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歯車-Kronos-
私は願った。
強く生き抜きたい。
指輪が共鳴するように鼓動する。
「そなたの願いを叶えよう」
指輪に糸を通す様に鎖が数珠繋ぎされていく。
奇妙なネックレスが出来上がった。
そっと、それを首に掛けると両手に剣と盾が現れた。
空は晴れ渡、悠久の時を経て物語は加速し始める。
重厚な扉は閉ざされたままだ。
剣を鍵の様にドアノブに差し込む
カチリ――
歯車は動きだした。
けたたましい音と共に電撃が走る。
稲妻は導かれるようにネックレスへと落ちる。
――雷神招来
「主よ、馳せ参じました。我名はラムゥトと申す」
錫杖を片手に膝をつき扉の門を開け放つ。
「さぁ、ゆきましょう」
大地に錫杖を擦りつけながらゲートをくぐり抜ける。
荒廃した土地と成熟した建造物が入り乱れる不思議な空間が広がっていた。
「主よ、我を使い覇を成されよ」
疲れが出始めた、まずは休息だ。
「そうかきっと、これは夢なんだ」
ズキズキと痛む擦り剥けた膝が現実であるという矛盾を指し示していた。
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