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アンノウンディザスターオンライン  作者: レンフリー
1日目 ゲームはじめました
13/291

13.veryhard エスケープ

ただでさえ地面の甲殻生物だけでも手詰まりなのにバタバタと空を切り裂く音がこちらに近づいて来る。


「あー、こりゃ詰んだわね。」


精神的に疲れているせいかマイナス方向へ考えが寄ってしまう。

ここまで頑張って来たがさすがにもう脱力しきりである。

ここへ来る以上どうせあの音もヘリコプターのように見えて何かの敵であると予想される。

昔の怪獣映画でもあったけど今度は水中とか地中とかからも寄ってきそうね?


そんな投げやりのような考えで音のする方を見たのだが、目に映ったのは普通の一昔前の国防軍仕様の攻撃ヘリと兵員輸送ヘリである。

しかもこちらに一切攻撃してこない。

それぞれ二機、三機の編成であり私の頭上をそのまま無視して通り過ぎていく。


あっれー、どうやら敵ではなかったようだ?

予想はどうやらいい方向に外れたみたい。


都合よく救助もしてくれないようだけど…ヘリの飛び去った方向…道路から反れるというのは悪くない考えかもしれない。

どうせ今こちらに向かってきているタイヤ走行の蟹に直線運動では勝てる要素は全くない。


ならば道をそれて細い道や入り組んだ道を行くというのは悪くない、いやむしろいいかもしれないね。

幸いヘリコプターの飛んで行った方角は別の住宅街になっている。

きっとそれほど広い道もないでしょうしまっすぐ走れる道もこのままよりは少ないかもしれない。

さらに上手く道を細かく変えていってやれば、ひょっとすると蟹は見失うかあきらめるかもしれない。


そうと決まれば目の前に迫りつつある蟹達にひかれる前にすぐさまハンドルとブレーキを駆使して、住宅街の小道へ侵入する。

すぐ後ろではブレーキ音が鳴り響き交通事故のような金属音と衝突音が多数聞こえる。


多分間一髪で蟹を振り切ったのだろう。

後はダメもとで全力で逃げることにする!


自転車のフレームが歪んでおり全速でというわけではないけど十分である。

途中、緑色に変色した太った男やひょろっとした女、挙句の果てには少し揺れたような気がしたマンホールですら視界に入り次第割り切って道を変えて進んでいく。


それでも後ろから響く異音を背に私は爽快な気分で進んでいく。

先ほどまでビクビクと少しずつ進んでいた反動だろうか?

疲れているせいでもうどうとでもなれと考えているせいだろうか?


途中どこからかカラフルな液体が飛んできたり、怪音が鳴り響くがそんな細かいことは知ったことではない。

ただひたすら進むのみである。


しばらく漕いで進むと視界が一気に広くなる。

ヘリコプターのローター音もするため、確認のために一度自転車を止める。

住宅街の真ん中に開けた場所がある。

そこには鉄柵が立っており中に木と遊具が見える…公園だろうか?


『西小栗公園での救助活動は後5分で打ち切ります。避難対象者は5分以内に救助用ヘリコプターへ搭乗ください。』


空き地の中心の上空では攻撃ヘリが二機旋回しており、その中心に輸送ヘリが三機待機している。

数が一致しているのでさっきのヘリコプターだろうか?

そして輸送ヘリからはハシゴが下りており、その周りの小さい部分だけ水色に光っている。


これがセーフエリアかな?

あんな狭い範囲だと全然安全とも言えないようなきもするけど今は気にしても仕方ない。

何はともあれ先ほどの紫色のセーフエリアと違って今度は色もあっている。

さらにアナウンスが正常なら時間制限式のようなのでさっさと脱出してしまおう。


最後の一頑張りと思って自転車を漕ぎ始めようとしたその時であった。

輸送ヘリの一機が爆発して墜落した。


「え…セーフエリアなのに攻撃されるの?」


地面を見ると三箇所あったセーフエリアは二箇所に減っている。

何にやられたのだろうか?


