密会-Huddle-
がんばりもす!
醜女のゴブリンがせっせと金を集めながら叫ぶ
「青は33倍!赤は2倍!さぁ、はったっはった!」
醜女のゴブリンは笛を吹きながらダフ屋よろしく
賭けの管理に満足せずにフロムからくすねた装飾品を転売していた。
「しめしめ・・・フロムの旦那は見栄と気前が比例しておおきくなりよるわぃ」
独り言のように呟く様は荒野のハゲタカの如く狡猾で醜かった。
だが、この場で誰も咎める者はいなかった。
醜女のゴブリンが笛を吹くと人が郊外に集まり
必然、出店が現れ残飯にかじりつく小魔獣も散見される。
醜女のゴブリンは新参者がフロムに関わることすら癪に障った。
マナの溜まった魔石を結晶化した”アッパー”と呼ばれる粉を密売していた
彼女にとっては好機であった。
義賊を気取り闇雲に悪を裁き善を良しとして路地裏を闊歩する。
「私がヴァレリア・ヴァルキリーよ!」
フロムと双対に成す彼女は伝説の小魔獣の皮で造った”与作”
の銘刀と盾を持つ伝説の侍であった。
ヴァレリアはアッパーをかくると、手に粉が付いたままポッケのクッキーをむさぼった。
ヴァレリアは虚ろな目で醜女のゴブリンに問いかける。
「プカード。アッパーの収益比率は昨月と比べてどうだ」
プカードは馴れた手付きで収納用の魔道具”にかわの麻袋”から”一繋ぎの貝殻”を取り出し、部下に説明を促す。
一繋ぎの貝殻からは僅かな雑音と活舌の良い男性の声が聞こえてくる。
「新規顧客の開拓は視野にいれず、中毒者を対象に純度の低いアッパーを販売することで3割増となっております」
「また、新商品として元のアッパーを高純度にて発売する事で新規獲得も視野に入れております」
つまる事なく言葉を紡ぎ続ける男は名のしれたやり手のコンサルタントの弟子にあたる者だ。
「魔石の需要高等により、来月からの損益分岐点は今年の変動費推移を考慮して100KGから純利益がでる予定となっております」
業務連絡を終えると交信を終了する旨を伝え、一繋ぎの貝殻の機能を終了した。
ヴァレリアは虚空を見つめながら身震いする。
「つまりはどういうことだ」
プカードはまたはじまったと手で顔を覆いながら言葉を選ぶ。
「つつがなく順調であると」
ならばよし、とヴァレリアは黒塗りの大量のスチームを排出する車でどこかへと消えていった。




