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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
24日目~ normalワールド探索(E.Uビル編)
208/291

18.侵入不可?

「結構高さあるから足元をしっかりと確認して降りてくれ。くれぐれも足をくじかないようにな」


シマムラさんの注意を聞きながら私は途中からは崩れ落ちてしまっている階段を飛び降りる。

コンクリートを踏む着地音と共に少し足に衝撃が走るけど…少しの高さから落ちたら死んでしまう昔のゲームじゃあるまいし、骨折したりそういった事は一切ない。

周りを見るとどうやらこのビルの敷地内であるらしく、降りたスペースの周りには鉄条網付きの金網が周囲に張り巡らされており、その内側部分には土嚢や廃材等でバリケードが分厚く構築されている。その内側には所々に焦げたドラム缶があったり、ボロボロになった段ボールや空になったペットボトルやスナック菓子の袋などのゴミが散乱している。

ここでも生活をしていたNPCもいたのだろうか?

見た所ここは安全に思えるけど一体どこへ?


そんな事を考えていると隣からアンズの掛け声が聞こえてくる。


「えい!」


何をそんなに気合を入れてと思って見てみると、木の枝が宙を飛んでいる。

どうやらアンズがその辺に転がっていた木の枝を拾うと掛け声とともに金網へ投げつけたようだ。

木の枝はそのまま飛んで行ってぶつかるとガシャンという金音が鳴り響いてうるさくなるなと私は思っていた。

けれど実際には、バチ!と予想していた以上に大きい鋭い音が鳴り木の枝がはじかれて飛んでいってしまった。


…金網にも高圧電流が流れてるよねこれ?

先ほどの件といいこの建物は何かおかしい。


最後に上から降りてきたシマムラさんもアンズの突然の行動をじっと見ていたが、やがて笑いながら私達に話しかけてくる。


「いやぁアンズさんはワズンより優秀だな。あいつなんか金網を登ろうとして直接両手で掴んでそのまま感電死しちまったからな」


…しかも人が簡単に死ぬレベルで流れているらしい。

送電が止まったこの世界でこれだけの電力消費量を(まかな)えるのは何ともかもおかしいけど、おかしい事だらけなのでもう考えるのをやめにする。

まあゲームだからで済む話だしね。


それよりも次の目的地はどこかなと思ったけど、すぐ近くにあったようだ。

サカキさんが灰色の金属扉の前に立ち皆を呼び集めている。

先に降りて敷地内の周りを散策していた人達も集まりきるとサカキさんの説明が始まる。


「二つ目がここだ。どう考えても入口、しかも守衛室と札があるからここは通用口である可能性が非常に高い。だがどうやってもここも空かない。右にカードをスキャンする機械があるからカードキーみたいなものがあればここから入れるとは考えているが…」


「ないんでしょ?」


桃ノ木さんの突っ込みにサカキさんは力強く頷く。


「その通りだ。周辺にひょっとしたら落ちてるかもしれないと探したがそれらしきものは一切なかった。それが駄目なら力ずくでもと考えているのだが…こいつは通用するか?」


何故か私達を見ながら確認をしてくる。

そんな何でもかんでもわかるわけないでしょ?

こっちは単なる女子大生ですよ?


私は溜息(ためいき)をつきつつ金属扉を触り…場所を変えながら少し叩いてみる。

ウメも同じように金属扉を触りながら観察しているけど私より詳しそうだね。

そして私なりに調べてみて一応の結論が出る…なるほど、よくはわからないけどわかる範囲で答えようかな。


「鋼鉄製の扉…と見せかけてさらに金属が複数種類使われてる?」


「イエス、私も同意見です。空気層もありますので…複合装甲をドアに使用するなんて何を考えているのかさっぱりです」


やはりウメの方が詳しいみたいだね、そして大きく的を外していなくてよかった。

私達が予想で話をしていくとアンズを除いて周りが唖然(あぜん)としている。


…話が進まないので誰かこの停滞した空気をどうにかしてくれないかな?


そう思いながら誰かが動き出すのを待ち、ようやく金縛りからとけたように吸い殻さんが短く問いかけてくる。


「つまり?」


「上のガラスよりも頑丈だからここを力ずくでというのはお勧めできないですね」


私が答えるとサカキさんがため息をつきながら話を進める。


「あまり聞きたくない答えだったが…まあ時間を無駄にかけてしまうよりましだよな。そうとなるとここも無理、となると最後のあそこしかないのか…?」


まだ心当たりがあるらしいけど、話し方から見ると気が進まないらしい。

…きっとろくでもない侵入口候補なんだろうなと思っていると、サカキさん達も気が進まない顔をしながらも移動を促し始めるのだった。





少し歩くと金網に金属のゲートと警備員の詰所のような箱型の建物が見えてきた。

そしてそこから建物へと延びる一本道の先が最後の目的地のようだ。

車道の先は下り坂となっており、建物の地下まで続いていて…先は洞窟のように真っ暗でありほとんど何も見えない。

奥を(のぞ)き込んでいるとサカキさんが溜息をつきながらここの説明を始める。


「ここが俺達が見つけている中で最後の入口候補で…まあこの先は地下駐車場になっている」


確かに、ここからなら確かに中へ入れるかもしれないね。

それなら最初からここへ案内してほしいと言いたい所だけど、きっとろくでもない状態なんだろうという事は予想がつく。

私達は黙って説明の続きを聞くことにする。


「ここも攻略の糸口が全くつかめていない。わかっている事と言えばまずこの先は下水道と同じぐらい暗い。電気が生きているので非常灯は所々ついているが、それでもほとんど見えない」


暗いか…。

けどそれだけなら夜目には多少慣れているからまだ大丈夫だね。

けどサカキさんの説明が続くたびにどんどん自信がなく、むしろこれをどうしろという気持ちに変わっていく。


「そして浸水していて膝丈まで水があって歩きにくい。さらに…水中に化け物がいる、この化け物はゾンビじゃなくて水の中を泳いでいるのか音もあまり立てない」


…いや、どうしろというのかなそれは?

水の中を歩くって早く動けない上に普通に歩くよりかなり疲れがたまる。そして極めつけに歩くたびに盛大に音と波を立ててしまうのだ。

そんなの化け物に食ってくださいと言ってるようなものである。


しかも真っ暗な視界だと水中に潜まれると何も見えないだろうから奇襲され放題である。

それは他の人達もわかっているらしくジト目でサカキさんを見返している。


「言いたい事はよくわかる。はっきり言って俺達も何度もチャレンジしたが無理で全員足を(かじ)られ、水中に引き込まれたさ。だが!今回はいつもの二倍の人数がいる」


人海戦術は確かに有効だけどこれって結果が出せるのかな?

このビルの敷地を見るに地下駐車場もそれなりの広さだと思うし、目的地もなく彷徨うのである。

これは厳しそうだけど…確かに方法は現状他になさそうだし、仕方ないかな?


けど、サカキさんは学校からゾンビの群れに突っ込んだ人を呆れて見てたけど謝った方がいいんじゃないかな?

明らかに同レベルの事をしているよ…とは空気を読んで口にせず私は心にとどめる事にした。

大量の誤字脱字報告いただきありがとうございます。

適用しました。

申し訳ありませんでした。

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