後ろを興味本位で振り向くと、そこにはさっきの廃車を背負ったヤドカリが道路脇のアパートを押し倒しながらこちらを見下ろしている。


…どうやらヤドカリの方も全然あきらめていなかったようだ。


ヤドカリは道路の時と同様に廃車を射出する。

放物線を描いて飛ぶ車は私の頭上を越えていき…また私の背中より爆発音と墜落音が響き渡る。


これはセーフエリアじゃなくてセーフエリアを作っている物体を攻撃しているのだろうか?

…そしてこれって私を逃がさないために逃げ道を潰してる?


ぼんやりとそんなことを考えていたが、淡々とセーフエリアを潰しているヤドカリに旋回していた攻撃ヘリが機関砲で攻撃をしている。

けたたましい音と共に光の線が何度もヤドカリに着弾し火花を散らす。

派手だなー、NPCも攻撃してくれるのねと思いつつもある事に気づき私は振り返る。


振り返って確認するとセーフエリアは後一箇所である。


「あ、やばい。見学してる場合じゃなかった。」


そう、これはゲームである。

演出がいいのは問題ないが見入って失敗しては元も子もない。

自分のやるべきことを思い出したのでヤドカリと攻撃ヘリの怪獣映画のような風景からセーフエリアに視界を移そうとしたその時、住宅街の屋根からガチャガチャとした機械音が聞こえてきた。

なんと蟹さん達が私の後ろの住宅街の屋根伝いにこちらへ向かってくるのである。

家の屋根を八本の脚で跳んだり走ったり踏破してきている。


…なんて器用な?!


ここのセーフエリアを逃したら間違いなく蟹につつかれてゲームオーバーになってしまう!

私は自転車を必死に漕ぎだし始める。


それに対し、蟹達は私に向かって住宅街の屋根より飛び掛かってくる。

私は潰されたら終わりなのはわかっているので全力で漕ごうとしたのだが…上手く力が入らずくらくらとする。


幸いなことに直接潰されることは無かったが、着地した蟹は勢いのままはさみを振り回しながら迫ってくる。


「ああもう、しつこい!」


蟹のはさみの範囲が脅威的なまでに広い。

一回でも捕まったら終わりなのにそれが複数いる。

私はふらつきつつも速力をあげるため漕ぎ続ける。


背中では先ほどと同じような爆発音と墜落音が二回聞こえた。

多分やられたのは攻撃ヘリの方だろう。

もう時間の猶予はないはずだ。


私は自転車をそのままハシゴに突っ込ませてそのままつかみと…れればよかったのだけど、手はスカっと宙をきる。


「げふ!」


感覚的にはつかんだと思ったのに手が思ったように動かないのだ。

首がハシゴにそのままひっかかり女の子が出してはいけない声が漏れる。

頭からそのままハシゴへ身体が絡まってしまう。


おかしい。

何故か身体がうまく動かない、視界がぐらぐらになり気分が悪くなりそうなエフェクトにさらされる。

状態異常か何かで身体が思うように動かないように設定されているかもしれない。。


しかしハシゴに絡みついているだけという不細工な格好になってしまったが、私がセーフエリアにいるのは間違いない。


頭から突っ込んでしまったため変な態勢であるがコンソールを開く。

メニューからエスケープが選択できるようになってるね、うん。


後はエスケープさえ押せば…って手もうまく動かない!?

どうなってんのよこれ?


後ろからは蟹が迫ってくるガチャガチャ音が響き渡って来るし、いつヤドカリにセーフエリアが壊されるかわからないので気が気でない。


「動け…動けーーー。」


指がプルプルと震えて少しずつエスケープへ近づいていく。

後ろからはガチャガチャと不吉な音が近寄ってくる。


ようやくエスケープボタンへそっと私の指が触れた瞬間、視界は全て切り替わる。




「おかえり、ニミリ。愉快そうな格好で何よりね。」


面白そうなものを見つけた顔でこちらを覗き込むアンズの姿がそこにはあった。


表現力語彙力全てが欠如しているとしか思えない…

読みにくい点大変申し訳ありません。

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