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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
24日目~ normalワールド探索(E.Uビル編)
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5.報酬の確認

さて…交換した以上は報酬アイテムの確認はしてみないとね!

せっかくの戦利品なので少し楽しみにしながら私は光と共に現れた扉の前まで移動する。

片方は高級そうな白塗りの扉であり、もう片方は厳重そうな鉄の扉でドアにタッチパネルがついている。


…シャーリーさんはまだ来ないみたいだし少しぐらいいいよね?

そう決めるとまずは白い扉の方へと手をかける。

こっちは明らかに私が望んでいたほうだと思うからね。

私はドアノブに手をかけて扉を開けると…中はかなり広い空間に(つな)がっていた。


「おぉーこれは中々に…いいね!」


予想していた通りこちらが『スイートルーム』で間違いないようである。

暖色の壁に包まれた高級ホテルのような部屋が複数あり、ゆったりと過ごしやすそうな雰囲気が漂っている。

高そうなガラスの照明器具に照らされている部屋の中央には幅広いデラックスサイズのソファーが複数設置されていて、そのソファーに囲まれるように設置されている巨大な木製テーブルもしっかりと作りこまれていて木の匂いまで感じ取れる。

何か紙が一枚テーブルの上に置かれているようだけど…、しかしまだ奥に部屋があるようだからこれは後から読む事にして先に奥の部屋を回ってしまおう。


紙を回収して奥の部屋を(のぞ)くと杏子の部屋の物よりは小さいけれどかなり大きいフカフカそうな純白のベッドが一つででんと存在感を示している。

壁際には服を吊るための開閉式の衣装ケースも備え付けられており、使う予定は無いけど雰囲気は悪くない。


私は身の丈よりも遥かに大きいベッドへ勢いよく飛び込む。

バフンと着地すると共に私の体が程よくベッドに沈み、フワフワの布団が優しく私を包み込んでくる。


「あぁーふかふかなベッドだー♪(いや)されるーー♪」


もうこれだけでも十分に大満足である。


ただし、やはりマイルームの設備であるらしく窓は設置されておらず当然外の風景は一切見る事はできない。

またこういった部屋に備え付けられているはずのテレビの設備も無い。


…まあそこまであったら反則だよね。

私はベッドの感触を楽しみ、満喫するためにごろごろと転がる。


ここから動きたくないという誘惑に段々と捕らわれていくが…一応確認すべき事はまだあるので、未練を残したままベッドから起き上がる。


そう言えば紙が置いてあったけど何が書いてあったんだろ?

手元に握っていて…そのせいで若干くしゃくしゃになった紙を広げて内容を確認する。


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【スイートルーム特殊機能利用方法について】


スイートルームにはマイルームから実際にお越しいただく以外に機能を3点ご用意しております。

是非ご利用ください。


1.自分で作成したコミュニティールームにスイートルームの内装・設備を反映させることができます。

2.スイートルームの固定電話から貢献ポイントを消費してルームサービスをご利用できます。

3.マイルームから入場する際のスイートルームへのアクセス制限を設定する事が出来ます。


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…うーん正直微妙かもしれないね。

一番目はそもそも他の人に提供する気は無いから機会は無いと思う。

二番目は…これぐらいしか使わないかもしれないね。備え付けの電話があるからそこからするのかな?

後で確認しておこう。

三番目…これって無駄な機能だよね?

私のマイルームなんて入ってくるのはアンズぐらいだよ?

アンズ相手に籠城できると考えるとそりゃあまあありかもしれないけど、後が怖いから結局やらないだろうしねー。

まあそれを考えると…


『えーなんで私だと注文できないの?お水持ってきてよ』


…は?

