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第7話:vsセラム(解決編)



~~セラム視点~~


「優馬!」

姉様の叫びも虚しくあいつは魔力に飲み込まれそのまま爆音を轟かせて爆発し周囲に巨大なクレーターを作った。

「あ、あぁ…優馬…。」

姉様の悲痛な声が漏れ出る。

私もステータスを5倍にしてたのにあいつに片手で払われただけで残り体力が3桁しかない。もしあの薬を飲んでなかったらと思うとゾッとする。

「…セラム…。」

姉様に呼ばれて私は重たい体を起こす。

「優馬は何も悪くないのじゃ…。なのに何で優馬がこんな目に遭わないといけないのじゃ…。どうしてお主が優馬を狙うのじゃ…。」

姉様が泣きそうになりながら私を問いただす。

「姉様が人間の勇者なんかと結婚するだなんて言い出すからです。そんなの私と兄様だけでなく魔界全土が許すはずないです。だから私がそいつを…」

「だからって殺す必要はなかったのじゃ!」

姉様が私の胸ぐらを掴んで無理やり起こす。

「いくら姉妹とはいえやっていいことと悪いことがあるのじゃ。今回のこれはやって許されないことなのじゃ。セラム、お主覚悟は出来ておるか?」

姉様が鋭い目付きで私を睨み付ける。

殺意の籠ったその目は心に突き刺さるが私は気丈に振る舞い

「あ、当たり前です。姉様に反抗した時点で私は覚悟してたです。」

(そんなもの嘘だ…。本当は恐い…。)

「よく言ったのじゃ。その覚悟と妾の身内ということを考慮してせめてもの情け、一瞬で終わらせてやるのじゃ。」

姉様が右手を放し片手で私を吊り上げ、放した右手に魔力を集中させる。

(恐い…。恐い恐い恐い!)

私は溢れ出る感情を抑える為に歯を食い縛り拳に力を入れる。それでも

(恐い恐い恐い恐い!)

感情の波が止めどなく押し寄せ瞳が潤む。

迫る死の恐怖に抗えない。

「それではセラム、お別れなのじゃ。でも安心するのじゃ、すぐにお主を使わせた兄上も送ってやるのじゃ。」

正気でない姉様が右手を私の目の前にかざす。

「私を殺しても兄様や魔界の人達は納得しないです。姉様に反対する奴は必ず出てくるです。」

最後の強がり…。

「最後までその態度なのじゃな…。」

そして姉様の右手が真っ赤に光りだす。

「それじゃあの。」

(嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。死にたくない。)

