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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
24日目~ normalワールド探索(E.Uビル編)
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63.地下の閉ざされし場所withこの一週間の振り返り

そして時が流れる事およそ一週間。

私達は今B1Fの白扉の前にいる。

この一週間の間に他の人達も色々なカードキーを通して試してみたらしいけど無情にもエラー音が虚しく響くだけで結局開く事は無かったらしい。


そんな扉の前で準備万端警戒しつつアンズが黒色に輝くカードキーを通すのを待っている。


「いよいよ開きますね?中はどうなっているのでしょうか?」


長らく中を見たがっていたスミノフさんは少し興奮しているようだ。

当然ここでこのような事をしているのは理由がある。


…一言で言うとこの一週間の間、あの巨木に対して成果が全く上がらなかったせいである。


思い返せば最初の失敗から翌日の事。


「こうなりましたら薬品の組み合わせを片っ端から試してみましょう」


…一番思い出したくないセリフが脳裏に浮かび思わず頭痛がしたけどもう過ぎた事。

その思い出したくもないアンズの一言で私は毒ガス部屋でのお散歩を強いられていたのは言うまでもない。

手に入る範囲での薬剤を手に入れては14階の装置にセットをしてばら撒き…お約束通り巨木の蔓に叩き潰されて死ぬ。


その翌日も同様に圧死させられて三日目には手に入る薬品を全て装置にぶち込んで散布したけど結果は変わらなかった。


四日目になると成果があがらないためこの方法では駄目だとストップを入れた。

結局のところスミノフさんの言う通り研究者はあの巨木に騙されていたという線が濃厚じゃないだろうか?

それならば別の手掛かりを探すべきかとあれこれ相談をしていた私達の側で乾いた笑いと共にぼそっと声が上がった。


「案外力押しで倒せたりしねえかな?」


誰が呟いたかはわからないけど別の手段が見つかってない以上私達はその案に乗っかった。

ウメを先頭にして手掛かりを探すついでにビルの奥を探索して火器を回収してまわり十分に集まった所で遂に決行日を迎えたのが昨日の事、その時には結果が気になるのか全員が集合していた。


「どこでこんな物見つけて来たの?しかも全部使い切るとか勿体なくない?」


本当にこのビルってこんな物が置いてあるなんてすごい場所だよね?

ウメによるとRPG-7とかNLAWとか言ってたけど…まあ詳しくはわからないけど対戦車ミサイルだという事は分かった。

まあ威力はあるのは間違いないけど一発撃てばお終いとなると桃ノ木さんが惜しむのもわかる気がするけど、アイテムなんて使ってなんぼの物だしね。

むしろ私としては無茶振りをされないだけ気分が楽だった。


他にもM2とかいう重機関銃も持ってきており、こちらなんと対戦車ミサイルよりも遥かに重く大人ぐらいの重量があり見つけた時には回収に随分苦労した物である。


そしてこれらの物を集めるのに四日目、五日目、六日目と三日間かけており、七日目に火力の高そうな銃火器を持ち込んで総力戦に持ち込もうというシンプルな脳筋な作戦を仕掛けようとしている所である。


「対戦車ミサイルはわかるが…このごつい重機関銃というのはどれぐらい威力があるんだ?」


「直撃しなくても触れれば人間ならミンチミートです」


ウメの率直な回答に質問をしたサカキさんはどんびきである。

そしてウメはロビーにいたターミナルアイをあっさりと全て排除し終わると、他の銃火器も見守っている全員に手渡していく。


「あれ?俺達もやるのか?」


「yes。合図があったら遠慮なく撃ってください」


さてこれはどういう意図だろう?

用意したメインの火器に比べたらアサルトライフルやサブマシンガンでは少し…いや随分と火力が劣ると思うんだけど?


「Ready。スモークを焚きますので投げ終わったら撃ち始めてください」


どうにも腑に落ちないと考え込んでいると準備が終わったのかウメが全員に声をかけ始める。

その後数個のスモークグレネードが床を転がり煙がフロアを…私達を包んでいく。

そして完全に私達の姿が煙で隠れると破裂音と共に火の玉が一個、巨木へと進んで行く。

しばらく経つと更に周囲の空気が揺れまた火の玉が一個巨木へと飛んでいき、爆発音と共に煙に包まれる。


揺れる爆風がこちらの肌まで届いたけどこの対戦車ミサイルが効いたのかは判断がつかない。

周りではガヤガヤと騒ぎ声だけが聞こえるけど、私は私に割り振られた事をするだけ。

大体の方角は煙で見えなくなる前にきちんと把握しているので、給弾手をアンズに任せてM2の引き金を引く。


と…軽い気持ちで引いたのはいいけどすごく銃が跳ねる跳ねる。


「ニミリもっと映画みたいに撃ち続けれないかしら?」


「無理無理!腕が壊れるか天井撃っちゃうって!」


映画みたいに撃てればそりゃあいいのだろうけど、素人には無理だって!?

三脚で固定してるのにこの反動は異常だ。

ウメに事前に教えてもらった通りに小刻みに引き金を引いては上がった銃身を下げてまた引き金を引いていく。


そして私達が撃ち始めると共に周囲からも発砲音がようやく聞こえてくる。

銃声と煙だけが辺りを支配していて何が起こっているかわからないけど、そんな中でもわかる事がある。

私はある程度撃ち終わると引き金から手を離して固定していた三脚を外し始める。


「アンズ逃げるよ」


「え?まだ弾はありますわよ?交換もできますし…」


「スモークグレネードからの煙の放出が終わったみたい、タイムリミットだよ」


この一言で全て理解したのかアンズも片付けを手伝い始めてくれたた所で煙の中を誰かが駆け寄ってくる。


「エクセレント!もう撤収を始めていたのは助かります」


ウメが駆け寄ると重機関銃を二人で担いでそのまま移動を始める。


「撤退!撤退!早く逃げないと死にますよ!」


ウメが周囲に叫ぶけど銃声はやまない。

どうやら撃つことに集中して全然声が聞こえてないみたいだね。

それ以上は何も言う事なく私達はえっさほいさとその場から逃げ出す。


そして私達は巨木に吊るされているターミナルアイから視線が切れる位置まで移動を完了すると一をつき、ウメの声が聞こえたのか数人は後から駆け寄ってきて息を整えている。


「さて、結果は…」


そう思って見ていると私達がいた場所には巨木の茎がいくつも突き刺さり、銃声が全て止んでしまった。

そして肝心の巨木はだけど…少し表面が焦げているだけで特に目立った損傷はないかな?


「失敗だよね?」


「効果なし。撤収しましょう」


こうして力業も失敗してまた方法が無くなってしまったのだ。

他に何かないかと考えていた所、手詰まりならスミノフさんから試したい場所があるとの事ですっかり忘れていた地下の白扉に挑戦しようという事で今を迎えている。


アンズもひょっとしたら攻略の手掛かりがあるかもしれないと若干の期待はしているらしいのだけど、この先にそんなものはあるのかな?

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