近くから上がる声に向けて私はバッと振り向くと何故かうちの植物ボールが(つた)で器用に受話器を取って通話してるじゃないですか。

私はすぐ立ち上がるとふざけたことをしている植物ボールをむんずと(つか)むとそのまま部屋の外に出る。

そのまま扉に向けて画面を立ち上げるとサポートユニットのスイートルームへのアクセス禁止設定をする。


『扱いがひどいんじゃないですか!私にも自由を…』


「やかましい!」


そういやこれがマイルームで自由に行動をしているのを忘れていた。

もともとモンスターみたいなものだし放し飼いの現状がおかしいんだよね。

いっそ檻でもないものかなと思ってしまう。

これの行動を制限できないのは由々しき問題のような気がする。


…まあ手段が無い以上は現状は仕方ないか。

私はせっかくの極楽気分を放棄させれてしまって不機嫌であるが踏ん切りがついてしまったため報酬の続きを確認する事にする。


次はというと…愛想のかけらもない無骨な鉄の扉である。

この先には何があるのか…アルファベット三文字で何かわかるわけないでしょうに。

私はそっとため息をつくと扉を開くことにする。

扉の中の空間はというと、先ほどのスイートルームよりも広大な空間が広がっていた。

広さ的にはさっき開けたスイートルームと空間的にぶつかってしまっているような気がするけど…どうやらこのゲームではそういう事は問題無いらしい。

アイテムだとマイルーム入りきらずに事故が起こったという事は掲示板で見たような気がするけど…マイルームの施設は別座標にでも設定されているのかな?


まあ事故が起こってないならそれでいいや。

さて『AMF』の中身だけど…一言で表すなら無機質というか機械的というかそんな感じの部屋である。

壁は剥き出しの鉄製で部屋の中央にはベルトコンベアが三台設置されている。

ベルトコンベアは一メートルサイズが二つと…何を載せたらこんなサイズが必要になるのか疑わしい二十メートルサイズの巨大な物の計三台である。

そしてそのベルトコンベアの両側には様々なロボットアームが天井から伸びてきている。


…何かの工場なのかな?

下手に触って壊してしまうのもまずいし…さっきのスイートルームみたいにどこかマニュアルみたいなものは落ちてないかな?

辺りをきょろきょろと見まわすとパソコンのような機材が置かれている。

近寄ると電源が入っていいるし、操作は可能みたいだね。


私は画面を覗き込むとこのように表示されている。


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【AMF利用方法について】


AMFは非生体物資の取込・分解・修理・加工を自動で行う施設です。

操作は本端末より実施可能です。


1.取込について


アイテムの設計、仕様、構造等が記録されたアイテムを本端末より取込可能です。

取り込んだデータは一定確率でアイテムのデータとして当施設に登録されます。


【注意事項】

・取込に使用したアイテムは消費され、ロストします。



2.分解について


当施設備え付けの分解ボックスにアイテムを格納いただきその中のアイテムを分解可能です。

どのような形へ分解するかは本端末より設定可能です。

本端末より分解を実施で実行されます。


分解したアイテムは在庫ボックスへと移動されます。

分解したアイテムは一定確率でアイテムのデータとして当施設に登録されます。


【注意事項】

・分解したアイテムは元に戻りません。

・分解にはアイテムの種類・分量に応じて時間がかかります。

 時間はログインをしていなくても経過します。



3.修理について


修理対象のアイテムをベルトコンベアへ設置ください。

在庫ボックスへ修理に必要なアイテムが揃っている場合は修理開始を本端末より実行可能です。


修理したアイテムは在庫ボックスへと移動されます。


【注意事項】

・修理に使用したアイテムは元に戻りません。

・修理にはアイテムの種類・分量に応じて時間がかかります。

 時間はログインをしていなくても経過します。



4.加工について


在庫ボックスの中のアイテムを別のアイテムへ加工する事が出来ます。

加工の際は空いているベルトコンベアを1つ指定いただく必要があります。


加工したアイテムは在庫ボックスへと移動されます。


【注意事項】

・アイテムを加工するにはアイテムのデータが必要になります。

・加工に使用したアイテムは元に戻りません。

・加工にはアイテムの種類・分量に応じて時間がかかります。

 時間はログインをしていなくても経過します。



5.在庫ボックスについて


本端末より管理可能です。

ボックス内のアイテムは当施設またはマイルームへと任意で移動可能です。


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説明を斜め読みしたところ…まあ色々と便利に勝手にやってくれる設備というのはわかった。

これがあれば自転車が修理できたり貢献ポイントを使わずにアイテムが生産できたりするというのはありがたいような気がする。


…けどアイテムのデータを集めなければいけないのは面倒だよね。

これを活用するためにはどれだけのアイテムが必要になるのか…将来必要になるアイテムの多さを考えたくなくなってしまう。


けどまあとりあえずは色々と試してみるかな?

