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4.一旦解散

「さて、見た所全員揃っているよな?それなら話がまとまったので聞いて欲しい」


どうやら別室でのお話は終わったのでその内容をサカキさんが周知してくれるらしい。

当然私にも影響があるのでどういう風にまとまったのかは興味がある。

それにしてもサカキさん…絶対に説明が面倒だからとアンズに体よく押し付けられたね?


眉間に若干の疲れのしわを寄せながらサカキさんが口を開く。


「物資の分配は終わったよな?よし…それなら結論から言うと三人の見解の一致によりここで一旦お開き、解散とする事になった。まず理由としては攻略していたE.Uビルが入れなくなるという点がある。もう攻略はほとんど終わっていたと思うが長期間入れないとなると手持ち無沙汰になってしまうからな」


ふーん…そういえばお知らせに「通常ワールドの制限」という項目があった気がする。

目を通してみると…確かにnormalワールドのE.Uビルも対象に入っている。

なるほどゲームのシステム的に制限をかけられてしまったのならどうしようもないよね。


「だがその程度だったら別の場所に攻略場所を変えればいいだけ…なんだが、もう一個の理由が重要だな。三日後に始まるイベント…これの準備が必要なためだ」


「ええ…メンバー集めが必要だから早く一度解散して準備をしないとまずいんじゃないかって全会一致で決定したの」


スミノフさんが補足してくれたけど、なるほど次のイベントのため…ね。

ざっとイベントの説明を読んだだけなんだけど人数は多ければ多い方が有利そうだったしね。

けどそうなると即時解散に全員同意した説明にはなっていない。


「メンバー集めるって事は人増やす必要があるって事っすよね?だったら何で一度解散するっすか?言っちゃあ何ですがこっちの姐さん達絶対にシマムラさんやブラックさんよりはるかに使えるっすよ」


「おい、確かに言ってることは事実かもしれないけどなあ…一番問題起こしてるお前が言うな!」


…男達が勝手に取っ組み合いを始めたけど、私には関係ないので放っておきますか。

頭を抱えてるサカキさんが深くため息をつくと大きく息を吸い込んだ。


「やかましい!くだらない事で話を中断させるな!喧嘩なら後でやれ!…よし、今のワズンの質問についてだがまあぶっちゃけて言うとまずは桃ノ木の所とは報酬で話が折り合わなかったこれが始まりだ」


「だって各グループに一つしかサポートユニット貰えないんでしょ?ニミリちゃんの見てたら私達だって欲しくなるって!」


桃ノ木さんがこう言って話し合いに参加しないでスミノフさんに任せている時点でもう解散は既定路線として決まっていたのだと思う。

なんともまあ欲深い事で…と内心呆れるけど、この欲深さが無いとゲームに何て熱中できないから否定もできやしない。


「…まあそういう事だ。こっちだって貰えるものは欲しいし…身内でじゃんけんとかして誰かが貰えるならまだ飲み込めるがこれで他に持っていかれたら悔しくてたまらないからな。まあ話が合わない以上は一度解散して仕切り直すのが一番しこりが無くていいさ」


なるほど納得できる理由だったね。

…だとするとアンズも報酬が欲しくて解散に賛成した?

いやアンズはそういうのに執着しそうにないんだけど、どういう事だろうとアンズの方に視線をやる。

すると私の視線に気づいたのか柔和に微笑みながら虚言を口にし始めた。


「もう私達以外が解散に賛成なさっているのに私達だけ我がままを言うわけにはいきませんからね。でしたら円満に分かれるのが一番良いと思いましたので」


「え…いやアンズちゃん。今日一番目にした私達だけでも組もうって話は?」


「そうなるとサカキさん達もきっと話に加わってややこしい事になりますわよ?ここは後の事は考えずに綺麗に別れるのが良いと思いますわ」


アンズ…絶対に面倒になって切り捨てて放り出したね?

あまり利益にもならないと計算し、時間も取られたくないからという事で即決したんだろうと納得できた。

そういう事なら実にアンズらしいというかもう少し人付き合いをどうにかしろというか言いたいけど…面倒になりそうなので敢えて本人には言わない。


「そういう事なので…今日で一区切りつけてさっぱりと解散という事だ!では解散となるので決まった事を発表させてもらう。まずは情報については…原則漏らさない。ただしいつまでもというのは無理だ」


「なんでっすか?誰も話さなければ秘密のままじゃないっすか?」


「ゲームだからな…いずれ誰か別の奴が発見する事もあるだろうし、意図するしないに関わらず口が滑る事もあるだろう。人間完璧にこなすなんてのは無理だからな…いつ誰かがやらかすだろうし努力程度でいいと考えている」


「まあ確かになあ…ワズンとか何かのタイミングでつるっとしゃべりそうだしな」


「馬鹿にしてるっすか!?いくら何でもひどいっすよ?」


また喧嘩を始めてるし…いや、けど。

こうまで言われるのなら…少し試してみたくなってこないかな?

私は好奇心に駆られて一言ボソッと呟いてみる事にした。


「まあ本人がそう言っているのだから口は固いのでは?…ところでだけどせっかくだし何か面白い話は無いかしら?この後解散しちゃうしあったらでいいよ?」


「そうっすよ!いやあ姐さんにそう言ってもらえるなら問題は無いっすね。…しかし面白い話っすか?何かあったっすかね?そういや今日は母ちゃんが男と電話が数か月ぶりについて喜んで出かけてったから隠してあった財布で出前頼んだっすよ!肉寿司とか高かったけどうまかったっすよ!」


私は今…好奇心なんか出さなければよかったと後悔してる。

周囲を見渡すとほぼ全員が引きつった笑みを浮かべてるし…サカキさんに至っては机に突っ伏してしまった。


「試しに聞くが…その財布使っていいと言われてたのか?」


「言われてないっすよ?父ちゃんにも内緒にしてたへそくりっすからね」


「聞いていいかわからないんだけどさ…その会う男って父と同一人物か?」


「違うっすよ?カメルさん人の話はきちんと聞かないと…それなら父ちゃんって言ってるっすよ」


そして好奇心と野次馬心に勝てなかった周囲からの質問が飛び、全員が深く溜息をついた。


「1ヶ月持てばいいほうかもしれないね?」


「すまんが桃ノ木…それぐらいの目安にしておいてくれ。さて情報についてはこんな感じだ。次に物資についてだが…こちらはどのように扱っても構わない。入手先さえ伏せておけばな」


情報に関わる部分にさえ触れなければアイテムは自由に処理していいらしい。

これは非常にありがたい話である。

…実はマイルームに結構アイテムが積みあがっておて邪魔になっていたんだよね。

よし、許されるんだったら必要な分以外は早いうちに処分してしまおっか。


「まあ話はこんな所でいいだろう。ゲームなんだしこれ以上厳しく言うつもりも無いしこれからも楽しくやっていきたいしな。最後にだが…短い期間だったがここにいるメンバーで楽しくやれてよかったよ。それじゃあまたな」


サカキさんがそう言うとこの場は解散という空気となりそれぞれが動き出し始めた。

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