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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
2日目 オープン記念イベント
30/291

15.オープン記念イベント -6Fメイン会場 その4-

アンズの肩を借りながら私はよろよろと立ち上がる。

そんな私の様子を心配してくれているならともかく…、この五人組指さしながら腹を抱えて馬鹿笑いをしている。

おのれ、いたいけな乙女をここまで追い込むなんて、きっとこいつらは鬼畜に違いない。


「日本人なら一発芸か土下座かどっちかが来ると思ってたんだが予想外だった。」


「だがとんでもなくいいものを見せてもらったのは事実!よって約束通り譲りますね。」


私達はナイフを六本受け取る。

どれも映画で見るようなナイフである。


「一応ステンレスとタングステンのいいのが使われているから使いやすいはずだぜ?」


-------------------------------------------------------


【サバイバルナイフ】


鋸刃が背についた軍用のサバイバルナイフ

グリップ下に磁石入り


重量:不明


-------------------------------------------------------


目標のナイフを手に入れることに成功したわけだが…私の貢献とライフポイントはゼロである。

正直アンズに申し訳ない。

そう落ち込んでるとマッチョ五人組の一人が声をかけてくる。


「悪かった悪かった、こちらで手伝える事があるならもう少しだけ付き合うから許してくれ。」


謝罪をするのはいいけど、目に涙を浮かべてまだ腹を抱えているのはどういう事だろうか?

追い打ちをかけたりないというなら遠慮なく言ってほしい。

私がむすっとしているのがわかったのかアンズがフォローを即座に入れてくる。


「ほら、せっかくなんだからニミリは確か拳銃持ってたでしょ?いい機会だし弾も見てもらったら?ゲームだとハンドガンの弾とかいろいろ銃によって種類異なるでしょう?」


確かにさっき作った一発を除いて弾丸がないのは事実である。

弾丸はあって困る物ではない。

そしてアンズもやっぱりこの人たちが一般人でないという事には薄々気づいているようだ。


「それなら丁度いい。俺達も弾丸はいると思っていたところだ。お嬢さん方はどこかで見たのかな?」


私達がこくりとうなずくとジェスとか言うマッチョはいい笑顔を浮かべてこちらに親指をあげる。


「よろしい。おい、ウィルとダリルはこのお嬢さん方をエスコートして差し上げろ。元々お前らの余計な一言が原因なんだから責任をきちんと取るように。」


この黒人、自分が腹抱えて爆笑してた件については完全に責任転嫁するつもりらしい。


「そりゃないですよ、自分だって腹抱えて笑ってたじゃないですかちゅ…。」


「馬鹿野郎、ゲーム内で階級は使うな。名前で呼べ。俺とマークスは中央でカバンをあさってくる。フレッドは自分の基準で必要そうなものをあさってきてくれ。集合場所は2000に一度ここで。」


フレッドと呼ばれた男は黙々と敬礼を返すとそのまま、人混みの中へと消えていった。

それを見ていた他の男達は苦笑いである。


「敬礼も禁止しておくべきだったか?いや、もう習慣だなこればかりは仕方ないか。それではお嬢さん方、私とマークスはこれにて失礼させていただきます。」


そう言うとこのマッチョ二人も中央に向けてきびすを返していく。

残った二人はこちらの肩をバンバンと叩こうとして、見えない壁にさえぎられていた。


「まあさすがに言い過ぎたし、いいものを見せてもらったしな。面倒見るから大目に見てくれ。」


「うむ、そこのガールもあきらめることはない。女は常に磨かれていくのだ。将来がいい女であればいいのだ。」


…それって今の私はだめという事じゃないですかね?

おのれ今に見ていろ。


「あくまでこの人達の主観なんだからね?ニミリはニミリらしくあればいいと思うよ。」


「うん、ありがとね。」


私はいい友人を持った。

こういう時に的確にケアしていただけるのは非常に精神的にありがたい。


「けれどいたずらは大概にしてほしいかな?最近ちょっと頻度高くなりすぎてると思うよ?」


…本当に申し訳ない。

次からは第三者がいない所でやるよう気を付けるようにします。



私達の案内で先ほど通り過ぎた【弾薬】が湧き出るテーブルの前にたどり着く。

既に人だかりができており、湧き出た弾丸の箱を片っ端からカバンに必死に詰め込んでいる人の姿がいっぱいである。


「うわー大人気だね。銃も配ってたのかな?」


「いや、抽選の景品に混ぜたから銃は配らないと運営が最初の挨拶で言ってなかったか?」


ダリルがフォローしてくれる。

そう言えば挨拶の大半は聞いていない。

では何で皆様こんなに必死になってかき集めているのだろうか?


