易度は相変わらず快適のままである。
私はそこで何か引っかかる。
あの温すぎる「heaven」に嫌気がさして移動するのは別に杏子に限った話じゃない。
なのに人が増えてないのはおかしくないかな?
…まあゲームだし、いっか?
深く考えても意味がなかろうと思ってその違和感は切り捨てる。
私はコンソールを操作して「veryhard」のアクセスを押す。
「アンズ承認お願い。」
「了解、承認!」
アンズが選択すると先ほどと同じヒュンという音と共にオープンワールドへと転送される。
「っとここが「veryhard」か。」
「今回は同時に接続できたみたいだね。」
混雑していないせいかスムーズにアクセスできたようだ。
さて、「veryhard」はどんな感じかなと周りを見渡す。
空を見上げると血のように真っ赤であり、ゴロゴロという雷の音がしきりに鳴っており空が緑色に点滅するのである。
そして緑の粉が舞い上がっており触れるとチリチリするのである。
アクセスした場所はどこかの空き地であろうか?
空き地の入口の方には警備だろうか警察官が立っている。
その周りの住宅は学校から見下ろした綺麗な家ではなく廃墟のような雰囲気を醸し出している。
「これよこれ!やっぱ雰囲気は大事よね!」
隣を向くと…まあアンズがものっすごくいい笑顔をしている。
キラキラな雰囲気のまま興味深くあちこち見渡している。
まだ開始位置なのにもう子供のような無邪気である。
「あ、ニミリ。あそこにお巡りさんがいるからちょっと情報聞いて来ますね!」
アンズも警察官に気付いたらしい。
そのままのテンションで駆けていく。
微笑ましいなと思ってアンズを見ていた次の瞬間。
パァン!
乾いた音が鳴り響く。
何の音だろう?
タイヤの破裂するような音で周りでそんなことでもあったのかな?と私は気楽に考える。
しかし、視界に入るのはアンズの後頭部から飛び出す血である。
そしてアンズは言葉を発することなくゆっくりと横に倒れこむとそのまま電子的な効果を纏いながら消滅していく。
あれ…アンズ…何で消えているの?
まだ始まったばかりなのに?
混乱していて何が起こったのか考えがまとまらない。
ただわかることは私の目に映っているのはアンズの残したナップサックが落ちていることと背中から白い煙を出している警察官が立っていることだけだった。
すいません短いです 本当ごめんなさい。
じっくり書こうと思ったらさきほど休日出勤が決まりその時間が無くなった…
はい、言い訳です、すいません。