メイリラルド歴696年
第二章、スタートです。
母様から時の神子を受け継いで早2年、仕事にも慣れた。
――キィィィィィン――
生まれた時から聞こえた歪みの音、押さなかった私はこの音を聞くたびに泣いていたけど…。
「最近多い気がする…」
最近は歪みが多い…休みがないほどに、母様はこれをずっと続けてきたんだと思うと凄いと思う。今どこにいるのかな、あの母様と父様だから大丈夫だと思うけど。
「さて、行きますか」
瞬間移動し歪みを見ると前回と同じ場所に歪みがあった、それも大きくなっている。
「何かが…起きる?」
絶対に何かが起こる…お兄様と陛下に相談してみよう、そう思いながら歪みを消した。
* * *
「お疲れ様マリア」
「兄様、ちょうどいい所に」
王宮にある執務室に帰ってきたら丁度兄様がいた。
「どうした?」
「実は…」
兄様に最近の歪みの事を話した。
「何かが起きる…魔王は滅んだ…自然に起きる事だとしても…巨大な歪みが発生するかもしれないな」
「巨大な歪み…」
お母様に聞いたことがある…昔、巨大な歪みが発生して魔物が増加して魔王が復活したって。そういえばその時に勇者4人が召喚されたって言ってた…カズキは今王宮で騎士として活躍しているけど他の3人はどこにいるのだろう。
「とりあえずアランに報告だな、これから行くんだろう?」
「うん」
「じゃあ行こうか」
「兄様仕事は?」
「終わってるから大丈夫」
ちなみに兄様はお母様の代と引き続き、神子と人との境界線を担っている。主に神子である私が何をしているのかを伝えたり、歪みで混乱しないように調整したりと今までは父様と二人でやっていた事を一人で行なっている…仕事が多いのにそれを終わらせるなんて、兄様も父様と母様に似て凄いと思う。
そんな兄様は私が神子を受け継いだ年に晴れて結婚、お相手のアイル姉様は本当に優しい人でよく昔兄様達の旅の話しをしてくれる。
「マリア?」
「…はい?」
「大丈夫?ボケっとしていたけど」
「大丈夫です」
私としたことが…とりあえず陛下の執務室に着いた、ノックをして返事が来たので兄様に続いて入る。
「兄妹揃って来るのは珍しいな、どうした?」
「お忙しいところ申し訳ありません陛下」
「大丈夫だ、マリアは父上に似てくれて本当に助かる…隣の男に見習ってもらいたいな」
「今更何を言ってるのアラン。マリア、さっきの話を」
「はい」
陛下に兄様に話したことをそのまま伝えた。
「巨大な歪みか…警戒が必要だな」
「時々封印の様子を見に行くけど力が弱くなっているわけではなかった」
「別の何かが起きるのだろうな…恐らく今回の件はユーリ殿が感づいているだろうな」
あるモノを探すため旅に出た母様。
「陛下は母の目的を知っているのですね?」
「あぁ、それには父上…先代国王、先代宰相も動いているからな」
陛下のお父上である先代国王と私達兄妹の祖父である先代宰相…そういえば現宰相であるケイル伯父様はどこにいるのだろう。
「マリア?本当に大丈夫?」
「…大丈夫」
「これからも歪みが多発するかもしれない、今のうちに休んでおけ」
「はい」
確かに疲れているのかもしれない、お言葉に甘えて早めに帰らせてもらおう。
「では、先に帰り…」
――――キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!――――
「「!?」」
大きな歪みの音だった。
「…兄様」
「あぁ」
「…歪みか?」
「はい…かなりの大きさです」
「マリア、行くよ」
兄様の言葉に瞬間移動で歪みのおきな場所へ行った。
* * *
「なに、あれ…」
私達の目の前にあるのは大きな歪みだった。
「まだ大きくなるぞ!」
「早くしないと!」
私が咄嗟に力を出しても歪みは大きくなるだけ…どうすればいいの!?そう思っていた時懐かしい声が聞こえた。
「落ち着きなさい、マリア…貴方なら出来るわ」
声のした方を見るとそこには…
「か、母様!?父様も!」
「手伝ってあげるからもう少し頑張りなさい」
母様の言葉に再び力を出すとゆっくりと歪みは消えて、何かが落ちてきた。
「何か落ちてくるっ」
私の言葉に母様がそれを見ると驚いた表情をして走りだした。父様も遅れて走りだした…アレは一体なに?…人?…人!?
「兄様!」
「行こう!」
私達も走りだした。
「母様!」
たどり着いた時、落ちてきた人を母様が抱きしめていた。
「母様…その方は?」
「この人は…一代目時の神子」
一代目時の神子!?
「一代目時の神子リリア…ずっと私達が探していた人」
母様がずっと探していた人…それは一代目だったのね。
一代目時の神子リリア、メイリラルド歴492年に起きた巨大な歪みに呑み込まれ行方不明。魂から母様へ時の神子を継承し、魂はどこかに消えた…その魂が本来宿るべき本体が今、約204年ぶりに見つけられた。
「…真っ暗の中、生きているのか死んでいるのかも分からなかった…リリアさんはあの時言っていた…やっと…やっと見つけることができた」
母様が…泣いている。
「マリア」
父様に呼ばた。
「陛下にこの事を」
「あ、はい、分かりました」
私とお兄様とで陛下に報告をした。
「アランシス」
『久しぶりですユーリ殿、ルドレイク殿』
「ライド様からこの際の事は聞いているわね?」
『聞いている』
「じゃあ早速だけど地下に運ぶわね」
陛下との通話を切り母様は私たちを見た。
「神子が板についてきたわね、よくやったわ」
「ありがとうございます母様」
あぁ、久しぶりの母様だ…。
* * *
地下にやって来た、母様曰く
「リリアさんの遺体は魂がなくてもその身に宿る魔力量が多すぎるから地下に封印という形にするしかないのよ」
さすが世界最強と言われた一代目時の神子だと思う。
「とりあえず時々様子見してあとはゆっくり旅でも再開しようかしらね」
「それがいいね」
母様と父様はそう言って帰っていった。
「あの人達は相変わらずだな」
「まぁ母上と父上だから」
そう納得するしか無いと思う。




