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所沢のニュートン 4

今話サブタイトル修正しました。

 近付くにつれ音が大きくなるのは良いとして、最初の数回を除き、これは破砕音?というよりは、単に何かを叩きつけるような音に聞こえる。音に紛れて、悲鳴というか、呻き声が聞こえる。

 悲鳴はともかく、一般人なら即死レベルの偉能力を受けて「呻き声」なんて聞こえるはずがない。


「これは出遅れたかな」


 小走りもやめて、徒歩で鈍行。

 現場に到着すると、駐輪場に二、三のクレーターが出来ており、ちょうど、分厚い本を持った女が五メートルほど打ち上げられた所だった。

 ぐしゃり、と痛そうな落下音が響いたが、当人はまだ動くこともできるらしい。本物の偉能力者で間違いない。となると、それを吹き飛ばした相手も、やはり偉人転生者か。


「ぐぅぅぅ……どうして……どうして(ジョン・ロック)の《統治二論》が通用しないの………」


 たぶん、中身を読んでないからじゃないかなぁ、と僕などは思うのだけれど、いかがなものだろう。

 横殴りや横説教をするわけにもいかないので、少し離れた物陰から覗くことにする。


 後ろ姿だからはっきりとはわからないが、ジョン・ロックの転生者に対峙するのは、白衣を着た男のようだ。科学者系の偉人の転生者だろうか。科学者系は業績がわかりやすいため、多くの場合、強力な偉能力を有している。僕のように物理法則を利用したり、生物や化学物質を自在に操ったりするのだ。


「ククク……カカカカ………コァーッハッハッハァ!! かのジョン・ロックといえども、物理攻撃しかできないようでは、拙者の偉能力の前には無力!!」


 白衣の男は大仰に両腕を広げ、三段笑いをかました。マッドサイエンティストロールだろうか?

 きっと、前世も頭のおかしい方の科学者だったに違いない。


「もう終わりでゴザルかぁ? しからば、神妙にお縄につくでゴザル」


 何より語尾が「ゴザル」とは。チュートリアル用の噛ませ犬みたいなキャラだな。

 教養もなさそうだし、今から真に覚醒したジョン・ロックに無様にやられて、僕が華麗に仇を討つ流れじゃなかろうか。


 んん……よく見るとあれ、チョンマゲっぽい髪形してるぞ。チョンマゲ白衣って、ますますイロモノじゃないか。


 両腕を広げたポーズのまま、ジョン・ロックに一歩ずつ近付く白衣。


「ぐぅぅっ……! まだ、負けない……私は《抵抗権》を行使する!!」


 今にも倒れそうだったジョン・ロックは白衣を睨みつけると、偉能力を発動した。

 全身が赤く輝き始め、刹那、全身を暴風のような悪寒が駆け抜ける。


 これは、まさか、言葉の響きだけで、この偉力を生み出したというのか!?

 全身に溢れる偉圧感、身体能力が爆発的に強化されたことが推測される。僕の《万有引力》でも正面からでは捌き切れない、かもしれない。


「コァーッ!! 命は要らんようでゴザルな! 拙者は逃げも隠れもせぬ、かかってくるでゴザル!!」


 しかし、白衣は余裕の態度を崩さない。


「はぁぁぁぁぁぁぁっ!! 食らえぇぇぇ!! 《人間悟性論》!!!」


 赤く発光したままのジョン・ロックが、ハードカバーの本を振りかぶって、一歩で彼我の距離を駆け抜け、爆音と共に殴打し――


「ぐっあぁぁぁぁぁぁっ!!?」


 その勢いのまま吹き飛ばされた。


 まだ損害を免れていた乗用車に激突し、爆発炎上。手にした本も燃えている。


 何だ、これは。


 一体何が起こったんだ?

 確かに、仕掛けたのはジョン・ロックのはず。白衣は自分からは何もしていない、ように見えた。


「ククク……何が起こったのか、知りたいでゴザルか?」


 僕の疑問に答えるかのように、白衣がジョン・ロックに語り掛ける。



「《作用反作用》って、知ってるでゴザルか?」



「なっ、ま、まさか……」

「……左様」


 驚愕するジョン・ロック。それ以上の驚愕に、絶句する僕。

 白衣は嘲笑うように告げた。


「冥土の土産に聞かせてくれよう。拙者、かの科学者、アイザック・ニュートンの転生者。相座邦夫(あいざくにお)と申す者でゴザル」




 馬鹿を言うな。


 アイザック・ニュートンは、僕だ。

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