表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
24日目~ normalワールド探索(E.Uビル編)
264/291

71.ヴィリス戦 その1

床に突き刺さった枝に向けてケーブルを突き刺すとバチバチと火花が激しく飛ぶ。

離れているはずなのに耳にまで振動してくる大きな音にびっくりするけどケーブルを手離すことなく電気を流し続ける。


…これって本当に効果はあるのかな?

自分で想定して裏付けはもらっていたけれど試行は初めてだけど…と若干不安に思っていたけどすぐに結果が目に見えて現れだしていた。

電気を流してすぐに巨木のあちこちが不自然に揺れ始めてまるでもがいているかのように変にうねり始めだした。

そして巨木のあちこちから黒い煙が噴き出し始めより動きが大きくなっていく。


『oooo…o…』


巨木の中心から低い痛みを伴った呻きが漏れ出し始め、木を覆っていた硬い樹皮もはじけ飛び床にどんどん突き刺ささっていく。

どんどん大きくなっていく巨木反応にどうやら効果あり、というよりも効きすぎていると思える。

他の人達のほとんどは成功を確信してもう勝ったと思ってる人もいるんじゃないかと思うぐらいに歓声をあげているのが耳に入ってくる。

私もこれで終わりかなと見えるぐらいに派手であり、大きなダメージが入っていると思うんだけどこの植物ボールの言う通りなら巨木の中にいる本体がこのままおとなしく死んでくれるはずがないと思う。


そしてその予想は正しかったらしく巨木の中心から何か巨大な塊が飛び出しフロアの壁にぶつかった。


…いや、ぶつかったんじゃなくて巨木から脱出して壁に着地したみたいだね。

後ろに二本に前に三本…五本足で三~四メートルぐらいの肉食獣のような形をした生物らしい物が上階の壁に爪を突き立てて固定しながら大きな目でこちらを見下ろしている。

皮膚もない肉感が剥き出しの真っ赤であり、電気を流されたせいかあちこちが黒ずんでおり、そこからぶすぶすと煙が吹きあがっている。

そして私達を確認すると犬のような口を大きく開けた。


『yayayaやってくれたなkono未開生物どもがぁ!!』


おぉ!?

てっきり怪物みたいに吠えると思ってたけどまさかしゃべるとは思わなかった。

いや、植物ボールもしゃべっていたしこいつもしゃべってもおかしくない。

そしてここからRPGのボス戦のように戦闘前の長い前口上が始まるのかと思うと私の取るべき行動は一つしかないよね。


『おとなしく死んでいけばいいものを、こうなったからには我みずからがぁ!?』


気持ちよくしゃべっている所悪いけど私は学校の偉い人の無駄に長い話は嫌いだからね。

それにこんな攻撃の絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。

犬のような頭に二つの目とその間に大きい第三の目があったけどその第三の目が撃ち抜かれた事により紫色の血を噴き出しながら首を横に振ってもがいている。


痛がっている姿を見てやってやったと言いたい所だけど…当てたのは私じゃないから複雑な所である。

植物ボール曰くヴィリスとかいう生物の頭部に向けてフルオートで銃弾を浴びせているのはウメである。

私も撃ってるけど思ったほどうまく当たらないのよね?

せいぜいでかい体に当てるのが精いっぱいである。

よくもまああんなにイヤイヤと痛みにもがき動きまわっている頭部に当て続けれるものだと感心する。

だけど巨木と繋がっていたせいで皮膚が柔らかいせいなのかはわからないけど銃弾が当たるたびに血が噴き出す所を見るとだいぶ効いていると思う。


…ちなみに明後日の方向に撃っているアンズはまあいいとして、誰がアンズに銃を渡したのか後で問い詰める必要があると思う。


しばらくしてダメージに耐えきれなくなったのかこちらへしゃべるのを断念したヴィリスはすぐさま壁を駆け始めた。

そして呆然と成り行きを見ていた他の人達も慌てて銃を構えて壁を走るヴィリスに向けて撃ち始める。


『我が話しているのにこの蛮族どもがぁ!?そんな質量兵器で当たるはずが無かろう!』


どうやらしゃべるのはあきらめていなかったようで怒りのセリフを口にする。

しかし当たるはずが無いと大きな口を叩くだけあって壁を走る速度が本当に速く照準を向けている頃には次の場所に移動しているのだから引き金を引いても誰もいない場所にしか銃弾は届かない。

いや速いだけでなく飛び跳ねて上階の壁をえぐりその破片をまき散らす事でより私達の混乱を誘って満足に撃たせないようにしているのかな?…うん賢いね。

そして逃げているだけではなく降り注ぐコンクリート片やガラス片から逃げる私達の様子を冷静に観察してるように見える。

その考えは正しかったらしくヴィリスはあっという間にフロアへと飛び降りて着地すると高速で地面を駆ける。


「コンクリートが落ちてくるからまずは頭を守らないと…え?」


「こいつ、いつの間にぃ!?」


駆け抜けた後には上下真っ二つにされた被害者の残骸が宙を舞いそのまま粒子へなっていく。

今の一瞬で二人もやられちゃったか…流石追い詰められてもボス。

そしていつまでもフロアに留まる事無く、すぐに壁を走り始めて上へと退避していく…うーん戦いずらい。


『guhaxha!手始めに二匹!これからじわじわとなぶり殺してうぉぉ!?』


いい気分になっていたヴィリスは自慢しようとした所を何かにびっくりして慌てて進路を変えた。

壁に穴が開いている所をみると誰かが撃った…ウメかあるいはまぐれかな?


「Shit!鼻を吹き飛ばせる所でしたのに!」


ウメが狙ってやったのかな?

照準を合わせていたら間に合わないから進路を予測して銃口を置いていたのかな?

…これがこいつとの初戦闘なのにそんな芸当ができるなんて恐ろしい子。


うーんこのままだとらちがあがない。

当たればダメージは与えられるし、この人数で一斉に攻撃を当てることができれば倒す事も難しくないと思う。

しかしまずこの攻撃が当たらないんだよね。


一番可能性がありそうなウメですら動き回るヴィリスに対して攻撃を当てるのが困難そうだから慣れるまで時間がかかりそうだし、かといって時間をかけるにつれて隙を見せたこちらの人間が次々とやられていくのは間違いないだろう。

そうなるとじり貧になってしまうし…復帰する人間を含めても二時間以内に倒せるかどうか不安になってくる。


さてどうしようかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