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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
2日目 オープン記念イベント
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7.オープン記念イベント -特設抽選エリア その1-

私は今、さきほどのチャラい男の勧めに従って現在アンズと廊下を移動中である。

人通りは割と多く男性だけではなく女性もちらほらと見かける。


「行き来する人が多いですね?ここって行きも帰りも一本道という事かしらね?」


「さあねぇ…。本当にそうかそれとも入口に戻る方がわかりやすいからか…。」


と雑談しながらアンズと歩いていると通路の先が行き止まりになっており大きく扉が開いている。

そのまま人の流れに乗って大きい扉をくぐると中は人の列でいっぱいであった。


『こちら抽選会場になっております。十列ありますのですいているところに並んでください。』


『割り込みはだめですよ。一人一回だけなのでおとなしくお待ちくださいね。』


学校の体育館ほどの広さがあるスペースでは入口にもいたNPCのお姉さんが数十人がかりでプレイヤーの列の整理をしている。

左側から列に並んで奥を抜けて右側から戻ってまた通路に帰るという形のようだ。


「どうやら一本道というアンズの案が正解みたいだね。ホールの出入り口はあそこしかないみたい。」


「ふふん。けど、なぜ列を作って並んでるのかしらね? 電子クジやガチャにすればボタン一つで終わりなのに。」


『それについてはあちらをごらんください。』


NPCのお姉さんの一人が私達の方を見ながら手をあげて視線を誘導する。

誘導先にある物はというと…


「あれって何かしらニミリ…?」


「いやいやいや、今時ガラガラの抽選箱?しかも電子空間で?何の意味があってあんなものを?」


私が小さい頃はお店なんかでハンドルを回せば色とりどりの玉が出てくるガラガラの抽選機は確かにあった。

回すの楽しかったし回しすぎて抽選機がそのまま勢い余って飛んで転がってしまったのも懐かしい思い出である。

しかし電子空間にそんなものを置いても時間とリソースの無駄のような気がするのだが。


『はい、そちらについては確かに電子クジでやったほうが混まないし、管理しやすいし、わざわざVRモデルとロジックも作成する必要がないのですが、運営チームの総意で「ガラガラって回した方がわくわく感出るじゃん?」と決定したことによるものです。』


…確かに待ち時間はもったいないけどわくわく感はこっちの方があるね。

けどそんなところにリソース裂いている暇があったら蝶ネクタイ以外に何か用意してあげたほうがよかったんじゃ?


『そして今回のオープン記念抽選会なんと特等はあちらになります!』


NPCのお姉さんの指さした先の入口の脇には…でかいねこれ?

人だかりができている中心には鉄の巨人…ロボットが展示されているよ!?


『こちらMMG-003「ゴリラス」君です。全長11メートル、二足歩行が可能なギアタイプのロボットになります。』


私の周囲で並んでいた人も展示されているのに気付いたのか振り返ってざわざわと騒いでいる。


『右腕には60ミリガトリング砲を搭載、左腕には射程30メートルの高出力火炎放射器を搭載、そしてコクピットは最上部についており周囲を見渡しやすいように強度の高い金属フレームを採用しています。』


NPCのお姉さんの説明が進むたびに他のプレイヤー、特に男性からの歓声が大きく湧き上がる。


『こちらなんと各イベント会場毎に1名様に特等としてご用意しています。是非皆様がんばってあててくださいね。』


周囲の目がうきうきと輝いていることもあり宣伝としては十二分に成果をあげているのだろう、並んでいる列からも熱気が感じられる。

そして私はそれに反して冷めた感想を持ってしまっている。

その点を悟られたのかアンズから声かけられる。


「ニミリはあんまりああいうのはいらないタイプかな?」


「うーんそうでもないんだけどねー。」


確かにあったら便利だし心強いのかもしれない。

しかしこのロボット…ゲームの要素から見たらかなり中途半端なような気がするのは気のせいだろうか?

むしろ噛み合わないように意図的に作られていると感じられるのは私がひねくれているのかもしれない。


「アンズのあのロボットへの感想は?」


「こういうのはお化け屋敷と同じで自分の足で歩くからいいのであまり好みではないですわね…。けど脱出物だと車とか船もありですから全部否定するわけではないですわよ?」


そりゃあまあホラー物を期待してるわけだからあんなのがはびこるようになったら別のゲームジャンルになってしまうでしょう。

…そうなれば私も解放されるんじゃないかね?


まあそんな感じの話をしながら私達は列の最後尾に着いた。

一列あたり三十人は並んでるかな?

割と長い列になっている。


「そういえばさっきの方は並んでいる間にイベント内容確認すればいいって言ってましたわね?」


「そうだったねアンズ。さっきのチラシを使用しちゃおうか。」


私達は手に持っていることを忘れつつあったチラシを使用する。

するとスキルを習得したのだろうか、コンソールを呼び出すと有効になっていない「エスケープ」の上に新たに「オープン記念イベント案内」という項目ができていた。


…あれ、ここってどこからでも「エスケープ」できるわけじゃないのか。

すぐに帰れるわけではないらしいので帰る時間には気を付けないといけないようだね。


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