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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
18日目 海外から来た少女
181/291

11.奥の手

大変申し訳ありません

本話長くなりすぎたため二話分割とさせていただきます。

続きは近いうちに必ず投稿するため今しばらくお待ちください。

タクシー(傷あり)車内 12:40 タクシー運転手 河田



早く早く一秒でも早く!

遠く遠く一メートルでも遠く!


俺は混乱と恐怖で頭がいっぱいになりアクセルを踏み続ける。

何でだどうしてこうなった!?


車庫からタクシーを出して走り始めると早速拾われたのは幸先(さいさき)がよかった。

さらに乗客が若い美人の姉ちゃん達となって少しテンションがあがったさ。

おまけに長距離運賃という良い稼ぎまでおまけで突いてくるといういい事ずくめの三連発である。


そこから楽しくお話をしながら目的地までドライブをする…そうなるはずだった。

赤信号で停止をしていると背中から衝突…腰が!?


畜生どこ見て運転してるんだよと思ったら窓をガンガンと叩いてきたのは暴力団だった。

当たり屋かよ!?

ちくしょー運がねえ。


…ここはなんとか早く終わらせて警察を呼ぼう。

そう思って脅されながら早く終わってくれと祈っていた時だった。


助手席に乗っていた金髪の姉ちゃんが拳銃を奪ってあっさりと撃ちやがった。


…あれ?

後ろで陰鬱(いんうつ)にしてた人じゃなくてさっきまで物凄く天真爛漫(てんしんらんまん)に笑って会話してた人ですよね?

目が全然笑っていない…。


その光景を呆然と見ているとドアを開けてまた銃声が鳴り響く。

あっという間に死体がたくさん出来上がってやがる。


何だよこれどうなってんだよ!?

俺はもう混乱の極致だった。

死人が出たとか仕事どうなるんだよやっぱりクビなのか!?

というかあの姉ちゃん怖えよ!俺も撃たれるんじゃねえのか!?

いや、銃を持っているあの姉ちゃんより暗そうな今出ていった姉ちゃんの方が実は怖いとか!?

そもそも警察呼んだとか言ったけどあんなことやらかす連中が本当に呼んだのか!?


ひとしきり混乱しきると俺は疲れ果ててがっくしとハンドルに突っ伏す。

そして落ち着いた所で冴え渡った答えがこみ上げてくるではないか。


こんなのと付き合ってられるか!俺は逃げる!


そっとバックミラーで確認すると姉ちゃん達はこっちに注意を払ってないチャンスだ!

俺はここが勝負の決め所だとアクセルを力強く踏み抜いのだった。


「クソ…今日は吉日じゃなく厄日だったとは…おわ!?」


俺は急ブレーキを踏んでタクシーを止める。

運悪く赤信号に当たっちまったせいでいったん止まるしかねえ。

しかし距離は結構離したはずだ。


俺はこっそりと後ろを見るが…やはり追いかけてきていない。

そこで俺は緊張のせいで腹の中に溜まっていた息を全て吐き出す。


ひぃーー助かったー。

いやあ…運はまだあったんだな。

あんな危ない所から逃げ出せて俺は開放感に浸る。


とりあえず会社に連絡すっかなー…。

そうぼんやりし始めていた時である。

何故か窓がコンコンとノックされる。


音にビクッとして顔を上げると…またヤクザらしきサングラスに黒スーツのがっしりした男が立っているじゃないか!?

周りを見回すと同じようにサングラスに黒スーツの男や女がタクシーの周りを取り囲んでいるし…。


ハハハ…今日は絶対厄日だ。

そう最後に思うと俺の心は限界を迎え気絶したのだった。




湯島家宅 通信指令室 12:50 湯島杏子


私の目覚めの気分はあまりよろしくない。

それは睡眠時間が足りないことではなく、爺では処理しきれない事態と聞いてから頭に不安がよぎっているせいである。


歩きながら数時間の思考を停止していた状態から立ち直るべく靄のかかった思考を振り払っていく。

そして扉を開けると部屋の中から飛び交う情報が次々と入ってくる。


「Z市から侵入を企てた対象ブラボー制圧完了」


「タクシーを確認しましたが、二味様およびホームステイ相手は乗っていません!手荷物は残っているのでこちらで回収します」


「都内の事務所でも構成員が集まっています。警視庁に圧力をかけて貼りつかせます」


「県知事経由で圧力をかけていますが県警本部は依然沈黙を保っています」


…私が仮眠を取っていた数時間の間に戦争みたいになっていないかしら?

断片的な情報を拾っていても混乱するだけね。

私は席につくと爺を呼び状況を説明させる事にする。


「爺?どういう事か説明をお願いするわ」


「はい、杏子お嬢様。約一時間前に二味様が乗ったタクシーが暴力団「鹿髏(ろくろ)組」の襲撃を受けたと連絡がありました。二味様からの情報によると鹿髏組と県警察の一部が裏で手を組んでおり、依然襲撃を受けています」


…何をどうしたらそんな大事になったのかしらね?

やはりニミリの誘拐を狙っているのかしら?


