教授-Mad-
「おっどろいたのじゃぁこれは破邪の玉で間違いない」
博士は無い髪の毛をなでる仕草をすると魔鉱石を破邪の玉と断定した。
「これで研究が捗るぞい!」
やけに嬉しそうにはしゃぐ姿は少年のそれに似ていた。
どうやらスチームの動力源としてずばぬけた力をもっているらしい。
すぐに近くにあったエンジンにはめ込むと動作の確認を行い、けたたましく高温のガスを噴出させながら36気筒の鉄塊は回転を始めた。
「うほほほーいこりゃぁ凄い。今までに無い回転数をたたきだしとるぞ!これで動かせなかった戦車もうごかせるってもんだ!」
ラムゥトは髭をそろえると何やらいいたげな表情をした。
「何かいいたげじゃの」
「ご老人よ。戦車とは禁断の魔道具ではなかったか」
「ムホホホ。言い伝えにすぎんの。禁断とはいえ一度も動いとらんのじゃからいかんともしがたいもんじゃ」
試しに破邪の玉を戦車のエンジン部分に填めこむと戦車はあらぶりながら起動した。
「うごいとる!うごいとるぞい!」
排煙機からモクモクとガスを噴出し、キャタピラが床を平に仕上げ、砲口部分が旋回する。
「弾丸を装填すれば魔弾をはなてるぞい!素晴らしい!」
「危険である主よ。我の影に隠れよ」
アイリはラムゥトの言う通りにした。
「自警団も安心できるでしょう。魔力をつかえぬ人族でも使える兵器ですから」
自警団は基本人族で構成されており王国の秩序を守るのがつとめだった。
魔力がつかえぬがゆえに魔鉱石と水水晶を動力にスチームの力をつかった兵器で魔族などを制圧してきたのだ。
下弦が騒ぎを聞きつけてくると目を丸くして驚き何かを考えはじめた。
「上弦よ戦車の運用はどうする予定だ」
マネージャーの上弦はリザードマンであり大工房のドワーフと親密だった。
「大工房の警備と運営にまわす予定でございます」
上弦はうねる尻尾を地に叩きつけながら浪漫に興奮しているようだ。
「空飛ぶ日もちかいぜこりゃぁ」
大工房のジャックがゴブリベンジャーをもってやってきた。
与作を持つアイリが二刀流をするのにちょうどよいであろうとラムゥトと顔なじみのジャックがもってきてくれたのだ。
「おほーかっこよいのだぁ!」
ブンブンと振り回し技を魅せるアイリ。
「しっとるぞ!動画でめっちゃ二刀流学んだからな!」
得意げに乱舞する様を皆でほほえましく見守った。