まずは修理という単語でピンときた随分前に壊れた名誉ある自転車をマイルームから持ってきてベルトコンベアに置いてみる。

すると端末の修理ボタンが表示されたけど…真っ赤に表示される。

下には赤くエラーメッセージとして『修理に必要なアイテムが在庫ボックスにありません。』と表示されている。


そりゃまあこの施設手に入れたばっかりで空っぽだからね。

初期不良のバグで修理できないかもと思ったけどそんな事は無かったようだ。


まずは在庫ボックスへとアイテムを増やさなければいけないと…。

私は何を放り込もうかと考えて周りを見回す。

すると足元にはコロコロと先ほどから迷惑な事しかしていない私のサポートユニットが転がっている。


…こいつ全然サポートしてくれてないし、ここで役に立ってくれないかな?

私は先ほどと同じように掴み上げると端末とは逆の場所に設置された『分解ボックス』と記されたダストシュートのようなものを見つける。


すぐさま電子レンジのように箱を開いて手元の物を中へ放り込んでバタンと分解ボックスを閉じる。


『生体物資が分解ボックスに設置されています。生体物資を取り除いてください』


…駄目か。

すぐさま警告メッセージが分解ボックスから流れてくるので私は溜息をついて分解ボックスから対象物取り出す。


『分解って何をするんですかー!?』


手元ではうるさく騒いでいるけど私はそれを聞き流しながら次は何を分解してみようか考えてみる。

…そういや拳銃の弾って結構あったよね?

私はマイルームまで戻るとお目当ての物である9ミリ弾の箱を探し当ててそのまま分解ボックスの中に一箱丸ごと放り込む。


…二箱あるしまあいいよね?


後は端末まで戻ると今度は分解のボタンが現れて緑色に点滅している。

どうやら実行可能なようで…かかる時間は三時間と表示されている。

迷わず分解ボタンを押すと実行中と黄色く表示された。

これでどうやら分解を実行はできたみたいかな?


念のため分解ボックスを見てみると光を出して点滅していた。

…好奇心に駆られて分解ボックスを触ってみたけど分解中は取り出すことはできなかった。


さて、この施設もどういったものかわかったしそろそろいいかな。

最後の施設はというと…これはマイルームに備え付けられた機械だよね。

マイルームに戻って見てみると…まあこれもどのように扱うのか初見ではわからない。

見た感じは巨大なパソコンに人が二人ぐらい入りそうな縦長の巨大な円筒状のガラスケースがくっついているという感じかな?


これも端末に電源が入っており、画面に説明が書いてあるようなので読んでみる。


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【脳情報スキャナーシステム利用方法について】


脳情報スキャナーシステムは生体物資の脳情報を深層まで含めて精査、データ化するシステムです。

頭部等の脳が含まれる部位アイテム等をスキャン用ポッドに入れていただき実行します。

スキャン対象、または大きさによりスキャン時間は変動します。


【注意事項】

・スキャン対象が死亡している場合、スキャン後に対象アイテムはロストします。

・スキャン対象が生存している場合、スキャン後に対象アイテムはロストしませんがスキャン時間は死亡時よりもかかります。

・プレイヤーはスキャン用ポッドに入れる事はできません。



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…読んでもこれはよくわからなかった。

いや、名称からして脳をスキャンするというのはわかる。

…何をスキャンするのかもわからないけどさ。

じゃあスキャンして何の意味があるのかな?

結果がわからないとこれでよかったのか少し不安になる。


…うーんこれは選択がまずかったかな?

とりあえず交換した以上は使わないと勿体ないと思うんだけどどうしようかな。


…いや待って?

スキャン中はこのポッドと呼ばれるガラスケースの中でスキャンされ続けるんだよね?

それ即ちこれで一定時間隔離できるという事じゃないかな?


私は開いていたスキャンポッドの床の中心部に手で掴んでいたサポートユニットを降ろすと端末を操作してスキャン開始のボタンを押す。

するとバタンとスキャン用ポッドはカシャンと閉じてホルマリンのように液体が流し込まれていくではないか。


『ちょっと!何するんですか!やめて!ここから出して!』


中で何か騒いで暴れている気がするけど気にしない。

びくともしないスキャン用ポッドの頑丈さに私は満足していると端末にメッセージが表示される


『スキャン完了まで22時間』


22時間は隔離できるという事が保障されたらしい。


…とても素晴らしいね。

一瞬でも外れアイテムと疑った私を(しか)りたいぐらいだよ。


スキャン用ポッドに液体が満たされると端末は光を発して機械音を鳴らし始める。

それと同時にスキャン用ポッドの中のサポートユニットもそっと目を閉じ安らいだ表情で液体の中を揺蕩(たゆた)いはじめたのだった。

クリスマスに投稿しようと思いましたが間に合いませんでした!

メリークリスマス(遅すぎ)

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