メイリラルド歴674年
「オギャーオギャー!!」
「おめでとうございますユーリ様、女の子ですよ!」
そう言われて腕に抱いた生まれたばかりの娘、抱くと分かるけどこの子にも強い魔力を感じる…本人の意思を主張するけどこの子には神子を継いでほしいわね。
「ユーリ、おめでとう」
「ルド、女の子ですって」
「うん、名前決めないとだな」
「ラトルクにも考えてもらわないとね」
あ、笑った…ふふ、可愛いわね。
「母上、おめでとうございます」
「ありがとうラトルク、これで貴方もお兄ちゃんよ」
「…そうですね」
謎の間は気にしないことにしよう。
* * *
マリアと名付けられた我が娘は今日も元気。
「今回はラトルクもいるからかなり楽できるわね」
「助かるよ」
「それは良かったです」
私が仕事でどうしても家にいることができない時はラトルクが面倒を見てくれている、お陰でラトルクはご飯のあげ方もおむつの変え方も完璧、いいパパさんになれる気がするわ。
「あうー」
「ん?どうした?」
「あうあー!」
あらあら兄弟仲がいいわね。
「あうあうー!」
「はいはい」
ふふふ…本当に微笑ましいわね。
「ラトルク、マリアをよろしくね」
「分かった、いってらっしゃい」
「いってきます」
今日はどうしても行かなければならない用事があって仕方なくマリアをラトルクに任せて王宮に行かなければならないのよね。
「はぁ…早く終わらせてくるわ」
「ははは…がんばろうか」
娘との大事な時間を消したアランシスに文句でも言わないとやってられないわ。
「いってらっしゃい」
「あうあー」
息子と娘に見送られ王宮へ瞬間移動した。
* * *
「何の用かしら」
「不機嫌そうだな」
「当たり前でしょう?今回はラトルクがいるから育児休暇を取ったのよ?だというのに…何よ、何の用なのよ、帰っていいかしら?娘を見て癒やされたいのだけど」
まったく…これじゃあ育児休暇の意味がないわよ。
「まぁまぁ」
「はぁ…それで?早く本題に入りましょう」
「あぁ…実はな」
* * *
「ただいま~」
「お帰りさなさいませ」
「あの子達は?」
「ラトルク様はマリア様を寝かしつけにユーリ様のお部屋にいます」
「そう、ありがとう」
ちゃんと一日子守してくれたみたいね。
「ふふ」
「安心したかい?」
「ええ」
マリアの様子を見に部屋に来たけど…あらあら、二人して寝てるのね。それもマリアはラトルクの裾を掴んでいるし…絵になるわね。
「そっとしておこうか」
「そうね」
私とルドは笑いながら部屋を出た。あぁ、どうしてこの世界にはカメラがないのかしら…。




