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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
10日目~17日目 立夏のお散歩イベント
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閑話.イベント2日目 AfterBattle

今回はアンズ視点です。

その後何があったのか…書く必要は無かったかもしれませんがその補強になります。

私が見つけた怪しげな人形が変異生命体とかいう化け物だった事実から少し時間が経ち、ようやく私はハッと我に返る。

既にニミリも部屋から走り去っており、人形に擬態(ぎたい)をしていた変異生命体も虫特有のうるさい羽音を激しく鳴らしながらニミリの後を追いかけていってしまった。

めまぐるしく変わる状況についていけずポツンと呆けていたのだけれど、後を追わなくてはいけないわね。


きっとあれを引き付けるために先に行ったのでしょうけど、尻もちをついた私を放り出してさっさと行ってしまったニミリ…。

いくら私が原因とはいえあっさりと置いていきすぎではないかしら?


私は立ち上がると発電室から出て来た道をゆっくりと音を立てないように歩いて行く。

電気が通った廊下は来た時よりもはっきりと見えるため視界に困る事はありませんわね。

と言っても壁もずたずたに壊れていて、床に敷かれていたであろう真っ赤な絨毯(じゅうたん)はボロボロに擦り切れていますわね。

まるで嵐が通った後ではありませんか。

これですともう何もありませんと証明されたようなものであり、すなわち売り切れ…面白みがありません。

隣の展示ルームを通ればまだ面白い事があるかもしれませんけど…そこで仮に死んだ場合、ニミリにボロクソに怒られる事間違いありませんわね。

特に今回のイベントへの意気込みは私の方から言い出したわがまま、流石に下手な事はできませんわね。

仕方なしに私は展示ルームを通るという魅力的な選択肢をあきらめて入口へと歩を進めていきました。


しばらく歩いていると入口の方から激しい爆発音が急に鳴り響いて来る。

少し遅れて強い風が正面から私に吹き付けてくる。

廊下の先も一時的に眩しかった気がしますし…まさかニミリが何かしたのかしら?


何が起こったのかはわかりませんけど、とりあえず姿勢を低くして小走りに入口へと向かう事にします。



入口へたどり着くと、休憩スペースがあった場所が無残に破壊されている光景が目に入りました。

私はこそこそと壁際に移動し倒れたテーブルに身を隠しながら周りの様子を伺います。

手前の方には私をだました上にニミリの背中に傷を負わせた不届き者が真っ二つになってますわね。

ざまあみろですわ。


でも肝心なニミリはどこかしら?

するとズシンズシンと大きな足音がするではありませんか。


私は足音の方へ警戒しながら視線を向けると…そこにニミリがいますわね。

噴水の前で尻もちをついて成し遂げたという笑顔をしていますわね。


けどニミリの真後ろには巨大な石像が歩いて近寄っているではありませんか。

先ほどの足音はこの石像の足音ですわね。


…それどころではありませんわ!ニミリが危ないじゃありませんか。

私は声を張り上げようとしたところでふと思い直します。

私のところまで響くような足音がニミリに聞こえていないはずないですわよね?

という事は耳がやられているのでは?


私は声では駄目だと判断してテーブルの陰から乗り出し、身振り手振りでニミリの方へ背中が危ないと伝えようとしますけど、全く気付いてもらえません。

やがて石像は全く気付いていないニミリを前にして止まると手に持っているライトを操作し始めました。


何かをする前兆かしら?


そこでようやくニミリが背中に石像がいる事に気づいたのですけれど時既に遅しですわね。

石像のライトから銀色の光が照らし出されると、照らされたニミリがあっという間に銀の彫像に早変わりしてしまいました。

ニミリの彫像の周りにはニミリが拾っていたであろうアイテムが散らばっていきます。


どうやらあのライトに当てられると像に変えられて即死のようですわね。

石像はライトを操作して銀色の光を消すとニミリの彫像を抱えて噴水の前に展示してしまいました。


そこで私はハッとして重要な事に気が付きました。

死者を展示するのはホラーゲームのよくある光景なので問題ありません。

ここで重要なのはあのニミリの彫像は動かすことができる。


よってアイテムとして持ち帰ることができるのではありませんか!?

マイルームに飾るニミリの彫像…悪くないですわね。

死体を飾る趣味はございませんがあれは彫像、美術品ですわね!