「まあ、弾丸は消耗品だからな。種類にもよるが標準として一回当たり180発は欲しい所だな。」


私が疑問に思っているのが顔に出ていたのだろうか?

質問もしていないのに回答が来たのはありがたいと思っておこう。


「そう言えばガールの持っている銃は今あるのか?口径はわかるか?」


…そういやいらないと思ってマイルームに放り投げてきたね。

でも確かさっき研究所によると…


「9ミリだったと思います。」


「標準の奴だな。ちょいと待ってろ。」


ウィルという男はテーブルから適当に紙箱を何箱か手に取るとそのまま箱を開けて弾を取り出す。

そして手のひらで転がすとピンピンと床にはじいて捨てていく。


「こっちも不良弾丸混ぜてやがる。少し時間が必要だ。」


「マジか?新兵訓練より意地が悪いな。」


ウィルという男がこちらの弾の選別をしてくれるらしい。

その間暇になる…ということはなくアンズが機会を逃さず色々と質問している。


「やっぱり銃弾って必要な種類とかあるのでしょうか?」


アンズが素朴な質問をするとダリルがそのまま返答してくれる。


「そりゃまあ当然だな。違う口径の弾なんか使ったら撃てない上にジャムに暴発に危険がいっぱいだぜ?」


なるほど…将来に向けて何種類か小分けに私達も確保しておいた方がいいのだろうか?

私も質問しておく。


「おじさん達はどんな種類の弾を確保する予定ですか?」


「おじさんという年ではもうないんだがな…。まあ俺らは5.56ミリと9ミリと7.62ミリの西側製あたりか?12ゲージも余裕があれば確保しておくと思うがそのあたりが割とポピュラーだぜ?」


「AKは手に入りやすい可能性があるから7.62ミリの東側製はあってもいいかもしれんが、さっきの男なんか5.7ミリを何箱もカバンに詰めていったがベルギー製の奴なんて手に入るんだろうかね?」


いつの間にかウィルが会話に混ざってくる。

紙箱を二個手に持っていることからどうやら弾の選別が終わったようだ。

その紙箱の中身を私に見せた後に手渡してくれる。


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【9ミリ弾の箱】


9ミリ口径の弾が30発入る紙箱


中身:9ミリ弾 30個


重量:約700グラム


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「あわせて60発は入っている。拳銃ならばそれで当座は十分だと思う。」


「すいません。ありがとうございました。」


私の率直なお礼にウィルは首を横に振る。


「礼にはおよばん。こいつ等のデリカシーの無さという不始末が原因だからな。」


「おい、ウィルてめえだけ責任が無いみたいに言ってねえか?」


ダリルは襟元を掴んで詰め寄っている。

ああ、仲がよさそうに見えるのは問題ないけどここから喧嘩とか始めると長くなりそうだな。

面倒そうだからこのままアンズとフェーズアウトしようかなと思っていた時だった。


「二人とも弾を確保しておかないとさっきの人に怒られるとかないでしょうか?」


アンズの一言に一触即発だった二人がぴたりと止まる。

そしてギギギとこちらへ顔をむけて私達に視線を向けてくる。


「確かにその通りだ、まったくダリルもこれぐらい落ち着きをもって判断してくれ。」


「うるせぇ、けど確かにこのままじゃまずい。早速かかるとしようぜ。」


この空気を天然のまま止めることができるのか。

これが私には無い女子力というものなのか…。

なんかまた敗北感が漂ってくるがさすがにまたいじけるわけにはいかない。


「では私達はそろそろ次へ向かいますね。ありがとうございました。」


私の言葉に二人とも笑顔を向けて親指を立ててくる。


「おう、機会があればまたな。」


私とアンズは頭を下げると真剣に弾の選別に入った二人を背にこの場を後にした。

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