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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
2日目 オープン記念イベント
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11.オープン記念イベント -4Fレストルーム-

チーンという電子音と共にエレベータの扉が開く。


乗り込む時にも確認したはずだけど三階から私達を追跡してくる…という人はいない。

声をかけようと寄ってくる人はいたがエレベータまで追いかける人はいなくてよかった。


「もうニミリったら。こんなにおかしくなるまで無理しなくてもいいのに…。」


心配をしてくれるのは本当に友人冥利につきてありがたいのですが、何で私が可愛いことするのがおかしいと断定されてしまうのだろうか?


「すいませんがどこか休めるところはありませんでしょうか?」


アンズが率先してNPCのお姉さんに問い合わせてくれる。

いや、本当に疲れてるわけではないので止めるべきだろうか?


『はい、今はいっぱい部屋が空いていますので…こちら「202」のカードキーをお持ちになってください。使用が終わりましたら私達の誰かに返却ください。』


アンズに引っ張られたのでよく確認していなかったが、カーペットがしっかり敷かれており天井も光源に豪華な機器を使用している。

どこかのホテルをモデルにしたエリアという事なのかな?


「これだけ豪華に作りこんであると利用者も多いような気がするのですがそんなに少ないですか?」


私の問いにNPCのお姉さんが苦笑しながら答えてくれる。


『はい、ちらほらといらっしゃる事はいらっしゃるのですが、休憩だけしかできないとなるとすぐ他の階に移動する方がほとんどですね。今一番混雑しているのは五階ですね。お食事をつまみながら展示内容やゲームの内容について話あっている方が多いですよ。』


もう展示は見終わってメインイベントまで情報交換しているという感じだろうか?

五階は絶対に立ち寄るべきでないということがわかったのでいい情報でした。


「ほら、ニミリ。ここで話していないで部屋に行きましょう。」


私はアンズに結局疲れているわけではないと言い出せないままそのまま引っ張られていってしまった。




「あぁーーふかふかのベッド気持ちいいぃぃーーー!」


私は体重をかければ程よく沈んでくれるふかふかのベッドに体を沈めている。

VRの中なのにあまりの気持ちよさに眠りを誘発して来る。


そして先ほどルームサービスで頼んだオレンジジュースも寝ながらちゅうちゅう飲む。

ブラッドオレンジが何かは知らないけど酸味が強くて程よくおいしい。


「もうここに永住したいー。」


「ニミリが元気になったようで何よりだけど…ここはあくまで一時的なスペースですよ?」


その通りなのである。

こんな快適空間が今日しか使えないのである。


もうゲームそっちのけでこっちのコンテンツだけで売った方が商売成り立つのではないだろうか?


「わかってるけどうちのと比べると天と地ほど差があるのよ。」


「私は家の愛用している布団の方がいいのですがこちらのも悪くありませんわね。」


アンズもベッドに体重をかけて飲み物を飲んでくつろいでいる。


「まだ時間は三十分ぐらいあるしアンズはイベント回りたいところあったら行ってきていいよー。私はここで時間まで休むことにするね。」


だましたついでで悪いがこのままここで私はゆっくりさせてもらおう。

…だましたんじゃなくて勝手に勘違いしただけだからそこまで私は悪くないかな?


「はぁ、具合悪くなった友人を見捨ててまで優先させることは無いですわよ?」


儚げにこちらを見ながら心配してくれるとは、いつになく優しい。

これはいつ以来だろうか?


「まあメインイベントまで時間はありますのでゆっくりしていてください。」


ではお言葉に甘えてそうしましょう。

そういうと私はゲーム内なのに意識が眠りの中へ潜っていってしまった。





そして時間が経過し、私達は大慌てな状態である。


「ちょっとまさかアンズまで寝てるとかどういうこと!?」


「ごめんニミリの寝顔見てたらつい私もうとうとしちゃった!」


まさかのメインイベント直前になっての起床である。

開始前のアナウンスで私がうつらうつらと起き上がると、なんとアンズもベッドですやすや寝ているのである。


「とりあえずカードキー返さないと!アンズは髪の毛整えてから追いかけてきて!」


「え…って寝ぐせついちゃってる?」


あんな短時間なのによくもまああんなにカールしちゃったものだ。

私は廊下に出るとそのまま辺りを見回す。

プレイヤーはほぼ皆無であり、NPCのお姉さんの足音しか聞こえない。

もう事前に会場へ移動してしまっているのだと思う。


そんな静けさの中にある足音の方角へ駆け出す。

期待通りきちんとNPCのお姉さんがいる。


「すいませんこのカードキー返却しますね。」


『おや、わざわざ律義に返却いただきありがとうございました。念のため確認しますが部屋のロックはお済みですか?』


…アンズが寝ぐせ直してるから使用中だった。


『その様子だとまだのようですね。後でこちらでロックをかけておきますね。』


ここはNPCのお姉さんの好意に甘えさせてもらおう。

そのまま私は軽く礼を言うと「202」ルームへと駆け戻ろうとする。


『まあこのカードキーも後半日もしない内に用済みになるのですけどね。どうせなら懐に入れてそのまま行動するという選択肢もあったと思いますよ?』


…なぜNPCが借りパクを推奨してくるのだろうか?

ひょっとするとゲーム内で使用できる重要アイテムだったり?


『まあカードキーの貸し出しは十分前に締め切っているのでもう無理ですよ?それよりももうメインイベントの時間は間近です。急いだほうがよろしいですよ?』


そうだった、カードキーを気にしている場合じゃない。

アンズの寝ぐせは直っただろうか?

最悪、私流にセッティングするしか…いやむしろそれは楽しそうかもしれない。

私の意識は既にアンズとのメインイベントに向いていた。

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