12.オープン記念イベント -6Fメイン会場 その1-
『…とこのようにサービス初日は運営にとっても予想外の事が多々あり、これからの調整の参考にさせていただきます。』
チーンという電子音と共に扉が開く。
エレベータから降りると会場全体が薄暗くなっており、周りがよく把握できない。
エレベータ内にも聞こえてきた挨拶からするとイベント自体はもう始まっているのだろうか?
「やっぱりもう始まってるみたいだね?」
「けどニミリは挨拶とか聞いても寝てるだけだし遅れてちょうどいいぐらいだったのでは?」
そういう人の心をえぐる発言はなるべく抑えて欲しい。
挨拶はきちんと夢の中で聞いているし、内容を全く覚えていないだけである。
しかも私だって寝ていることがばれないように寝るようにするぐらいの配慮は持ち合わせている。
「それにしても人が多いですわね?」
アンズの言葉に同意する。
確かに薄暗くてよく見えないがざわざわと声が聞こえる範囲、前の方で灯りがついてそこで…ホログラムかな?運営の人がしゃべっている所までの距離を計算すると体育館の十倍ぐらいは最低あるのではないだろうか?
「とりあえずまだエレベータは来るみたいですから少しずれましょう。」
うん、扉の前で立ちっぱなしだと通行の邪魔になる。
少し脇ににそれよう。
『今も運営スタッフが必死にゲームシステムの調整を行っており、明日には「ゲーム内課金」と「コミュニティールーム」と「マイショップ」の三機能が解放になります。より一層プレイヤーの皆様にはアンノウンディザスターオンラインをお楽しみいただけると確信しております。』
これを聞いてると設定資料の展示場の社員の日記が思い浮かばれる。
スタッフの皆様お疲れ様です。
「ねえニミリ、どういう風に実装されると思う?」
私は運営じゃないからわかるわけはない。
適当に答えるしかないよね?
「うーんわからないけど、課金は多分さっきのウドか何かを使うんじゃないかな?別の可能性もあるけど。「コミュニティールーム」はここの五階の機能をゲームシステムとして実装するとして、「マイショップ」はプレイヤー間の取引かな?けどどういう基準でやるのだろうね?」
あくまでこれは私の予想だ。
たぶん外れるだろう。
「まあ、明日ヘルプ見れば解決するんじゃないかな?」
「明日のお楽しみという事にしておきましょうか。」
アンズと雑談している間も運営の話は進んでいく。
しかし話をしっかり聞いてる人っているのだろうか?
メインイベントとは何なのか?
恐らく他のプレイヤーもそこに期待しているのだろう。
何かいつでもスタートダッシュ決めれるようにそわそわしている雰囲気が漂っている。
『どうやらプレイヤーの皆様は私の話よりもメインイベントが気になっているようですね。長い話によるじらしは昔から嫌われるものです。いいでしょういい時間にもなりましたしこれよりオープン記念のメインイベントを開催いたします。』
プレイヤーの野太い歓声があちこちから湧き上がる。
男性プレイヤーの比率の高さがうかがえる。
…いや男性のほうがのりがいいだけかな?
『まずはメインイベント会場をご覧ください。』
運営の説明が開始するとあちこちにスポットライトのような丸い光が当てられる。
当てられているのは、どれも白い丸テーブルかな?
『人が多いのにあちこちにテーブルが置いてあり邪魔と思った方も多いと思います。ですがこれが今日のイベントの肝なのです!』
説明が進むたびにテーブルに押し寄せていくプレイヤー達。
けどお互いの接触が禁止されているせいか透明な壁で一定距離以上つめることができずわらわらと集合した状態になる。
接触の判定があったら人間ドミノ倒しが見れたかもしれないね?
『各所に設置されたテーブルからは本日中は無限にゲーム内アイテムが湧き続けます。テーブル毎に湧き出すアイテムは異なりますので色々と物色してみてください。当然無制限にお持ち帰りいただいて構いません。ただし現時刻をもってプレイヤーの再入場を制限させていただいます。一度イベントエリアから退場された方は再入場できませんのでご理解いただきたく思います。』
そりゃあその制限つけなかったら何往復もするプレイヤーでいっぱいになるから仕方ないよね?
…蟻さんみたいにエレベータを使ってアイテムを運び続けるプレイヤーの姿とか見てみたかったような気がする。
『また床にあふれ出てしまったアイテムは時間がたつと消滅しますのでアイテムでこのフロアがあふれることはありません。なので安心して欲しい物をいっぱい持ち帰ってくださいね。』
まあありふれたばら撒きイベントというやつではないだろうか?
プレイヤーにいい物を撒いてやる気にさせてプレイ人口を増やそうとする。
割とよくある手だ。
『なお、カバンや袋なんか持ってきてないしもう持ってないというプレイヤーも多いと思います。そこで中央の大型テーブルにはなんとカバンや袋が湧き出す設定にしております!両手でお持ち帰りいただくよりいっぱい持ち帰れますので是非最初にご利用ください。』
周囲から響くような歓声が沸き上がる。
あー、これは制御が効かないという意味でだめな奴だ。
「ニミリ、なるべくカバンは少しずらして行きたいのですが。」
アンズが正常な思考で助かった。
私もこれだけの数が殺到するような場所に突っ込みたくない。
『それではイベント開始です!』
運営の人が開始を宣言すると薄暗い空間にまぶしい光が降り注ぐ。
全てのライトをオンにしたのだろうか?
明るくなった私の目に映ったのは中央に向かって四方八方から押し合いをしようと群がっていくプレイヤーの姿だった。
皆様はこういったゲームのイベントのばら撒きってどういうのがばら撒かれるのがうれしいものなのでしょうか?
発想貧困により次話考え中です。