言葉は取り繕っても心の底までは制御できない。知らずに頬を涙が流れる。

姉様の右手の光がより一層強くなり、今まさに放たれんとするその時

「ちょっと待ったーー!!」

未だ砂塵の舞うクレーターから消えたはずの声がする。

姉様は放つ寸前の魔力を消して反射的にその声の方向に顔を向けた。

私もゆっくりとその声の方を向くと

「ちょっと待てよお前ら。なに姉妹でおっかねぇ喧嘩始めてんだよ。」

「…優馬……優馬っ!!」

姉様は私を開放して奴の元に走っていった。

「うわっ!な、なんだよサラ急に抱きつくなよ!」

「優馬!優馬優馬!無事で良かったのじゃ。」

姉様は奴に抱きついてわんわんと泣き始めた。

「いやいや全然無事じゃねーって今回のは全身が結構ズキズキ痛むぜ?」

「それでもじゃ。あんな爆発だからもぅ死んでしまったかと思ったのじゃ。」

「それは大丈夫だって。さっき確認したけど体力まだまだ全然残ってるから。」

「そ、そうか。そうじゃったな。妾としたことがお主の能力を忘れておったのじゃ。」

「全くよ、最近見せたばっかしだったろ。」

「すまぬのじゃ。」

姉様は少し恥ずかしそうに笑っていた。

「そんな…あれをまともにくらってもまだまだ余力があるですか…!?」

それにびっくりしたのはセラムだけだった。

姉様の放った『エンドレスサイス』は固定の99999ダメージ。それに対してセラムの元々のステータスは



名前:バルドゥーク・セラム

年齢:14

性別:女


レベル:100

体力:350000

魔力:350000

攻撃:350000

防御:350000

俊敏:350000

回避:350000

幸運:350000




であり、これに『五倍湯』の効果で全ステータスを5倍の1750000にしている。

それの魔力、防御、回避、幸運の値を全て攻撃力に変換し、合計7000000の固定ダメージを与えた。これは魔族最強の姉様ですら耐えられない一撃だ。

それが分かってたから姉様も慌てて、私もトドメをさしたと確信していたのに奴はまだ余力を残してクレーターの底から走って登ってきた。

確かに奴は魔力に飲み込まれた。

あれを回避したということはない。

と、いうとこは私の攻撃をしつかり受けた上であそこに立っていることは間違いなく、それはつまり

「私の…負け…?」

私の一撃に耐えれば奴の、耐えられなければ私の勝ちというルールだ。

私は全力を出して(なお)奴に届かなかったのだ。

完敗だった。

「そうじゃ。優馬は見事耐えてみせたのじゃからお主の負けじゃセラム。そして帰って兄上に二度と邪魔をするなと伝えておくのじゃ。」

私がゆっくり頷き、帰ろうとしたその時にそれはやってきた。

急に全身の力が抜けていく。

そしてその後すぐに全身にピリピリとした痛みが出現しそして

「っ!!アァァァァ!!!」

全身を今まで体感したことのない程の激しい痛みが襲い、抗おうとしても体が全く動かない。

(これは五倍湯の副作用!?こんなにキツいなんて!)

「セラム!?」

姉様が心配して近寄って来るがどうしたらいいかわからずオロオロしている。

「セラムちゃん!」

そして奴も近寄ってきてなんと私を抱きしめた。

(え!?こいつなにをしてるですか!?)

私は痛みに耐えながらも奴の訳の分からない行動に頭は疑問符だらけだった。

やがて痛みと痺れが退いてきたが奴はずっと私を抱きしめたままだった。

「いつまでそうしてるですか!とっとと離れるです!」

「おぉ、もう大丈夫なのか?」

「そうです。だからとっとと離すです。」

「おう、すまん。」

「大体なんで抱きついてたですか?私が動けない内に何を企んでたですか。」

「いやいや、俺はただ他の刺激を与えて痛みを紛らわそうとしただけだよ。ほら、痛い時って手とかで圧迫したり擦ったりして紛らわすだろ?あとは痛みに負けないようにずっと回復を掛けてたんだよ。」

言われてみると体が軽く、3桁まで減っていた体力も回復してるようだ。

「そうですか、それは感謝するです。でもやらしいことも絶対考えてたです。」

「考えてねーよ!?」

「なにっ!?優馬!セラム相手にや、やらしいことをしようとしてたのかの!?」

「いやいやいや!苦しがってる人を見てそんなこと考えねぇよ!それに俺は勝負に負けたんだぜ?そんな権利ねぇよ。」

「え?」

「ん?」

私は奴の言葉に引っ掛かり疑問を向けるとやつも『なんで?』とばかりに首を傾げる。

「えっと、さっきの勝負は私の…」

「勝ちだな。」

「どうしてですか?私はドーピングまでして貴様を殺せなかったですよ?耐えきった貴様の勝ちのはずです。」

「いやいや、勝負のルールは『俺が無抵抗で攻撃を受けて耐えたら勝ち』だからな。俺は攻撃をくらう前にセラムちゃんを打ってしまったからな。あれは俺の負けだ。」

「なっ!?」

信じられなかった。

何も言わなければ自分の勝ちで済んでいたのにこいつは自らの負けだと主調する。

意味が分からない。

「俺はルールや決まりは守るんだ。あれは俺が攻撃を受ける前に攻撃をした。だから俺の負けだ。」

「それだったら私だって試合前にドーピングしたです。それで私は反則負けに…」

「ドーピングは駄目だってルールはないだろ?」

「な…。」

言葉が出なかった。

こいつは何があっても自分の負けを主調する気でいると確信した。

「それにどうしたよ。さっきから聞いてるとまるで負けたい(・・・・)みたいに聞こえるぜ?」

言われて気がついた。

(あれ?どうして私は自分の負けにしようとしてるですか?私の勝ちになれば兄様の命令も達成出来るし、その後こいつをゆっくり処刑も出来るです。私の負けを認める理由がないです。)

「本当はこんなことしたくないんじゃねぇのか?」

奴が問いかける。

私がこいつを殺したくない?

