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異世界召喚されたら時の神子になりました  作者: 森崎優嘉
第二章 3代目時の神子 マリア
34/52

メイリラルド歴725年(2)

ついに結婚式の日がやってきた。


「き、緊張してきたぁ」


そう言うアヤミ姉様に私と、一緒に来ていたアイル姉様は笑ってしまった。


「ふふ…アヤミは王妃様になるのだからね、緊張しないほうがおかしいわよ」

「もっと堂々としていればいいの」


「むぅ…二人とも人事のように言って…」

「貴族と国王じゃ全然ちがうわよ」


そう言ってクスクス笑うアイル姉様。アイル姉様と兄様の結婚式も十分盛大だったのだけど…アイル姉様と兄様が旅をしていた時に参加していたチーム”悠久の剣”のリーダーとサブリーダー…確かエリンさんとルークさん、あの二人の結婚式が兄様達以上の盛り上がりだった…。


「エリンとライトさんの結婚式は別物だよマリア」

「……」


別物…。


「さぁ、もう時間だし私達は席に戻ってるわね」

「がんばってアヤミ姉様」

「うぅ…頑張る」


不安そうなアヤミ姉様にエールを送って私達は会場へと戻った。


「お帰り」

「ただいまラト」


相変わらずラブラブのお兄様達を横目に開式を待った。




   *   *   *




ついに結婚式が始まった。陛下の親族席には前陛下と王妃様、アヤミ姉様の方には元騎士団長とその奥様がいる。


「誓のキスを」


鐘の音と共に結婚式が終わり、次は国民披露、そして最後は披露会のようなパーティーが控えている…大変そう…そういう私も時の神子として婚約者のアストと共に出席しないといけないのだけど。




   *   *   *




無事に国民披露も終わり一番面倒いパーティーの時間となった。王座には陛下と新王妃であるアヤミ姉様が座っている、私達はそれぞれ順番に挨拶をしなければならない。挨拶と言ってもこの国の貴族はみんな前陛下のご友人方なのでホームパーティーのような気軽さ、現に今…


「結婚おめでとう。アヤミ殿、苛ついたらいつでもアランのこと殴っていいから」

「おいこら、何言っているんだラト…アヤミ、こいつの言うことは聞かなくていいからな」

「ラト、そんなこと言ってはダメだよ…陛下、アヤミ、ご結婚おめでとうございます。お幸せにね」

「ありがとうアイル」


このように陛下に暴言を吐いてもみんなは苦笑いをするか呆れている。


「彩美さん、おめでとう!」

「幸せになってね」

「おめでとう」

「おめでとうございます」


勇者4人の言葉にアヤミ姉様嬉しそう。


「陛下、アヤミ姉様、ご結婚おめでとうございます。いつまでもお幸せに」

「ありがとうマリア。アスト、泣かせるなよ?」

「僕がマリアを泣かせるようなことするわけ無いじゃないか、君と違ってね」

「おい…」


アストは陛下と兄様の幼馴染だから本当に仲がいいのよね。

あ、母様と父様の番みたいね。


「二人ともおめでとう、あのアランシスが彩美と結婚だなんて驚いたわ、幸せにね」

「お幸せに」

「あ、そうそう」


戻ろうとした身体を止め陛下に向き直った母様…いつの間にか前陛下が母様の隣に、そのすぐ後ろに父様と前宰相のお祖父様が並んでいた。


「私が初代時の神子リリアから受け継ぐ時、魂の欠片だった彼女からレイフィアから生まれてくる子の名前をアランシスと名付けて欲しい、アランシスの名は世界中を駆け巡るだろう」

「この言葉は俺とレイダリア、ユーリとルドレイクがその場でしっかりと聞いた」

「そしてリリアさんの言葉は実現した…世界を救ってくれた勇者4人に、守りぬいたアランシスに感謝を」


私は今異様な光景を見ている、前陛下、お祖父様、父様に母様が跪いている…陛下も困っている。


「…こちらこそ、守れたのは父上やユーリ殿達の力があったからです…感謝します」


…すごい。


「最後に、この場を借りて謝罪を」


全陛下全王妃やお祖父様が母様や彩美姉さま達に向かい合うように移動した。


「アヤミ、カズキ、マサト、リナ、エリ、そして…ユーリ」


母様達がキョトンとしている。


「こちらの世界の出来事に、異世界人である皆の日常を奪ったことへの謝罪と…世界を支えてくれた感謝を」


勇者4人とアヤミ姉様は前陛下達のの深いお辞儀に動揺していた、母様は…さすがです。


「ライド様、レイフィア、お義父様顔を上げてください。私達は確かに日常が変わりました、ですがこの世界に来たおかげで大切なモノが得られたのだからいいのです」


母様の言葉にアヤミ姉さま達が頷いた。


「…ありがとう」


こうして結婚式は無事に終わった。

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