「他にわかっている情報があれば続けて」


「はい、県警察はこの襲撃に伴いY市に検問を設置しました。しかし鹿髏組を追跡する事もせず道を塞いでいるだけである事を考慮に入れますと…県警察の一部…それも上の役職にある者がグルというのは信憑性が持てます。確実なのは苅谷という警部が通信記録から黒であるという事ですな。鹿髏組も構成員を集めており、こちらは我々の方で封鎖及び排除を随時(ずいじ)実施中です」


なるほど…(すみ)やかに解決はしなければならない事案でしょうけど打てる手を的確に打っており問題は無いように思われる。

ニミリでしたらそれぐらいの襲撃なら三日ぐらいは軽く逃げられるはずですしね?


「現在車で逃走中らしく同乗者は三名、二味様と二味様のホームステイ相手と東雲(しののめ)という女性ですね。こちらは現在調査中になります」


…ホームステイの相手はわかるけど東雲って誰かしら?

不確定な物が混じっているというのはよろしくないわね。


「そしてここからが杏子お嬢様の裁可をいただかねばならない事になりますが…かの国の駐留軍が動いてます」


「何ですって?」


私は思わず身を乗り出して聞き返してしまう。


「Y市の海軍基地からかなりの数の車両が北上しているのが確認できました。それとですが…衛星の情報はどうなっている?」


「入りました!中央モニターに出しますご確認ください」


オペレーターから回答されると共に遥か上空からのY市の海軍基地の映像が映し出される。

そこからオペレーターにより注目すべき情報がピックアップされて拡大される。


「駆逐艦『ハメル』および駆逐艦『バクスター』が出港して北上しています」


「空母『サミュエル』よりヘリが数機発艦しようとしています。」


「ヘリだと?飛行許可の申請を絶対に承認するなと釘を刺せ!」


爺が慌てて指示を出す。

それに対してオペレータの一人がすぐに通話を開始するが…望んだ回答は得られなかったようで首を横に振りながらこちらへ報告してくる。


「駄目です。軍関係者が現地警察に襲撃されており信用に値せずと強硬に押し通されました。既に国交省が承認を出してしまっています。またこの事により政府に動揺が走っています」


「…やってくれるわね。こちらの裏技を潰してあちらだけ手を打てるようにするなんて…この件の黒幕は確定かしら?」


「恐らくその線が濃厚と思われます。いずれにせよ使用人にはそれ相応の装備を配備済みです。一般部隊が相手ならば渡り合う事は可能です。お嬢様にはまず政府への…」


先の話を進めようとしていたその時、海軍基地を監視していたオペレーターから切り裂くような悲鳴のような報告があがってくる。


「至急です!この映像を確認してください!」


何事かと思って見てみるとトラックに乗り込んでいる兵隊の映像が映し出される。

地上部隊も動かし始めたのかと思って見ていたけど…装備が普通の歩兵に比べて大柄に見えるわね?


「まさか…海兵隊…強襲装甲部隊を出して来たのか!?…奴等、本気という事か」


爺が驚愕しているけど軍事に疎い私でさえ耳にしたことはある。

パワードスーツという重装備を使用する熟練の命知らず共だったはずよね。


「爺、正直に言って。今の状況はこちらの手に余るかしら?」


「はい…現地の人員だけでは力不足ですな。儂が直接行けば多少はバランスが取れるでしょうがお嬢様のお側を離れるわけには行きませんからな」


…最悪、防衛軍の防衛出動を強制させるべきかしら?

けどそれだと確実に軍事衝突に発展してしまう…参ったわね完全に後手に回ってしまったわ。

いっそあっちのマスコミを動かして非難を集めて撤収させるのも…時間かかかりすぎるわ!


早く結論を出さなければいけないのにいい考えが浮かばず追い詰められていく。

どうすればいいか必死に考えを巡らせていると爺がこちらへ優しく言葉をかけてくる。


「杏子お嬢様。こんなこともあろうかとプランTを実施済みです」


…そう言えば仮眠を取る前に爺が言っていたわね。

プランTって何かしら?


「爺、プランTについて説明しなさい」


「はい杏子お嬢様。内容についてですが…」


爺の説明を聞くたびになるほど、これが大事にしないぎりぎりで一番いい手のような気がするわね。

私は説明が終わると深く頷く。


「爺、よくぞ良い手を残しておいてくれました。プランTを承認します。引き続き駐留軍の動きを制限するため政治圧力は引き続きかけ続けるように」


「お褒めの言葉いただきありがとうございます」


けどもう一手何か欲しいわね…。

あぁ!いい事を思いつきましたわ。


「爺!プランTを少し修正しましょう」


「…修正とは?」


「プランTのパイロットですが私がやりましょう!試験動作でも私がダントツで優秀でしたわよね?爺も私に付いて最前線に行けますし一石二鳥ですわ」


実はわがままを言って一回テストパイロットもやっているのです。

その時の成績は私が一番となっていましたから説得力も十分のはずですわ。


しかし私の提案に爺は顔を引きつらせる。

そして後ずさりながら爺はポータブルを取り出すと叫び始める。


「菅沼―!今すぐプランTを実行するんだ!お嬢様を抑えている間に早く!」


!?

爺の裏切り者!

私は何とか参加しようと駆けだそうとした所で使用人たちに取り押さえられてしまいましたわ。


…ぐすん。

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