参上- Disastrous scene-
「異常なまでのマナの奔流を感じてきてみれば、何者だ貴様ら」
猫人はそう言いながら尾をしならせる。
「わ、私は――」
ラムゥトは主を守るように前面に立つ。
「主に無礼を働く前に、うぬが名乗るが礼儀であろう」
「はぁん?なんだい石っころがずいぶんと生意気な口をきくじゃないかい」
稲妻よりも眩しい光を放ち、閃光が駆け抜ける。
道端の草、葉は焼け落ちていたが猫人は目を眩ませて佇んでいた。
「にゃんッ」
「先ほどの非礼を亡き物にしろというのであれば目を閉じよ」
猫人は方膝をついて首を垂れる。
「ご主人様の懐刀となりますにゃ」
恭しく頭をあげた猫人は名乗った。
「ホークアイ」
「それが君の名前かな?」
恐るおそる剣と盾を主軸に顔を覗かせる。
カカッ!
「来た!メイン盾きた!」
どこからともなく聞こえる。
「先ほどの閃光――ナイトシーフである私が守護致す!」
黄金の鉄の塊で出来た武具を装着した騎士が参上した。
背筋にひやりと悪寒が走る。
氷ついた場の空気が先日までの貧しい生活を彷彿とさせた。
嗚咽する、というよりは吐気に近い物から来たものだった。
ナイトシーフと名乗る首長族の男にラムゥトは鉄槌の一撃を放つ。
迸る稲妻は盾を中心に同心円状に拡散し、霧散した。