誕生-Birth-
HOTELMiamiは宿泊施設兼軍事産業の傭兵派遣もおこなっている組織で、戦争ムードの中、中間地点で様子を伺っている傭兵団といったところだ。
アッパーの流通により下流の構成員が魔族化する現象が続き団員の減少に悩んでいるのが現状である。
「アッパーさえなけりゃうちは大繁盛してたはずなんだが、治安もわるくなっちまって客足がへっちまってる」
月の事をきいてみることにした。
「あぁ月のことなら噂にきいてるぜ。帝国の組織が王国で暗躍してるって立場上いろんな奴と出会うからな聞いたことがあるぞ」
「上弦と下弦がいてそいつらが指揮してるって噂だ。何でも王国と帝国を争わせようとたくらんでるという陰謀論まであるな」
「リザードマンは気性が荒いときくが上弦と下弦は人間に何か恨みでもあるのかもしれんな」
下弦と上弦の生立ちが現在の行動に大きく影響をあたえていた。
◆
二人は仲の良い兄弟だった。何不自由なくリザードマンとしての人生をすごすはずだったのだが10歳になるころ里が人間の密漁者によって荒らされてしまった。
密輸業者は慈悲などなくただ得物をかるためだけに集中しリザードマンのありとあらゆる権利を蹂躙した。
親子をひきはなすだけでなく虐殺まで行われその亡骸は調度品として重宝された。
憎い――。
憎悪だけが上弦と下弦を支配していった。
里を滅ぼされ命からがら逃げきった二人がいきついた沼地には天使と悪魔がいた。
切望のヨハネと羨望のナターシャである。
美しかった。
目を奪われ魅入っていると契約をしないかと囁かれた。
「熱くいきろよ!生きるってのは大切なことだぜなぁナターシャ」
「えぇそうね。生きるって美しいことよ羨ましいわ」
「「私たちと契約して強く生きなさい」」
「ここは天国なのか・・・」
「兄さん地獄かもしれないよ」
「あぁどちらでもいいこの無念さえはらせるのなら。まだ俺は生きたい!」
憎悪の月が産まれた瞬間だった。
◆
「なんにせよきなくさくなってきたことにはちげえねえな」
アイリは金田から情報を聞きつつイイチゴを飲む。
テツオは登場のポーズを練習している、何故かいつも元気だ。
「オズ・・・傷は癒えたかしら・・・」
「カルルル」
オズは言葉をはなせず四足歩行の形態に変化していた。野生に帰りつつあるのだ。
シンシンと降りしきる雨の中宿屋をでることにした。雷岩族の里についても情報を手にいれたので地図をたよりにむかう。
購入した馬車が揺れオズの傷口からじわりと血がにじみ出た。
満月である今、オズの体は非常に不安定な状態だった。月から放たれるマナの流れによって姿を変貌させるオズ。
再び二足歩行の人狼へと戻り、それにともない傷口も跡はのこるがふさがった様だ。
遠吠えをあげながら言う。
「すこし・・・疲れました・・・」
鑑定士のスキルリングでオズを鑑定しステータスをみるとHPが徐々に回復していっているのが分かった。




