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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
2日目 オープン記念イベント
37/291

22.オープン記念イベント -地下エリア 警備員詰所-

テキストではずれていなかったのですがプレビューで外れていたため一部校正かけました。

見苦しい表記になっておりご迷惑おかけしました。

「しっかし突入とかおもいきるな嬢ちゃんも?」


とりあえず私の提案は反対意見も同意意見も無い私だけ賛成票による多数決で小部屋の制圧は決定した。

実に平和な民主主義的解決ができてよかった。


そんなわけで私達は現在突入前の軽い準備中である。

階段の中腹まで戻りカバンを広げて中身を取り出している。

広い所だとカバンの重量と大きさのままこちらを使えばいいと思うけど、狭い所に押し掛ける以上小回りの利く得物…ナイフを取り出す。

ちなみにカバンを開けてみた所中身を確認してみたが…適当に取って来ただけあってひどいものである。

ええ、桃缶以外は。


-------------------------------------------------------


【スポーツバッグ(極大)】

黒革でできたスポーツバッグ

容量は大きくが紐の調整で背負うことも肩にかけることも可能


中身:

革のショルダーバッグ                2個

ナイロン製のリュックサック               3個

9ミリ弾の箱(弾薬30発付き)                2個

サバイバルナイフ                  2個

人斬り女子高生アキラちゃんフィギュア(箱付き)     1個

CD-R(10枚入り600メガバイト)            2個

缶詰(白桃)                     3個

缶詰(サバ)                          1個

マスカラ                       2個

ヘアピン                       7個

靴べら                        6個

カップラーメン(蟹カレー味)              1個


重量:不明


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「まあ決める時は決めて間違えたらすっぱりとあきらめるのが一番だからね。どうせゲームなんだし派手に散りましょうよ。」


「おっかねぇな、こっちのお嬢さんはほんまに頭のねじが外れとるな。」


何かすごく失礼な事を聞いた気がしたけどこんなことでへこむ私ではない。

犠牲者を増やすべくアンズを指さす。


「はっきり言うけどこっちの方が人として壊れてるわよ?」


「そんなわけないやろ、丁寧やしおしとやかやし…ってなんでそんないい笑顔しとるんや?」


どうやらプリペンさんもアンズのニコニコ顔にいまさら気付いたらしい。


「えぇそれはですね。さっきのあの二人の死にっぷりがB級ホラー映画でもやらないぐらいの清々しさと滑稽さで眼福だったせいですよ。あれを見れただけでもわたくし本日は大満足です。」


無理とは思うけどプリペンさんマジでドン引きして引き返さないでね。

人数はいくらあっても足りないんだから盾にはなってほしい。


「こっちもやばかったんかい。」


「言ったとおりでしょ?けどアンズが喜ぶという意味ではあの二人の死も無駄ではなかったね…、そういや誰だっけ名前また忘れちゃった。」


「大丈夫ですよニミリ、あの二人名乗っていませんので。本当に美味しいやられっぷりの二人でしたね。次回も期待できそうで楽しみです。」


ほいほい会うこともないだろうけど、アンズに気に入られるとは哀れな人たちである。


…おっといけない、無駄話に時間取られてしまった。

カバンからサバイバルナイフを取り出し右手で持つ。

アンズもサバイバルナイフを両手で持って…包丁を旦那に刺す主婦みたいに見えるけど大丈夫かな?

プリペンさんはバールみたいだ。

私としてはこういうゲームだとナイフより鈍器のほうがいいと思う。

いいもの確保してるね。


「じゃあそろそろ行くね。先頭私、中央プリペンさん、最後尾アンズ。音はなるべく立てない。遭遇した場合はとどめを優先。以上、OK?」


アンズもプリペンさんもうなずいてるのでまあ大丈夫でしょう?

