30.閑話 一般人?から見たオープン記念イベントの風景 その2
カードキーを取得して十分もしない内に我々は「503」号室の前にたどり着いた。
マップでも再確認したがセーフエリアはここで間違いないだろう。
途中ロボットの障害が三体あったが全て迅速に処理された。
このファンキー集団かなり訓練して…いやむしろ実戦慣れしすぎている?
正体は気になるが聞くべきではないと思う。
…なぜか藪蛇になる…そんな気がする。
さて、セーフエリアは部屋の中なのだが中は確認してからカードキーは使うべきだと思う。
何が仕掛けてあるかわからないしな。
そう提案しようとしたが、このファンキー集団はそこも心得ているらしくドアに耳を当て中の様子を探っているようだ。
数秒聞き取ると耳を当てていたプレイヤーは首を軽く横に振る。
「駄目だジェス。中でグニョグニョと変な音がしやがる。音源は一だが不明な奴がいる。」
「そうか、ダリルご苦労。ふむ…ここも木製のドアか?確か12ゲージは確保してあったな?」
「ああ、そりゃああるが…そういうことか。OKすぐ設置する。マークスはバットを用意しておいてくれ。」
「了解だ。」
メインイベント会場で確保したものだろうか?
12ゲージ用の弾…ショットガンでよく使用される奴だな…を数発まとめてワイヤーでひとまとめにして先に何かを塗って扉にくっつけていく。
…ってちょっとまて12ゲージだぞ?
ひとまとめってどういうことだ?
やることはわかるが腕がいかれるぞ?
様子を見たマークスというプレイヤーも苦い顔をしている。
「なあダリル、こういう時は一発でやるもんだろ?流石に九発は腕がもげるぞ?」
「大丈夫だって昨日も試したじゃねえか?脱出が出来たら体は全回復。だから現役ではできなかった無茶やっちまおうぜ?なーに木製バットだ。手がいかれる前に先にバットが折れるって。」
本気でやるつもりなのか?
マークスは言葉では苦言を呈していたが既にバットのスイングを始めておりやる気満々だ。
「まあいいか、見てろよヤンキースの四番張りのバッティングを見せてやるぜ。ジェス!突入の方はお前らに任せたからな。」
「了解だ。笑うのは脱出後に取っておいてやる。お前らやるぞ。」
そう言うとマークスはドアに貼りついている12ゲージ弾に一回軽くバットを当てる。
そしてそのまま大きく後ろへ振りかぶるとフルスイングで12ゲージ弾の尻をぶったたく。
ズバババァァーーン!
叩かれた衝撃と火花で着火した12ゲージ弾は連続して轟音を立てながら室内に向けて発砲され、部屋の中を瞬時に散弾で満たしていくことだろう。
その直後に他の四人がぼろぼろに穴が開いた木のドアを蹴破ってナイフ片手に部屋の中へ突入していく。
…カードキー確保した意味は全く無かったな。
部屋の中では頭からひまわりを咲かせた植物人間が…瀕死の状態で床に這いつくばっており、突入した四人に丁寧にとどめをさされていた。
かわいそうに用意された特性を何も活かすことができずに退場である。
少し同情したい。
一方、廊下では折れたバットを手放し両腕を痛そうに抱えながら飛び回っているマークスというプレイヤーと笑いをこらえるキサライチとコマツイチが対照的である。
…人の不幸を目の前で笑うのはよくない、後で怒っておこう。
四人は植物人間のとどめを確認するとベランダに移動する。
すると何か相談をしている。
何か困ったことでもあったのだろうか?
「どうかされましたか?」
「ああ、ここが脱出ポイントらしいのですが何もなくてですね。」
あぁ…確かにセーフエリアの表示が無い。
この部屋から脱出できると思っていたのだが…いや突入前に私もマップを確認したからほぼ間違いないはず、だとすれば?
