メイリラルド歴880年(1)
第三章スタートです!
時の神子を受け継いで早44年、仕事もだいぶ慣れてきた…ルークも伯父様の仕事を受け継ぎ毎日が大忙しである。最近はよくメイベルのお茶に呼ばれる、最近の話題は恋愛について…今日もその話をしていた。
「レイラは好きな人いないの?」
「いるわけ無いよ、そんな出会いする暇なかったもん。メイベルの方こそいないの?」
「いないわよ、はぁ…私もいつかは他国の姫たちと同じように嫁がないといけないのかしら」
「そういえば、メイベルはメルゼルク王国初の王女なんだよね」
「そうなのよ」
この国ってまだ出来てからようやく3代目の国王が誕生したんだよね、今まで男しか生まれてこなくてメイベルが初めての女児だったんだよね。
「レイラは言われないの?」
「うーん、まぁモルジアナ家の子孫は残していかないとだとは言われてるけど今は神子の仕事が忙しいしゆっくり見つけていけばいいって」
「いいわねぇ」
今の家名はモルジアナだけど一応時と場合によってサーベイトを名乗ることが許されているのはあまり知られていないこと。
「でも一応母様は今忙しいから父様が婚約者ぐらいは見つけるって」
「なるほどねぇ」
――キィィィィン――
歪みって楽しい時間を奪うから嫌いなんだよね
「…お仕事行ってくるね」
「いってらっしゃい、気をつけるのよ?」
「うん」
この時本当に気をつけていれば良かったと思った時にはもう、最悪な事態は始まっていた。
* * *
私とルークは今歪みが起きた場所にいる。
「小さな歪みね」
「そうだな」
――ドォォォン!!!!――
早速歪みを治そうとしたら歪みが爆発音とともに大きくなった。
「「!?」」
歪みの中から何か…黒い塊が出てきた。
『人間…お前は…忌々しき時の神子か…』
あれは…何なの?
「お前は、何者だ」
『我は魔王…古き時の神子に封印され、違う時の神子に肉体を破壊された…そして今…我は憑代を探しているのだ…』
魔王!?まさか…母様が言っていた魔王って…肉体を破壊したのは、お祖母様だったはず…。
『よく見れば、お主の身体…良い魔力をしているな』
魔王の目線は…ルーク!?ルークが危ない!!
「悪いが、お前に俺の身体は渡せない」
『ならば…奪うまでだ!』
「”リスペリアス・アーク”!!」
魔王とルークが戦っている、私はどうすればいい?何をすればいいの?
『中々強いな、ますます欲しくなった』
「そりゃどうも」
再びぶつかり合おうとした瞬間、歪みが更に大きくなり周りのものを吸い込み始めた。
「ルーク!」
「レイラ!」
『クッ!』
あまの強さに私達は歪みへと吸い込まれていった。
* * *
「…うっ」
目を開けるとそこは…地下?
「ここは…どこ?」
「レイラ、大丈夫か」
「うん」
よかった、ルークも無事みたい。魔王は…いた。
『あぁ…これは…』
魔王の黒い塊がある方へ目を向けるとそこには強い結界があった、中には…人が横たわっている。
『クッ…クククッ…ハッハッハッハッ!!!まさか、こんな所に隠された宝があったとはな!!アレを手に入れればあの男などいらぬ』
どういうこと?あれは誰なの?
『ありがたく頂戴するか』
そう言って魔王が結界に近づこうとすると声が聞こえた。
「そう簡単に手は触れさせないわ」
声がした方を見ると一組の男女が居た。
『お前は…久しいな、あの時はよくも我の肉体を破壊してくれたな』
「肉体は破壊したのに魂だけとなって生きていたなんて、驚きだわ…それに、私の孫に目をつけて巻き込むなんてね」
『クククッ…仕方ない、今は手を出さずに時を待とうではないか…クククッ…ハッハッハッハッ!!!!』
そう言って魔王は消えていった。
「二人とも大丈夫か?」
「怪我はないかしら」
「はい」
「大丈夫です…お祖母様、お祖父様」
お祖母様とお祖父様とは私が生まれてすぐに会ったことがあるらしい。
「みんな無事!?」
焦ったように瞬間移動してきたのは母様だった、すごい汗。
「こっちは大丈夫よマリア」
「ありがとう母様、父様…ルークとレイラも大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
「うん、怪我は無いよ」
そう言ったのに何故か母様に抱きしめられた。
「はぁ~本当に良かった、神子の力があるとはいえ心配したわ」
「大丈夫だよ母様」
むぅ…
「そういえばマリア、貴方ここにいたはずじゃなかったの?」
「慌ててきたようだったけど、どこに行っていたんだ?」
「さっきまではここにいたの、でもいきなり歪みが発生して巻き込まれそうになったから咄嗟に瞬間移動したら見知らぬ所に飛ばされて…どこにいるのかを特定して戻ってくるまで時間が掛かったの」
母様、大変だったんだね。
「叔母上方、質問よろしいでしょうか」
「分かってる、結界の中にいる人でしょう?」
「はい」
母様の言葉に頷くルーク、私もずっと気になっていた…そして、私達の疑問に答えてくれたのはお祖母様だった。
「結界の中に眠っているあの人はね、初代時の神子なのよ」
「「!?」」
しょ、初代時の神子!?
「何故ここにいるのかというのは私の一存では話すことが出来ないから勘弁してね?」
「この事は誰にも言っては駄目だからね、ラストロン達にも」
とてつもないことを知ってしまった…。
「ラストロン達には私達が報告しておくわ」
「分かりました」
この後私とルークは地上へと戻された、そういえば…地下の出入口ってどこにあるんだろう。