こうして私達はこっそりと行動を開始した。





まず地下駐車場エリアへの扉は開けっ放しなので音を立てることは無い。

煙で足元が見えないのでそろりそろりと横へスライドさせながら足をあげないで移動していく。


そしてドアのぶに手をかけようとしたところで…。


「…ドアが開いている?」


小声でつぶやいて考える。

中に何かいるのかそれとも中から何か出てきたか。

ケースは最悪を想定して中に何かいるかもという事で動いた方がよさそうだ。


「中に何かいるかも?戦闘の可能性ありで。」


小声で後ろに伝えて私はドアノブに手をかける。

突入ならば映画みたいにドアを蹴飛ばしてみたいところだけど、さっきのカカシ役の二人組を襲った奴に気付かれるかもしれない。

ここは慎重にそろりと音を立てないようにドアを開ける。




ドアが開くときにキィーーとプラスチックのこすれる音が響きこれだけでも私はびくっとする。

しかし、ここまで来たらもうやるしかない。

気持ちを切り替えて低い姿勢のまま部屋の中へ進入する。


部屋の中も灯りはついておりはっきりと中は視認できる。

さっと視界を全方位に向けて確認する。


壁はモニター、何かを操作するレバー、特に異常なし。

天井は灯だけで変な生物が張り付いてるとかなし。

中央はテーブル…紙が載ってるけど特に異常なし。

床…テーブル下、何かごそごそ動いている、異常あり。


私はすぐさまテーブルの下へ向けて右手を振りかぶる。


「ちょ…ちょっと待って…」


何かテーブルの下から静止が聞こえた気がするけど構わない。

とりあえずテーブル下の何かへナイフを突き立てる。


しかし電子的なエフェクトに阻まれてナイフを刺すことはできなかった。

テーブルの下からは目から涙を流した横に太めの男性プレイヤーがのっそりと姿を現した。


「待ってって言ったのに…。」


「ニミリなんで待たなかったの?」


「相手が敵なら刺さるし、プレイヤーならPKできないから止まるし、だったら思いっきり刺すしかないでしょ?」


どちらにしろ私の危険が減るなら止めることなんてあるわけがない。

まあやってしまった以上は泣きわめかれる前に落ち着かせる必要がある。

介抱は同じ男性のプリペンさんに任せることにする。


「じゃあプリペンさん介抱お願いします。」


「ちょ、俺かいな…。まあいい、そんでなんでこんなところにいたんや?」


こちらがプレイヤーとわかって落ち着いてきたのか、テーブルの下に潜んでいた太っちょのぽっちゃり型プレイヤーはせきを切ったようにこちらへ言葉を投げかけてくる。


「上でNPCが急に襲い掛かって来たのでドアがあると思って階段を駆け下りて逃げて来たんです。他に友人が二人いたんですけど僕が階段でこけてしまってる間に離されてしまってここに来た時には二人とも何かに襲われている最中でした。怖くなって逃げようとしたら部屋があったのでここに入り込んでそのままテーブルの下にいました。」


「何に襲われたかは確認したんか?」


「煙の下から何か伸びたような気がしましたけど、姿は見ていません。」


まあ混乱していたみたいだしこんなものでしょ?

ガラス越しに頭半分外を覗いているアンズに確認を取る。

少し音を立ててしまったから気になる。


「アンズ、何か動きある?」


「煙だらけで確認できない…と言いたい所ですけど煙の流れが極端に変わってないからこっちへは来てないと思う。」


確証なんてあるわけがないし、私が見ても確証なんて出せない。

うん、十分すぎる。


「ありがと、そのまま外の監視お願い、プリペンさんとりあえず部屋の中確認するけどそっち時間かかりそう?」


「せやなぁ…。男だし放っておいていいんちゃうかな?」


とんでもない投げやりである。

女性ファーストは未だに根強いのか?


それは置いておいて部屋の確認はしなければならないのでさくっと部屋の中をあさっていく。

まずはテーブルの上、駐車場の地図が置いてあるようだけど。


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【オープン記念イベントの地下エリアの地図】


地下エリアの地図

オープン記念イベントのチラシを使用している場合は使用する意味がありません。



取得可能スキル1:オープン記念イベント地下駐車場マップ Lv5(本日23時59分に消滅します)


スキル1取得確率:100%



重量:不明


-------------------------------------------------------


コンソールに表示される内容を見て私達には意味がない物と判断し次の場所を探る。

次は壁際にあるモニターである。

監視カメラからの映像だろうか?