「すいません、少しそこをどいていただけますか?」
私は場所をどいてもらうと目的の箱を開ける。
高所用の緊急避難用の滑り台が出てくる。
これは確か消防との避難訓練で一回実際に組み立てたな。
うろ覚えな手順で設置を進めていく。
最終的に滑り台部分を地面に向けて垂らしていき接地する。
するとベランダエリアが水色に光り輝くエリアに早変わりだ。
これが正解だったのだろう。
「ああ、手順も満たす必要があったという事ですか。参考になりました。」
「いえ、こちらも随分と楽をさせてもらいました。ありがとうございます。」
「こちらこそ、おーいマークス!脱出口ができた移動してくれ!」
「キサライチとコマツイチもさっさとこっちへ来るんだ!」
まずはマークスという男が腕を抱えながらこちらへぴょんぴょんと近づいて来る。
まだ痛いみたいだな、…と言うかさっきのは人間にやらせるような行為じゃない。
その後にコマツイチと腹を抱えて笑っているキサライチが続く。
キサライチは後で説教だな。
マークス、コマツイチと順にセーフエリアに進入し、最後のキサライチという所で異変が発生する。
キサライチがずっこけたのである。
笑いすぎてずっこけたのかなと思ったがそうではないらしい。
何かが足に絡みついている。
「まだあいつが生きているというのか?」
ではとどめを刺しなおすしかないだろう。
それはファンキー集団も同じだったのかセーフエリアから出ようとしたその時である。
「いたた…足元が…あつ!熱い!どうなってるの私の足!?」
キサライチの足が燃え始める。
よく見ると絡みついた植物人間の触手も燃えており…植物人間も燃え上がりながら起き上がろうとしている。
「てめえ嬢ちゃんを放しな!」
ダリルというプレイヤーが真っ先に飛び出し、足に絡んだ触手をナイフで切断しようとしたが、触手に触れる前にナイフがドロリと溶け落ちてしまった。
これにはファンキー集団も私達もしばし呆然としてしまう。
しかし現実に引き戻されるのはすぐだった。
「下が熱い!燃える!」
キサライチの悲鳴ですぐに現実に戻る。
私達はすぐにやるべきことをすべき動き出す。
「コマツイチ!キサライチの左腕を引っ張れ!こっちは右腕を引っ張る!」
「了解!」
すぐに手を取りセーフエリアに引き込もうとするが…触手と拮抗して引っ張り切れない。
奴はまだ起き上がり切っていないのにこれである。
「何かあいつに使えそうなものはないかジェス?」
「生憎あのような炎の植物お化けに有効そうなのは無いな…消火剤も取ってきておくべきだったか?廊下まで戻れば消火器もあるだろうが向こう側に行くのは無理だな。」
あちらも打つ手がないらしい。
どうする?
やはりこのままキサライチの足が燃え落ちるのを見計らって引きずり込むしかないか?
「安心しな。まだ手はある。」
「本当かフレッド?その手とはなんだ?」
「それはな…俺の肉体だー!」
フレッドというプレイヤーはセーフエリアから勢いよく飛び出すとドシドシと助走をつけ、怪物の手前で全身で飛び上がる。
「マットに沈めー!」
そのままドロップキックが燃え上がる植物人間の頭部…真っ赤に染まったヒマワリの部分に炸裂する。
燃え上がっているだけであり勢いのある攻撃は効くというのか?
いまいち基準はわからないが植物人間は勢いよく転がり部屋の外へと蹴りだされる。
そして蹴り出した本人はと言うと…。
「あちぃー!両足が燃える!溶ける!」
こちらもまずいことになったようだ。
ベッドの上で足をじたばた動かしながら火を消そうとしている。
だが、キサライチに絡みついていた触手もほどけたようだ。
せっかくいただいたチャンスだ。
一気にキサライチをセーフエリアに引きずり込む。
「馬鹿野郎!後先考えずにプロレス技使ってんじゃねえよ?後ここリングじゃねえからな!?」
「まあ事態は解決したんだ。後でマークスの件も合わせて笑い飛ばせばいいじゃないか?」
こちらもジェスとダリルにフレッドは引きずられセーフエリアに避難が完了する。
これで全員セーフエリアに入ったという事でようやく安堵の一息をつく。
そして完全に忘れようと思っていた植物人間はというと…
立ち上がりこちらへ真っ赤に染まったヒマワリの花を向けてくる。
ズドドドドドドド。
花から無数の弾がこちらへ向けて銃弾のように放出される。
幸いセーフエリアのせいで当たることは無いが境界に当たるたびに激しく衝撃を与えながら燃え上がっている。
少しすれば炎の壁ができておりまだまだ弾は射出されているようだ。
APIのような燃焼性もある実弾という事になる。
非常に凶悪な敵であると認識する。
…わざわざ外出てとどめ刺す必要はないな。
さっさと撤収してしまおう。
「まあなんにせよ助かりました。感謝します。」
「あぁ、気にしなくていい。こちらもけが人がいるので早急に脱出する。脱出すればケガも消えて痛みも無くなる。そちらもお嬢さんのことがあるだろう。早めに脱出しなさい。それではな。」
結局仲間の事が大事だったのだろう。
ファンキー集団はすぐにエスケープしていった。
仲間が大事なのは我々も同じだ。
キサライチにエスケープの操作ができることを確認するとすぐさま俺達も全員エスケープをしてこの場を後にしたのだった。
…そう言えばこの後から脱出しようとする人はあれを避けて脱出できるのだろうか?
まあ俺の心配することではないな。
この話を持ちまして第2章を終了とさせていただきます。
10万文字使って50話近く使ってまだ二日目…。
話しの構成力と進め方の下手さ加減で本当申し訳ありません。
表現力もあげたいです。(できない)
最後にですが、面白い作品がありふれているなろうの中でここまでお読みいただきありがとうございました。
特にブックマーク、評価、感想については感謝の念に堪えません。
…と言いますかぶっちゃけもらえると思ってなかったので非常にうれしいです。
この場を持ちまして御礼申し上げます。
そして年末に向けて仕事が忙しくなるため更新が明らかに遅く、停滞していくと思われます。
ご了承ください。




