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プロローグ:安価で転生したようです



「カァーカァー」

俺、一色(いっしき)優馬(ゆうま)は今みたこともない大きな城の門の前に立っている。

さっきからカラスの鳴き声が聞こえているがその声のする方にはカラスを10数倍大きくした怪鳥とも呼べる巨大な鳥しかいない。

こちらは見つかってないようだが…。

「おい、貴様。どこから現れた。」

「ここがどこだかわかってるのか?」

今まで触れなかったが、俺が気がついてからずっと門の側には2人の人が立っていた。正確には身長3メートルほどの体にそれぞれ馬と牛の頭を付けてらっしゃる。

「ほんとなんだよコレ。いきなり牛頭と馬頭に絡まれるし、始めの町の近くの草原とか王都とかじゃなくてそれっぽい城からだし…。」

「おい貴様聞いてるのか!」

「我らを無視するとはいい度胸だ!」

2人がそれぞれの得物を振りかぶる

「こんなことならあのサイトでもっと早く試しとくんだった…。だって……」

「「せやあっ!」」

2人の武器が正確に優馬をとらえたーー

バキッ!バキッ!

ーーかと思われたがその武器は砕けてボロボロになっていた。

「なにっ!?」

「我らの武器が!」

「だって……こんなに楽しい(・・・)んだから。」





話は数時間前に(さかのぼ)

普通の公立高校に通う普通の高校2年生である一色優馬は学校が終わると何もない日は真っ直ぐ家に帰るなり部屋に籠ってネットサーフィンをするか漫画やラノベを読んだりアニメを見たりする彼はどこにでもいるごく普通のオタクだった。

その日もいつものように真っ直ぐ帰宅しネットに繋いだ。

昨日の夜は彼がよく利用する情報共有サイト2ちゃん○るで今日の予定を決めてもらう為に安価をしていたからだ。

安価とはアンカーのネット用語で


1.○○でお願いします


2.>>1

わかりました


のように使い

上の文だと1番目に発言した人に対して発言します。という意味になるものを過去の文章ではなく、未来に向けて行うもので


1.>>2

そのバイトやってみます


2.○○ってとこ時給がいいよ


という風に使い、二番の人の紹介する内容を事前に答えを出しておいて後から実行するといった風に使うものだ。


「さ~ってと、どんな答が来たのかなっと。」

俺はワクワクとドキドキとの合わさった変な感じでサイトを開いてレスを探す。


34.>>100

それ明日やってみます。終わったら感想も書きますね。


あった、俺の記事だ。

続く記事を見ていく。徐々に運命の100番が近づいてくる


97.もうすぐ100じゃん34の奴誰か考えたのかよww


98.誰も居ないなら俺が異性の風呂に突撃って書こうかなww


99.いいなそれ(爆)感想書く前に捕まんじゃね(笑)


「好き勝手書いてくれるな…。さて、次が100番だが結局どうなったのか…。」

俺は恐る恐る画面をスクロールすると


100.最近人が消えると話題のサイトのアンケートにきちんと答える。↓URL

http://………………


101.>>100おいおいお前KYかよここは風呂突撃の流れだろJK


102.>>100これはもうお前に風呂行ってもらうしかねえわ(笑)