それはない。

奴は姉様をたぶらかしたです。

それだけで殺される理由には充分です。

でも…今はそれを望まない自分もいて、それの存在が少しずつ大きくなってるのが分かる。

おそらくこれのせいで負けを認めるような発言をしていたのだろう。

「仮に…。」

「ん?」

「仮に私が勝ったとするです。」

「仮にも何もそうなんだがな?」

「いいから聞くです!」

「おう、ごめん。」

「仮に私が勝ったらお前を好きに出来るという約束でよかったです?」

「そうだなサラの時もそうだったし。」

「なら私が負けた時はお前の好きに出来るってことです?じゃないとフェアじゃないです。」

「まぁそうかな。」

「なら、お前なら私に何をさせるですか?」

何でこんなことを聞いてるのか分からない。

これも私の心の隅にいる『私の負けだ』と言っている心が言わしているのかもしれない。

「そうだな…。」

奴は少し考えて私を見ながら言った。

「セラムちゃんはそんなムスッとしてるより笑ってた方が絶対可愛い。」

「は?」

「だから俺がセラムちゃんに言うとしたら『ずっとニコニコしろ』かな。」

私は一瞬固まった後顔が真っ赤になっていくのが分かった。

「な、何を言ってるですか!私はお前の命をとると言ってるです。それに対して笑ってろだなんて頭おかしいです。」

「でも俺はセラムちゃんの悲しい顔や苦しい顔は見たくないからな。それが俺のメリットになるんだからそれでいいんだよ。」

駄目だ…。心の隅の『負けたい』と思う心がどんどん大きくなっていく。

それにもし私の勝ちにしてももう私にはこいつを殺せない…殺そうと思うと胸が苦しくなって痛む…。

「それならこの(・・)勝負は引き分けにするです。」

「じゃあどうするんだ?」

「どんな勝負でもいいですよ。勝負内容は自由、勝者の権利は同じです。」

「それじゃあ…えっと…。」

「でも何をやっても無駄です。」

「え?」

「どんな勝負であれ私は勝てないです。」

「それはどういうことだ?」

目の前の男が不思議そうに首を傾げる。

「だって私はもうあなたを殺せないです。」

「え?」

「鈍いですね。私もあなたに惹かれてしまったってことです。だからどんな勝負をしても勝ってしまったら苦しくなる。だから私は勝負が始まってすぐに『まいった』って言うです。だから私は勝てないです。」

「セラム、お主…。」

「ごめんなさい姉様。今なら姉様がこの人に惹かれたのが分かるです。」

「優馬がいい人なのは分かっておるが、お主が優馬を好きになるのは認めぬぞ!優馬は妾の相手なのじゃ。」

「はい、だから私は兄様(・・)の言ってるハーレムメンバーに入るです。」

「兄様って俺か!?」

「兄様では駄目です?それなら『お兄ちゃん』にするですか?」

「よしそれでいこう。」

「やったです。」

「ちょっと待つのじゃ優馬。セラムを入れるのか!?それじゃあ妾と過ごす時間が減ってしまうのじゃ。」

「安心しろって。俺は皆平等に接するからさ。じゃないとハーレムを目指すなんて言ってられねぇだろ?」

「流石お兄ちゃんです。器が大きいです。」

私は言いながらお兄ちゃんの腕に抱きつく。

「そんな褒めんなよ、セラ~。」

「セラ?」

「おう。サラも愛称で呼んでるからなお前はセラムだからセラだ。」

私は心の奥から熱が込み上げてくるのを感じた。

やっぱりこういう結果になって良かった。

「妾はセラムの同行も愛称も認めないのじゃ~~!!」

姉様の叫びが響くが私は気にせずお兄ちゃんの腕に寄り添って言われた通りニコニコし続けた。



名前:一色(イッシキ)世良(セラ)

年齢:14

性別:女


レベル:100

体力:350000

魔力:350000

攻撃:350000

防御:350000

俊敏:350000

回避:350000

幸運:350000


状態:正常(チョロイン)


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