メイリラルド歴725年(1)
今日は久しぶりにアヤミ姉様とお茶を飲んでいる。アヤミ姉様がこの世界にやって来た当初は私の家に居たけど陛下と会ってなんといつの間にか初代騎士団長を務めていた人の養女になり婚約者となった。ちなみに現在の騎士団長は初代の息子が務めている。
「マリアちゃんは婚約者と最近どうなの?」
「アストと?んー…いつも通りかな」
婚約者のラトとはお見合いという形での対面だったけど気が合った。実はアストの母であるリーフェさんと父様は幼馴染同士で、この世界にやって来たばかりだった母様にとっても親友と呼べるべき存在だと聞いた時は世間は狭いと思ってしまった。
「アヤミ姉様こそ陛下とはどうなの?」
「じ、実は…結婚、しようって…言われたの」
「そうなの!?おめでとう!」
「ありがとう」
良いことが聞けた。
「それでね、前陛下には通話でお話したの」
「どうだった?」
「喜んでくれたよ、王妃様はドレス選びを手伝ってくださるの…一週間後には来てくれるって、それで結婚式にユーリさんとルドレイクさんも招待したいのだけど…大丈夫かな?」
「私の方で言ってみるね」
「ありがとう、お願いね」
これから忙しくなりそう。
* * *
一週間後、初代国王と王妃がやって来た。私はお兄様と少し離れて見ている。
「貴方がアヤミね?初めまして、私はレイフィアよ!気軽にレイフィアと呼んで?」
「は、初めまして、彩美と申します…レイフィア様」
「ユーリと同じ世界から来たのでしょう?いい子ね」
お兄様から聞いていたけど…本当に明るく元気な人なのね、そう思っていたらこっちを見た。
「あら、ラトルク!大きくなったのね」
「お久しぶりですレイフィア様」
「貴方の隣にいる子が?」
「はい、妹のマリアです」
「初めまして、マリアと申します」
「まぁまぁ!ユーリにそっくりね!!」
いきなり抱きしめられて驚いた。あ、アヤミ姉様が初代国王と話してる…緊張してるね。
「レイフィア、落ち着け」
「あら、ごめんなさい。でもライド?こんなにユーリに似ているのよ?あの子がこの世界にやって来た時にそっくり!」
未だに抱きしめられてる…お兄様を見ると諦めろと口パクで言ってる、助けて。
「…本当だな、そっくりだ。ラトルク、ちなみに誰に似た?」
「中は父上似です」
「おー、よかった」
「それはどういう意味ですか」
「本当にラトは外見はルドレイク殿に似ているが中身はユーリ殿だもんな」
あ、お兄様が無言で睨んでる。
「…ゴホン、俺も一応初めましてだな、ライドレシアだ。ライドと呼んでくれ」
「マリアと申します、ライド様」
「…昔はユーリもこうだったのにな…」
…母様。
「アヤミは可愛いからどのドレスも似合いそうね…ふふ、楽しみだわ!」
* * *
『アランと彩美が結婚?おめでたいわね』
「はい、ライド様とレイフィア様が来て手伝ってくれています。それで、アヤミ姉様が結婚式にはぜひ母様と父様にも来て欲しいと…先ほどレイフィア様がお祖母様とお祖父様にも招待状を送っていました」
『そう、私達は大丈夫よ。日が決まったらまた連絡を頂戴』
「分かりました」
母様と父様は来れる、と…アヤミ姉様に伝えないとね、今はレイフィア様とドレス選びをしているだろうから会いに行けそう。
* * *
「じゃあ来てくれるのね!」
「日が決まったらまた連絡をって」
「あら、じゃあ久しぶりにユーリとルドレイクに会えるのね!」
アヤミ姉様もレイフィア様も嬉しそう。
「和樹くんが恵理ちゃんたちも招待したらって言ったから招待状を送ったけど…来てくれるかな?」
「来ると思うよ?」
「久しぶりに会いたいよね!」
「私も会いたい」
どこで何をしているんだろう。
「ふふ」
「ん?」
「マリアが結婚する時は私もドレス選びに参加したいなぁ」
「…そう?」
「うん!」
「いいけど」
「本当!?やったぁ!」
「ふふ、仲が良いのね二人とも」
私達の会話を聞いていたレイフィア様が笑いながら言った。
「マリアは妹ですから!」
「私も、アヤミ姉様は本当の姉のようです」
「ふふ」
「母様も父様も兄様も仕事上家にいないことが多かったので…そんな時にアヤミ姉様やがいてくれて…感謝しているんです。アヤミ姉様が王宮に行ってしまって邸も一時期静かだったのですけど、アイル姉様が来てからは賑やかになりました」
仕事だって分かってたし、暇があれば遊んでくれたけど…やっぱり寂しかった。
「でも、私が神子を継いで…実際に仕事を行なって、暇が無くて…そんな中で暇を見つけては私を構ってくれた母様達を私は尊敬します」
「ふふ…ユーリとルドレイクの娘がこんな立派に成長してくれて嬉しいわ、式にはマリアム達も来るわ…こんな孫ができて幸せね、ねぇアヤミ」
「はい?」
「私にもそんな孫を見せてちょうだいね」
「は、はい!」
結婚式の日が近づこうとしていた。