八箇所ぐらいを上から見た状態でモニターに映し出されている。


「何も映ってないようね。車と煙だけ…。」


「過去の映像は見れないんか?」


「ああ、それでしたらこちらの巻き戻しボタンを押せばいいのではないでしょうか?」


ぽっちゃりプレイヤーも落ち着いたためかプリペンさんと一緒にこちらのモニター前まで足をのばしきていた。


「じゃあ押してみて、問題起きたら君の責任で。」


「この子本当に女の子ですか?最初っからひどいんですけど…。」


こんなに女性らしいのに何を言ってくれているのかねこのぽっちゃりさんは。

まあいちいちリアクションで止まってるわけにもいかない。

私が押しますか。

ポチっと巻き戻しボタンを押すとコマ送りで風景が戻って行く。

さっきの男女ペアがやられるところは通り過ぎたけどどうせなら最初の二人がやられたということろまで巻き戻してみよう。

よし、戻ったみたいだ。


「ふむ…セーフエリアまで一目散に走って行って…片方が何かにひっかかってこけたと。」


「それを起こそうとして戻ったもう一人が顔をえぐられてるな。何か伸びてきてるのはわからんけどえぐられてる以上はよほど力強く持ってかれたんとちゃうかな?」


「その後二人もこれだと…やはり姿は見えませんね。けどこれ相手は結構大きいのではないでしょうか?」


「これだと地下駐車場名物のゾンビ犬という線はないでしょうか。ちょっと残念です。」


…アンズさーん監視どうしました?

なぜここにいるのですかね?


「まあわからないものは仕方ないので保留。で、問題はこっちかな。」


あからさまに置かれている落とすレバー、それが三本並んでいる。

それぞれ『排煙装置レバー』『非常電源レバー』『放水レバー』とパネルが下に小さく並んでいる。


…これ読まずにレバー押したらより大惨事になるやつじゃないかな?


「『放水レバー』の後『非常電源レバー』を押したら相手が感電して倒せるという事はないでしょうか?」


おや、ぽっちゃりくんのその発想はなかなか面白い。

けどちょっと待ってほしい。


「『非常電源レバー』であって『放電レバー』じゃないのが怖い所かな?ひょっとしたらうまく行くかもしれないけど地面に電気ケーブルが落ちているかどうかもわからないし、最悪水浸しの中かつ灯りの電源も落ちて真っ暗な中で脱出劇という事になりかねないかも?」


「やっぱり駄目ですかね?」


「いや、こういう時はいろいろアイデア出すのは非常にいいことだよ。立ち直りも早いしほんの少し見直したよ。」


ぽっちゃりくんが少し照れているがプリペンさんが怪訝な顔でこちらを見てくる。


「それやと初対面からマイナス評価やねんけど、評価厳しないか?」


「大体他人はマイナス評価から始まるのでこれでいいのです。ちなみにプリペンさんは不審者から始まってます。」


「あーそりゃしゃあないな。大体そんな感じやし。」


さて三つのレバーをどうするか。

面白いのは全部のレバーを同時に下ろすことだけど、さすがにそれは後が怖い…主に不真面目にプレイしたことによるアンズの恨み言が。

よってこの三種のレバーから導き出されるのは…。


「やはり『排煙装置レバー』のレバーを下げる事かな?」


「けどニミリ、こういうレバーってお約束で…。」


アンズさんわかりますとも。

お約束ならけたたましい警報音が鳴ってこちらに集中されるというやつですね。


「まあここまでお膳立てされたらやりましょう、やってやりましょう。レバーは私が下げるから全員ドアから出る準備して。十秒後にはレバー下げるからね?」


何か言いたそうにしている人が三人いたけど有無を言わせる気はない。

私がレバーに手をかけるとそれぞれカバンを身に着けてそそくさとドアに移動する。


三人の移動が終わるのを確認すると私は『排煙装置レバー』を力強く下げた。


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