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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
1日目 ゲームはじめました
5/291

5.heaven

『「heaven」channel4へ接続しました。』


電子メッセージが表示されると同時に視界が開かれ体が自由になる。

解放感と共に周りを見回すとTシャツと半ズボン姿で学校用の上履きを履いてうろうろする男性だらけである。

なんだろう、年末年明けにやるお笑い番組の収録と言われても信じてしまいそうだ。

これがアンノウンディザスターオンラインか…なるほど女性視点から見れば既に災害かもしれない。

よく探せば女性プレイヤーもいるにはいるが、ほとんど目立たっていない。


まあ、男性の集団は置いておいて風景を見渡してみる。

空を見れば青空が広がっており、雲が少しかかっているが晴天そのものである。

さわやかな風が吹いており、少し視線を逸らすと校舎が立っている。


うん、恐怖と悲鳴と犠牲という殺伐としたイメージがあったんだけど少し裏切られた気分だ。


そんなどうでもいいことを考えていると、隣でヒュンという電子音が鳴る。

どうやらアンズも接続できたらしい。

私の方を振り向くとニコリと手を取り…そして周りを見るとかなりがっかりした顔になっていた。


「どうやら同行者の接続処理は若干遅れるようですね、それにしても私の思っていたイメージとすごく異なります。」


「うん、私ももっと殺伐としたのを予想してたけど別の意味で驚かされたよ。」


Tシャツ半ズボンの男の集団がここまでシュールとは思わなかった。

そしてその集団を見ると…私達は注目されているのであった。


そりゃアンズは競泳水着だからボディラインは強調されている上に生足だから性的に目を引いてしまうだろう。

おまけに美人の顔立ちでポニーテールにしたせいでうなじも目立っている。


…そりゃあ注目を浴びるなという方が無理な相談なのかもしれない。


「うーん、まずは情報あつめてみましょうか?ゲームの基本ですし。」


「そうだね、とにかく私はここから移動したい。」


「じゃあまずは目の前の建物…学校ですかね?とりあえず入ってみましょう。」


言うやいなや私はアンズに手を取られ引っ張られていく。

相変わらずアグレッシブである。

私はアンズに引っ張られるままに移動していった。






校舎の中に入ると人の数は少なくなったがそれでもサービス初日であるせいかにぎやかである。

一番情報が手に入れられるのはどこだろうか?

普通に考えるなら校長室、職員室が妥当なところであろう。


アンズも同じ考えであったらしく引っ張られて着いた先は職員室であった。

引き戸を開けると中には教職員や警察官のNPCと数人のプレイヤーがいた。

制服を着ている黄色い矢印が頭上についているのがNPC、Tシャツと半ズボン姿がプレイヤーものすごく分かりやすい。


「思ったより情報収集してるプレイヤーって少ないのかな?」


「もう情報収集をしてしまったのか、またはフィールドに直接向かってセーフエリアには興味が無かったのかもしれませんね。」


ああ、私も昔のRPGだとまずは戦闘をしたいから町の人をすっ飛ばしてモンスターと戦うとかやったやった。

そして後から町の状態を少しずつ覚えていくのである。


おっと、昔の話は今はどうでもいい、ゲームに集中しよう。

部屋の中にいるNPCは教員二人と警察官一人である。


まずは警察官から話を聞いてみるとしよう。


「すいません、この周りの事でお話聞きたいのですがよろしいでしょうか?」


「はい、お嬢さん方構いませんよ。」


にっこりとほほ笑むとこちらを向いてくれる。

そして警察官は話を続けてくる。


「現在、街中で未確認の生物が極少数確認されたため周辺の住人は一時的に避難施設に避難いただいております。なんでも死体が生き返って歩いているという報告を受けております。」


アンズの顔が輝く。

やっぱりこういう展開を待ってたんだろうなと思う。

しかし、私は気になることがあるので聞いてみる。


「その割には皆様やけに表情が明るいですね?」


「ええ、本当に極少数かつ動きが非常に緩慢なので防衛軍の出動を要請することもなく警察だけでも…今にして思えば住民でも対処可能なレベルですよ。最も住民にそんな危険な真似をさせるわけには行きませんが。」


この言葉にアンズの顔に陰りの面積が増えていく。

わかる…なんか思っていたのと違うという顔だあれは。


「どちらかと言えば最近たくさん避難してきた人の対処の方が大変なぐらいです。人が増えるだけならいいのですが本官の拳銃を寄越せと強要してくる人もいて困りものです。」


「なるほど、そうですかありがとうございました。」


むしろこのTシャツと半ズボン姿のプレイヤーの群れのほうが不審者であろうという突っ込みは飲み込んだまま会話を切った。

その後、教職員にも話を聞いてみたが似たような話であり、私達はお礼の一言を述べるとそのまま職員室を出た。


「ねえ、ニミリ…この「heaven」というワールドは少し温すぎる気がするのですが大丈夫なのでしょうか?」


「私もそんな気がする。けどまあ一通り校舎をまわってみようよ。」


そして私達は校舎の一階から部屋を片っ端から開けられるとこは開けながら探索をしていく。

教室は開くが誰もいない。

体育館には避難民であろうNPCがいたが話し終わると別れ際にビニール袋(大)を三枚もらったぐらいである。

化学室、音楽室、美術室などの特別教室は鍵がかかっており入ることはできず壊すこともできなかった。


そして現在、私達は屋上に出て柵にもたれかかりながら、二人そろってだらけて風に当たっている。

屋上から見渡すと学校周りは全て床が水色に光ってるからセーフエリアだということがよくわかる。

少し時間が立ちがっくりと憔悴していたアンズが力無く口を開く。


「結局まともな情報はありませんでしたね。」


「アンズのまともの基準が多分ホラーとかパニックとかの事をさしているから言うけど、そんな要素微塵もなかったね?」


屋上から街を見下ろすとそちらではにぎやかな声が上がっている。

けどこちらも悲鳴というよりはむしろ雄たけびや歓声のようなものである。

校舎の中で出会ったプレイヤーから聞いた話の通りなのだと思う。


「確かに街中にゾンビが出るんだけどさー、数が少ないからもう取り合いでね。もう数の暴力で一瞬で殴り倒されて消えちゃうからね。俺らも疲れたから一旦戻って来たんだよ。」


話中はアンズのくっきりした胸ばかり見てたようだけどまあわざわざ街中まで行かなくてもよくなったわけだから良しとしよう。

少なくともそんな人混みで少数のエネミーを取り合うなど私はごめんこうむる。


「違う…私の想像していたのと…。」


学校の屋上で競泳水着の女の子が落ち込む姿ってこちらもシュールだな…。

まあこれで終わってくれる…はずもないか?

いかん…その通りだこれで杏子が止まるわけがない。

早く意識を逸らさないと加減を知らない無茶ぶりが飛ぶに決まっている。


「まあ、今日の所はこの辺で明日また…」


「ねえ、ニミリまだ一時間は大丈夫なのよね?」


私の両肩をガシッとつかみながら笑顔を向けてくる。

鬼気迫る笑顔とはよく言ったもので怖い。


「え、まあ九時までだから後四十分ぐらいなら…。」


「ではこのまま「veryhard」行きましょう!」


難易度一段階あげるんじゃなくて全上げで来ましたか。

しかしこの状態の杏子には何を言ってもほぼ無駄なので私は力無くうなずいた。


お話を書くのって難しい…みんなどうしてあんなにうまく書けるのだろうか。

そして仕事の都合上全然更新できなくて大変申し訳ありません。

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