#1.初夢~竹取物語
あけましておめでとうございます
1月1日までは毎日更新する……更新するが
更新するのが本編だとは言っていない
むかーしむかし。
ある所に、ミラというそれはそれは可愛らしい小娘がいたそうな。
ミラは竹の群生地に居を構え、そこに根ざして竹を利用して様々な道具を作り、それを販売する事で日々を暮らしていた。
ある日、ミラが何時も通りに竹を伐採すべく竹やぶへと入っていくと、不思議な光景を目の当たりにした。
無数の竹が生い茂る中、一本だけ光り輝く不思議な竹が存在感を放っていたのだ。
不思議に思い、近付いてみるとどうやら竹の一部分が光り輝いているようだ。
「面白い竹ね。持って帰りましょう」
ミラはそう言うと、竹の伐採用として持ち歩いていた小型のチェーンソーのエンジンを起動させる。
チェーンソーが咆哮を上げ、輝く竹の上下を切り裂く!
輝く節の部分はそのままに、輝く竹を大切に抱えてミラは自宅へと戻るのであった。
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「この明るさ、使えるわね」
光り輝く竹を、萱葺き屋根の質素な自宅へと持ち帰ったミラ。
夜になってもその竹は明るさを失わず、恒久的に温かみのある光を自室へと提供し続けていた。
「これがあれば、夜でも照明がいらないわね」
持ち帰った竹の明かりを利用し、ミラは和紙の上に筆を走らせ、新たな発明品の研究をするようになった。
こうして日夜研究を続けて生まれた発明品は下界の村々の人にも好評となり。
発明品を売って得たお金のお陰で、ミラの生活にゆとりが出来るようになったそうな。
しかし、この輝く竹。
不思議な事に、時が経つにつれてどんどん光の強さが大きくなっていったのだ。
切り出して自宅へ持ち帰った時は、火皿に毛が生えた程度の明るさでしかなかったのだが。
今では蛍光灯と同等か、それ以上の明るさとなってしまった。
「……近くに置いておくと眩しいわね。こりゃ、天井から吊るした方が良さそうね」
しかし、光量が上がったのなら相応の使い道がある。
ミラは今度は輝く竹を屋根裏から吊るすようにして使い、ミラの家は昼夜問わず一年中明るい室内となったのだ。
常に明るいので不気味がって魔物や賊といった不届き者も近付かないようになり、ミラの住む家の周りはとてもとても平和になったそうな。
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「……眩し過ぎてまともに直視出来ない……」
それからしばらく経ったある日の事。
屋根裏から吊るした竹の明るさはどんどん強くなり、最早直視する事が困難な程の眩い輝きを放つようになったのだ。
まるでええからさっさと切らんかいこのダボ! と、主張するかのようにである。
部屋の中は明るい、というより白い、と言いたくなる程の光である。
最早その輝きの強さは太陽光とでも言うべき強さになっており、もう室内灯として使うレベルを逸脱した明度になってしまっていた。
光量が強過ぎて、光から発せられる熱量が室内を加熱してしまうので、部屋の中は冬でも真夏の温度を感じる程の暑さになっていた。
「こりゃ駄目ね。ちょっと使い方を変える必要があるわ」
しかし、ミラは引き続き竹を切らずにこの輝きを利用する事にした。
目が潰れぬようにサングラスで目を保護しつつ、天井から竹を取り外す。
竹も非常に熱くなっているので、キチンと手袋で手を保護した。
発明品で稼いだ金を元に、ミラは隣に新たな家屋を建造していた。
その家屋の中にミラは竹を持ち込む。
この眩く輝く竹を中心に据え、その外周をソーラーパネルにて球体上になるよう覆う。
ミラは輝く竹を恒星に見立てた、擬似ダイソンスフィアを構築したのだ。
四方八方、輝く竹の放つ莫大な光。
高変換率を誇るソーラーパネルを通じて太陽光発電を行い、電力に変換した結果。
最早一戸建て如きで消費し切れるような電力量では無くなったのだ。
「この発電量は……流石に驚きね」
輝く竹が放つエネルギー量に舌を巻くミラ。
自宅に備え付けたエアコンやLED照明、更にはクッキングヒーター、果てにはパソコンまでフル稼働させても尚消費し切れない電力量である。
輝く竹を利用した太陽光発電で得た電気をミラは存分に使い、時には近くの住人達に格安で販売し。
ミラは生涯エネルギー問題に悩まされる事無く穏やかな一生を送ったそうな。
めでたしめでたし。
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「――何か、めっちゃ変な夢を見た気がする」
「奇遇ね、私もよ」
リューテシアと共に朝食を取っていた際。
私が見た奇妙な夢をリューテシアに話す。
「おぼろげにしか覚えてないんだけど、何か竹を切ってたのだけは覚えてるわ」
「私は狭い空間に閉じ込められてたわ。私が外に出ようとしてもがこうとすればする程その空間が明るく眩しくなっていったわ」
「変な夢ね」
「だから変な夢だって言ったじゃない」
「ま、所詮は夢よ。どんな夢を見たのかは知らないけど、私達の活動には何ら支障が無いわ」
そう切り捨て、朝食を食べ終えた私は椅子から立ち上がり身体を伸ばす。
「じゃ、二度寝でもしてようかしら」
「暇なら魔石作り手伝ってくれないかしら? 畑をもっと大きくしたいのよね」
「あう」
リューテシアに捕らえられた私は作業部屋へと連行される。
二度寝という希望を奪われた私は、リューテシアに監視されながら魔石作りをやらされるのであった。
全然めでたくない。
じゃ、12月が過ぎてテンション下がったのでまた5の倍数日更新に戻りますニャ
そして続編なんてある訳が無い




