メイリラルド歴890年(1)
あぁ…最悪なことが起きてしまった。
予兆は分かっていた、だからといって私は何も出来ないから…。
後悔した時はもう祈るしかなかった。
* * *
8年前に行なったあの会議で決まった通り、私やラストロンは普段通りに自分の役目を行なっていた。地下の件はすべて母様やお祖母様達がすべて管理している、時々来る母様から今のところ地下は大丈夫だと言っていたけど最近、胸騒ぎがする…特に今日、嫌な感じが消えない。
「はぁ」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
ルークが心配そうに見つめてくる。あぁ…嫌な、感じが…
「おい、本当に大丈夫か…レイラ?」
「だいじょう…」
ドォォォォォォォォォン!!!!
「「!?」」
突然爆発音が聞こえた。
「爆発!?」
「どこだ!?」
急いで窓を開け外を見るけど分からない…只、中庭にいたカズキさんやシンヤさん達も驚いているのが分かる。
「レイラちゃん!」
「エリさん!この爆発は一体…」
そう思ったら突然通話魔法が飛んできた。
『みんな聞いて!!』
この声は母様?
『最悪なことが起きたわ!魔王が封印を破ってリリア様の身体を奪ったの』
え!?それって…
『奴は地上に昇るわ!ラストロンとカイラルドは地上での避難誘導を任せる!、ルークはアランシス様達へ連絡!勇者達は至急準備して終わったらレイラに飛ばしてもらって!』
皆が一斉に動き出した。
* * *
王宮内にいた人達が避難をした後、ついに地上へ初代時の神子の身体を手に入れた魔王が現れた。
「ふ、ふふふあっはっはっはっはっはっはっは!!!!ついにっ!ついに手に入れたぞ!!!あぁ…力が溢れてくる…」
初代時の神子の力…絶望が頭をよぎる。
「優莉!?凄い怪我してるじゃない!?」
「大丈夫よ…すぐ治るわ」
お祖父様に支えられて立っているお祖母様はすごい大怪我をしている、母様と伯父様は?
「レイラ」
「母様!!」
良かった、2人は無事だった。
「さて、ここは勇者の出番だな…真也、莉磨、お前たちが今回の勇者だ。全力でいくぞ」
「「はい!!」」
そう言って6人は走りだした。
「さすが…リリアさんの力、そう簡単には…治りそうもないわね」
「ユーリ、無理するなよ?」
「そうだよ母様」
「勇者もいるからね」
大丈夫なのかな…
「はぁぁぁぁ!!」
「はっはっは!勇者というのはこの程度なのか?くっくっく弱いな!!」
「ふざけんな!」
「メイル・アス・デルス!!!!」
みんなが攻撃しているけど全然魔王には効いていない…このままでは皆の体力だけが落ちてしまう!
「…マリア」
「何?」
「頼みたいことがあるの…」
お祖母様と母様が何か話しているけど私に聞いている余裕など無い、少しでも戦っている皆の守りを強くするためにプロテクトを続けている。
「レイラ、無理するなよ?」
「大丈夫だよ、私にはこれくらいのことしか出来ないからね」
「ぐわぁ!」
「弱すぎではないか!このままだったら世界征服も出来るくらいだ」
勇者達は全員やられて復活まで時間がかかる、魔法で私達の姿は魔王に見えないようにはしているけど…このままではいけないと分かってる、でもどうすれば。
「さぁ行こうか、むっ…いつの間に結界が…そうか、やはり…お前はいつも邪魔をするのだなぁぁぁぁ!!!」
「当たり前でしょう?貴方には消えてもらって早くその身を返してもらうわよ」
「くはははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!やれるものならやってみるといい!!!!」
「ふふ、さぁ…反撃開始よ」
その後、私は奇跡を見ることになる。




