メイリラルド歴726年
教会内、今私は人生で一番幸せだと思っている。
「生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
ケイルが言う。
「生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
私たちを祝福する鐘の音…私は今日、マリア・ベル・モルジアナになった。
* * *
アストの家はメルゼルク王国が出来る前から代々ある伯爵家、お祖父様であるリド様は前陛下のご親友で建国と同時に移り住んだとか。そしてアストのお母様で父様の幼馴染で母様の親友のリーフェ様が誕生、けれでもリーフェ様以外は出産できずリーフェ様の婚約者、ホープ様が子爵家の三男だったことから婿としてモルジアナ伯爵家に来たと聞いた。母様が「リーフェのところなんて…世間は狭いわね」と言っていたのを思い出す。
「マリア?疲れたのかい?」
「大丈夫」
「そう?疲れたらすぐに言ってね」
アストは本当に優しい。私より6歳年上の彼、出会った最初は兄のようだったけど…恋心ってすごい。
「まさか、ユーリとルドレイクの子が息子と結婚するなんてね」
「驚きよね」
「リーフェに似なくて良かったよ」
「ちょっと、どういうことよルドレイク」
「まぁまぁ、落ち着いてリーフェ」
さすが幼馴染という感じ。
「アスト君、マリアの事よろしくね?」
「はい、お任せください」
「マリアも、もうすっかり大人になって…小さい頃はあまり構ってあげれなくて心配したのよ?」
「お兄様も、アヤミ姉様もいましたし…神子を引き継いで忙しさを体験して、改めて母様と父様を尊敬しました」
私がそういった瞬間、母様に抱きしめられた。
「本当に、いい子に育って…マリアの頑張りは旅をしていても耳にするわ、りっぱな神子をやっていて誇らしいわ」
嬉しい、それと同時にやはり母様は凄い。さすがは2代目時の神子、魔力が違いすぎる。
* * *
「結婚…したんだ」
「そうだね」
「アストはモルジアナ当主になるんだよね」
「そうだね」
「そして私は時の神子…すごいね」
「そうだね」
何か笑いがこみ上げてきた。
「幸せだな…」
今まで、たくさんの人に支えられてきた…いつか恩返し…できるといいな。
「幸せになろうね」
「あぁ」
この年の嬉しい事はもうひとつあった。
* * *
「おめでとうございます、元気な男の子ですよ!」
「おめでとうアイル姉様!」
「ありがとう」
ついに兄様とアイル姉様との間に子供が誕生した。
「名前は?」
「そうだな…」
私の問に悩む兄様。
「…ルーク」
「ルーク?」
「うん」
「ルークか…いいね」
どうやらこの子はルークと名付けられたみたい。
「初孫ね」
「そうだね」
母様も父様も嬉しそう、初孫…私は叔母になってしまったのね。
「マリアも抱いてみる?」
そう言われて始めて赤ちゃんを抱っこした…可愛い。
この年は本当に嬉しい年だった。