103.>>102それだ!お前GJ


記事はここまでだった。

俺は貼ってあったURLをクリックしてサイトを開いてみる。

「えっ!?人が消えるサイトって…ここ?」

そのサイトは過去に俺が一度訪れているサイトだった。

俺は以前読んだ記事を思い出していた…。




ある日、いつものようにネットサーフィンをしているととあるサイトが目についた。

そのサイトのトップにはこんな見出しが書かれていた。

『人生をやり直したいあなた。この世界から逃げ出したいあなた。そんな方々に朗報です!簡単なアンケートに答えるだけであなたに新しい世界を!』

「なんだこれ、面白そうだな。」

俺は少し興味を持ってサイトを開いてみる。


『見て頂いてありがとうございます。あなたにはこれから理想の自分を創造していただきます。与えられた数値を自由に割り振って理想を現実に変えましょう。』


その言葉の下にはゲームでよく見るようなステータス画面が広がっていた。

「へぇ〜、面白い。」

俺が早速数値を設定しようとしたその時ー

ブツンーー

「うわっ!なんだ!?」

突然電気が消えた。

数分後電気が戻り下から母さんが上がってきた。

「ごめんねゆうちゃん。ブレーカーが落ちたゃった。」

「またかよ。何したんだよ。」

「ご飯作ってただけよ?でね、レンジの調子が悪いのよ。またみてくれない?」

「また壊したのか?しゃーないな。」

俺はレンジの修理に手間取ってさっきまでのサイトのことをすっかり忘れていた。



「人が消えるなんて信じちゃいないけどそう言われたらなんか怖いな。でも安価でやったし、その『理想の自分』ってやつを考えながらやってみるか。」

俺がステータスを割り振ろうとしたその時ー

ブツンーー

「ってまたかよ母さん!!」

俺は下まで降りてブレーカーを上げるとキッチンに行ってやっぱり調子の悪いレンジを直して再びパソコンの電源を付けた。

「くそ、すっかり遅くなっちまった。」

今日パソコンの電源を入れたのが夕方の5時で、今は8時だ。思ったよりもレンジの修理に時間がかかったせいだ。

俺はもう一度2ちゃん○るのスレを開いて100番に張ってあるURLをクリックする。

………………

「なんだ?結構読み込み遅いな…。」

なかなか画面が切り替わらない。

「なんだよ、さっきまでさくっと開いてたのに。」

俺はイライラしてきて上の更新ボタンを連続でクリックしてやった。

「オラオラオラオラオラオラオラ…(略)…オラオラオラオラァ!」

ついついジョ○ョしてしまったが腕が疲れてきたからクリックをやめた。一体何回クリックしたのかわからないが画面はいまだ通信中のままだ。

「まじかよ、どんだけ混線してんだよ。」

そこから何度かクリックをしてみたが通信中のままだ。

「げっ!もう30分もたってるじゃんか。」

気がつけばパソコンを着けてから30分たつが、俺は更新しかしていない。

その時ちょうど母さんからご飯が出来たから食べにこいと呼ばれた。

「よし、飯を食って帰ってきてそれでも繋がらなかったら明日にしよう。」

俺はパソコンの設定を自動スリープにならないようにして電源を付けたまま下に降りて飯を食った。



俺は飯を食い終わるとすぐに部屋に戻りパソコンの画面を確認した。

「よし、開いた。」

マウスのアイコンはまだ少しロードをしているようでくるくる回ってるがサイトの大半は読み込みが終了し開いていた。

俺は早速画面をスクロールして全体を見ていく。


名前の入力欄、年齢、性別、各種ステータス(体力、魔力、攻撃、防御、俊敏、回避、幸運)これの数値は1が最低限保証され、そこから増減出来るようになっている。

そしてスキル。これは下に一覧がずらっと並べられていて横に『経験値2倍 20』などの数字が表示されており、説明を読むとどうやら取得に必要なポイントで、一番下に表示してあるポイントの分だけ自由にスキルをとれるようだ。またステータスは1ポイントで1上がるようだ。

でも俺がポイントを確認しようとしたらスキル欄は全部表示されていたがその下のポイント欄はまだ読み込めてなかった。

「俺は読み込みを待つのも億劫で、早速名前と年、性別を入力してステータスから振っていくことにした。


体力:1△


この△をクリックして自分の振りたいところでスクロールを止めて決定するタイプのようだ。

「とりあえずMAXはどこだろう?」

俺はひとまず一番上まで数値をあげてみると


体力:99999△


「おお!5桁か。結構上がるな。」

俺はその後も魔力、攻撃、防御と次々とMAXにしていった。

「おいおい、ステータス全部カンストしたぞ?ポイントあといくらあるんだ?」

そろそろロードが終わっただろうと下を見るが

「まだ終わらねぇのか?めちゃくちゃ混線してるな。」

未だにそこだけは読み込み中のままだった。

「まあただ待ってるよりは先に進むか。」

俺は次にスキルを選んでいくことにした。スキルは


『経験値2倍 20 □』


の□をクリックしてチェックを入れていくタイプだった。

「でもこれスキル何個あるんだ?」

さっき下までスクロールしたときも思ったが、スキル欄が異常に長い。無駄にこだわりを感じた。

「まあいいやとりあえず上から順に取っていって、取れなくなった所でいろいろ調整すればいいか。」

俺は上から順にチェックを入れていった。




「おいおいどうなってんだ?」

俺は自分でやった結果に驚いていた。

「どうしてスキル全部にチェック入れれるんだよ。ポイントはどうなってんだ?」

俺は結局全ステータスMAX、スキルオール所持というとんでも状態になっていた。

「どうすんだよこれ、こんなの始めた瞬間から俺TUEEE出来るじゃん。」

俺はゲームや話でも俺TUEEE展開は大好きだったので正直興奮した。

「けどあれかな?これで始めようと思ったらポイントがオーバーしています的なアナウンスがあってやり直しみたいな流れかな?」

しかし確認しようにも未だにポイントはロード中で見れないし…。

「まあいいや、なるようになれだ。」

俺は一番下にあるスタートボタンをクリックする。

『名前:一色(イッシキ)優馬(ユウマ)

年齢:17

性別:男


体力:99999×

魔力:99999×

攻撃:99999×

防御:99999×

俊敏:99999×

回避:99999×

幸運:99999×


スキル:全て取得


これでよろしいですか?


はい いいえ』

俺はさっと見て『はい』を選択する

「ん?99999×?」

俺は数値の後の×が気になったが既に『はい』を押してしまった。もう後戻りは出来ない。

『一色優馬。あなたの望みを叶えましょう。これよりあなたには魔法世界ミッドガルドで新たな人生を歩みます。ミッドガルドでもあなたは数々の困難に襲われるでしょう。それでもあなたは知恵と力を駆使して乗り越えて行くのです。さあ、冒険の始まりです。』

そのアナウンスを読み終えた瞬間、俺の体は光に包まれた。

「んっ…何が起きたん…うわっ!」

次に俺が目を覚ましたとき目の前は見慣れた部屋ではなく、大きな門とその側に佇む巨大な化け物、そして門の奧に見える大きな城だった。



優馬がミッドガルドに転生するのと同時刻、例のスレッドに1つの書き込みがあった。


103.>>34

あなたはそんなことを望んでいないのかもしれない。ですから巻き込んでしまってごめんなさい。せめてあなたに多大なる神の祝福を祈っています。


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