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物語
ハイファンタジーにスチームパンクを混ぜた異世界物にしていきたいです。
氷河期を乗り越え、世界に光が射した時代――。
積雪は40m、建物が雪の下に埋まった状態であった。
少しばかり生き延びた人類は僅かに言い伝えられた知識と技術を駆使し、新天地となる桃源郷を目指して旅に出たのだが、旅先で出会ったのは深淵の門と呼ばれる日光を煌びやかに反射する重厚な扉だった。
門番と思われる恰幅の良い黒みを帯びた彫像の夫人は居丈高に言い放った。
「汝、狼の餌場へ赴かれる殊勝な羊であるというのであれば立ち去れ」
私は強く願った、そこに桃源郷があれと。
走馬燈の様に知るはずの無い記憶が眼前に湧き始める。
積み上げ崩されまた積み上げる。
面妖なる風景は時を刻み、絵画の如く美しかった。
視界が歪む。
刹那――
夫人の体、全体に金色の膜が徐々に侵食しはじめる。
逡巡する間もなく、装飾品を除いた部位が硬直する。
手にもっていた金剛石の指輪が風に吹かれ、どことなく主を失い寂しそうに揺れていた。
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