獄中-Happy-
獄中でアイリは司法に訴えていた。
「三権分立ぞ!しっとるぞ!三権分立ぞ!!」
囚人枕に蹲りながら地団駄を踏む。
「主よ、難しき事柄は分からぬが時を要すると考えられる」
ラムゥトはコアを光らせながら頭を抱えていると、裁判長の雪姫とよばれる令嬢が鋼鉄の扉を開きやってきた。
ヴァレリアが薬物で変異した事実を生き延びた酒場の亭主から聞いた旨を伝えると二人の拘束を解いた。
白く綺麗に伸びた髪を結った赤目の人族である雪姫は首をたれた。
「裁判長のわらわがしっかりしていなかったが故に二人に不自由をさせてしもうた。非常に申し訳なくおもうておる」
アイリの頬をぷにぷにといじりながら釈明する。
「三権分立故にしかたない」
アイリは知っている単語で不服ながらも謝罪を受け入れ、ラムゥトにしがみつく。
「かわいらしいお方ね」
アイリをなでまわす雪姫。
ラムゥトは咳払いをしながら特殊な魔鉱石について話を聞く事にした。
「王家の刻印がされた魔鉱石をてにいれたのだが何か詳細を知ってはおられんか」
びくりと肩を震わすと雪姫はラムゥトの差し出した魔鉱石の刻印を見て頷いた。
「これは・・・伝承されている破邪の玉とうりふたつじゃ」
昔々王家に代々伝わってきた美しい宝玉があり、伝承には宝石が交わる時、世に災いが降り注ぐとされていたそうな
鉱石は異様なオーラをはなち続け、不気味に輝いている。
「伝承通りであれば一大事になりかねんの」
雪姫は魔鉱石をつかみとると従者に渡した。
ラムゥトはこれからの心配をしていたがアイリはこねくりまわされる頬っぺたに不満を募らせていた。
扉のおくから鎧のぼっさんが運び込まれてきた。
「わし・・・きもちええとこやったんやけど」
大工房で日光浴をしていたぼっさんは破邪の玉をみて鎧から汗をふきだした。
「そないけったいなもんちかづけんといてや!んまに勘弁してや!!」
鎧のぼっさんは魔力を具現化し体を作り上げるととそそくさと退散しようとした。
「まちなんし!鎧の親方様」
雪姫の従者が鎧を取り押さえる。
「ぁ、敏感なんでかんべんしてちょんまげ」
人と接する機会の少なかったぼっさんはマゾに目覚めていた。
「鎧が発情しとるぞ!」
アイリはほっぺたをこねくりまわされることから解放され満足げにツッコミをいれた。
「失礼なことをいうなメスガキ!しゃーいわすぞしゃー!」
「灼熱のリングありがとう」
アイリはぼっさんの具現化した指に灼熱のリングを返した。
「あぁぁぁぁあ染みわたるんじゃぁ^~」
ぼっさんは湯船につかったおっさんのような声をあげながら立ち上がる。
「破邪の玉やないけー!はよすてっ」
「んーーーーやばいもんがそろってもうたでぇーーー」
鎧を震わせながらぼっさんは破邪の玉をみつめ、スチームの科学力が進展する兆しを感じた。




