記憶-Do-
里へは思いのほかはやくつきそうだった。戦時中のため軍隊をさけてとおらなければならず険しい道のりを歩んでいた。
濁流の川にきりたった崖、鬱蒼とした湿地帯に壮大な草原、ラムゥトとオズを抱えて二人とぼっさんとユイは歩き続けた。
「もう半日ってところでさぁ」
「よかった。ラムゥトまっててね」
草原をぬけ崖につくと、そこには人が一人通れそうな道がある険しい溪谷があった。
傭兵団はここまでだというとアイリの身ぐるみをはごうと襲ってきた。
「与作力をかして!」
ゴブリヴェンジャーと与作の二本の刀が震える。
「刀の声がきこえるの・・・ちょうど血をすいたがってるみたい」
「なにをいうとるんじゃ小娘が!みぐるみおいてけ!」
「もう三十路じゃヴォケェエエエ!!」
アイリは切れた。
どんな鋭利な日本刀よりもキレタ。
「キェエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「人には踏んではいけない地雷というものがあってな」
テツオがそういうとダークヒーリングの力で現在進行形のアラサー独身女の黒歴史を浄化した。
「いえぇるんじゃぁ^~」
などといいつつも襲ってくる陽兵団員を切り裂いていく。
「糞っ雨がふってて周りがようみえん”っ!!
雨は降っていなかったアイリの心の中では別だ。
「雨なんてふってないぞ、癒してやろうヒィイイいいいいいいリング!」
「ぁぁあ^~心がピョンピョンするんじゃぁ^~」
「助かるわテツオ!」
「感謝するがよい!」
「糞ってめえらどうしてこんなにつええんだ」
「下衆が口を慎め」
金田に言葉でとどめをさして、身体的に縄で拘束する。
「畜生めっ!てめえらなんざおっちんじまえばいいんだ」
「もういいから」
そういうとアイリは金田の口にゴブリンの糞をつめこんで封をした。
「ここに放置していきましょう」
「そ・・・そうだな・・・」
テツオはすこし不憫におもいながらも心がスカッとした気分だった。
溪谷を二人で進んでいくとそこには村があり、岩の彫刻でできた建造物が広がっていた。
村に着くとアイリ達を出迎えたのは雷岩族の長ラムディンだった。
「なにようじゃ人の子」
「あの・・・これ・・・治してくれませんか?」
「ラムゥトのコアか・・・きゃつめ無茶をしたようじゃな・・・」
こちらへくるがよいと村の祭壇へと連れていかれ、供物として魔石をあるだけおいていった。
「十分な量の魔石じゃな。ラムゥトもこれでよみがえらせれよう」
「あ”り”がと”う”」
泣きながらお礼を述べるアイリにテツオは頭ポンポンをした。
「火薬のにおいがします・・・」
オズが小さな声でそういうと遠くの方から雷岩族の村人が手を振りながら叫んできた。
「おーい!村に敵襲だ!数は分からんが相当な量だぞ!」
村へ戻るとそこは戦場とかしていた。
「ひゃっはーその種もみをこっちへよこせー!」
「渡さんこれは明日への希望なんじゃ。明日が。明日が」
「ならなおさらその種もみがほしくなっちまったなぁ!」
どこかでみたことあるやりとりをアイリはしばらくみつめると与作とゴブリベンジャーで敵を切った。
「ありがとう。ありがとう」
老人の雷岩族はそういうとコアを光らせながら種もみを分けてくれた。
「それどころじゃないの。さっきの傭兵たちが応援をよんできたみたい」
「ぜってぇゆるさねえぞチビ女ァァア!」
ゴブリンの糞を食わされた金田がブチギレてきたようだ。
傭兵団のエンブレムを旗になびかせながら盗賊まがいのことをするホテルマイアミ。
「正義はわれらにありってなぁ!」
「かねだああああああああああああああああああ!!!!!!」
テツオが叫ぶ。
「うるせえぞ死ね」
スチームと魔力で発射するスチームライフルでテツオを狙っていた傭兵団員が狙撃する。
テツオのこめかみに擦れるギリギリのところをとおっていった弾丸。
「かあああああああねえええええええだあああああああああああ!!!!!!」
ダークプリーストの右手にかかった呪いが解き放たれる。
闇が触手の様に腕にとりつくと体全体を覆っていき巨人の如く大きくなったテツオは飛んでくる弾丸を全て闇で吸い込んだ。
アイリはその異様さに驚きいった。
「おもってたんとちゃうぅぅう。戦い方おかCーきもEー」
「アイリぃいいいいいいいいいいい」
巨人化した口から闇の吐息をだすテツオ。
「うおぉぉおぉいいいい」
闇に飲み込まれてしまうアイリ、しかしその中はテツオの愛で満たされていた。
「なにこの空間」
ほんわりと白い空間になげだされたアイリ。
映像が切り取られたようにそこかしこに浮いて走馬燈の様に見えている。
少し記憶をさかのぼっていき、この世界へ来た時の映像が眼前に映し出された。
突然、体が浮き上がり空間から元いた場所へと投げだされるアイリ。
「どうなってん!?」
傭兵団は巨人とかしたテツオの闇によって殲滅され村は焼け野原になっていた。
「アイリ・・・」
ユイとオズが倒れている姿がぽつりとみえた。
「僕はなんてことをしてしまったんだぁあああああああああ」
自分が暴走して引き起こしてしまった惨事に膝をつき崩れ落ちるテツオ。
後悔の念から涙があふれ出る。
死んでしまったオズとユイ、雷岩族の人々。後、傭兵達を思い出していた。




