一伍-Chaos-
地下工房とくれば密造酒!ってな感じの話です。
がんばりもす!
案内されるままに屋内へ入ると、ゾグンは客室へとアイリを案内した。
扉をあけると野鳥の羽を集めた布団の間にスプリングを挟んだ豪華なベッドがポツりとあるだけで生活館は無かった。
短い時間に多くの事が起こりすぎた。
アイリはベッドに身を委ねる。
「ふわふわしてます~」
「それはそれはご苦労様」
手を重ねて何かを期待しているゾグンはアイリに手を伸ばす。
「キャァッー!」
「イヤイヤイヤ!どうか落ち着いて、失礼しました」
ゾグンはチップを貰えない事に腹を立てた。
「縁起でもねぇ。勘違いされたらどうすんだ、全く」
とんでもない客を抱えてしまったものだと神父のゾグンは頭を抱えていた。
ラムゥトは神父に熟成された酒を差し出し飲ませようとする。
「このお酒は何という物ですか?」
「イイちご」
とろんと蕩けるようなまろやかさが売りのイイちごは薄めて飲んでから、六時間は魔力の行使をしない様に厳しく指定されている。
過去に飲酒状態で運転していた者は更に、厳しく処罰される可能性があり、酒気帯び状態での魔力の行使はご法度とされていた。
由来は原料に苺が使われている事から、五粒あれば作れるということであった。
芳醇な甘みが、舌鼓を打たせる。
「ラムゥト殿!これはもうありませんか?」
有るには有るが、量が限られているので出す事を止めた。
「申し訳ない。イイちごは希少であるからして余り無いのだ」
「それってぇと・・・」
「金貨一枚でいい」
ゾグンは今後もよしなにと金貨二枚を渡そうとしたが、気持ちだけで十分だとラムゥトは金貨を三枚仕舞わせた。
ラムゥトは侘しい思いをするかもしれないが、へそくりの在処はこの教会にしようと心に決めた。
「ラムゥト殿だけにお話し致します。今季は不作に不作が続き、一粒王国銀貨二枚の大台に乗った苺が帝国の南部で取引されているそうですよ」
「では、これにて失礼致します」
銀貨を一枚残してラムゥトはアイリの元へと向かった。
苺は品種改良がすすんで益々美味しい感じになってますね!