そしてニミリに身振り手振りをしている時に気付いたのですけれども、警備員室がセーフエリアになっているではありませんか!

すなわち距離的にも近いと来ました。

そして本日は時間的にほとんど残っておらず、ニミリがいない状態でこれ以上進むのは難しいですから…ここで私があの美術品を持ってエスケープしても何の問題もありませんわね。

むしろしないという選択肢がありません!


問題はあの石像ですわね。

ニミリの彫像を運んでいる時に万が一にも邪魔はされたくないですし…。

ならば話は簡単ですわね。


私は肩紐にかけている対戦車ロケット弾を手に取るとどうやって撃てばいいのか調べ始めます。

確かスイッチを押せば伸びるとかニミリは言っていましたわよね?

あれこれと操作をしていると何かボタンのような物を押すとシュッと水筒のようなものが縦に長くなりました。

なるほど、ここの部分が発射スイッチで…前はどちらかしら?

よく見るといつの間にか照準が付いていますのでこっちが前ですわよね?


私は重たい筒を肩に担ぐと少しでも距離を詰めようとこっそりと石像に近寄ります。

これは使い捨てと聞いていますので外したら終わり…それなら確実に当てないといけません。

それにしても身をかがめながら近寄るというのもじれったいですわね、早く撃って楽になりたいものです。

そう考えていたのがダメだったのでしょう。


注意が他に()れてしまっていたせいで壊れたテーブルに体をぶつけてしまい、ガランと物音を立て倒してしまいました。

ビクッとして音を立てたほうに注目してしまいましたけれども、問題はあの石像の方です。

私が恐る恐る正面に視線を戻していくと…明らかにこちらを見ていますね。

石像は私の事を確認するとすぐさまライトに光をつけようとし始めています。


これはまずいですわ!?

もう破れかぶれです!

私は肩に背負った対戦車ロケット弾の照準を石像の胴体の中心に向けるとスイッチを押します。

すると肩の方にすごい力がかかり、明るい火の玉のようなものが吸い込まれるように進んでいきます。


しかし私はその当たる瞬間を確認する事ができませんでした。


「へぶ!」


後ろから物凄い力がかかり私は前へ倒れこまされてしまい顔から突っ伏し地面にキスを強制させられてしまいました。

うう…ぶつけたお鼻が痛いです。

私が痛みに悶えながら地面とキスをしていると爆発音が前の方から響き渡りました。


ヒリヒリするお鼻をさすりながら体を起こすとそこには胴体と下半身が粉々になっている石像が目の前にありました。

ライトもどこかへ吹き飛んだようで停止した石像の上半身だけがそこに存在しています。


や、やりましたわ!

私は喜んで飛び上がると石像の脇を抜けてニミリの彫像に向かいます。

あれだけの爆発…壊れていませんわよね?


ニミリに彫像に向けて手を伸ばすとアイテムのコンソール画面が開きます。

どうやら持ち帰れるようです。


完璧ですわね!

後はこれをセーフエリアまで運んで…


あら、何でニミリの彫像が逆さまになっているのかしら。

それに思ったように頭が動かない…と言いますか勝手に動いていますわね。


視界は私の意思に反して勝手に下へ下へと移動して…その時目に入ったのです。

石像の背中から緑色に光った目をした白い巨大な蜘蛛が這い出ていた事に。

そしてその白い蜘蛛の鋭利そうな足の一本が赤い血で塗られている事に。


『残念ながらあなたはゲーム内で死亡しました。 規約に基づき十分間のログイン制限を実施します。』




この話を十分後にニミリのマイルームでした時にニミリからはその白い蜘蛛が石像を操っていのではないかという事でした。

その蜘蛛に首を切り落とされたのが私の死因との事でしたわね。


その後何があったのかニミリと情報共有のために話をしました。

そこでは私の邪な考えがあったことはごまかそうとしたのですけれど、話をするにつれて違和感を察知されてしまい余計な事をしたのがばれてしまいました。

…結局ニミリに頭をぐりぐりとされながら怒られてしまいましたわ。


それにしても、ニミリって最近私の扱い雑じゃないかしら?

アンズ、アウト!0ポイント

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― 新着の感想 ―
[一言] 余計なことをしなければトップの可能性高かっただけにそら怒られますわ
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