メイリラルド歴612年(1)
「フハハハハハハハハハハハ!!!!!!世界と共にお前ら人間を消してくれるッ!!!」
「貴様なんかに世界を壊してたまるかッ!!!」
ドォーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
バリバリッ!!!!!!
魔王の宣言通り2年経った今、魔王は動き始めた。そしてそれを食い止めるは2年間でかなり強くなった勇者4人と協力してくれている『悠久の剣』のメンバー。
私?私は魔王が器用に戦いながら操作してくる歪みを消している、決して傍観しているわけではないの。
にしても和樹達勇者は強くなったわね、特に『悠久の剣』メンバーの指導の元特訓したらすごかったもの…さすが勇者ってあの時初めて思ったわ、まぁ…召喚されてきた時点で勇者なのだけど…よく本では複数人のうちの一人だけ巻き込まれただけっていうのもあったしね、あの4人は大丈夫だと思ってたけど。
* * *
「ふっ、中々やるな」
「…これくらいでやられるわけ無いでしょう!」
余裕そうに見えて焦ってるわね魔王、歪みが出てこないもの…歪みの存在自体忘れているかもね。
「これで最後にするか…さぁくらうがよい!!!!!」
「行くぞ皆!」
「「「「「「おおぉぉぉ!!!」」」」」」
ドォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!
…どうなったの?
「まさか…この私が…やられるとは…」
「はぁ…はぁ…これが…俺達の…力…だ」
お互い魔力切れ、体力も残ってないみたいね…決着をつけましょうか、そう思いながら魔王の元へ移動した。
「時の…神子か…」
「えぇ」
「我を…封印するか」
「あら、そんな面倒なことはしないわよ…こうすればいいのだから」
そう言ってた私の手には剣、そしてそれを思いっきり倒れている魔王の心臓に突き刺した…返り血がついたけど気にしない。
「な…る…ほど…な」
「さようなら魔王」
そう言って爆破魔法を唱える。肉片は魔法で着かないようにしていたから服などは大丈夫だけど後ろで何人かが気絶する気配がした。
後ろを振り返ると里奈と恵理、アイルが気を失っていた、真琴と和樹、エリンは顔を真っ青にしているしライトとルークは眉を寄せている。
異様な空気の中、平然と声をかけてくる人がいた。
「ユーリ、血が付いてる」
そう言って顔についた返り血を落とすのはルドと
「肉片の処理は僕がやる」
手際よく魔法で肉片を処理しているラトだった。異様な光景よね…うん。
「ありがとう二人とも、和樹たちもボケっとしてないで恵理達を運んで」
「…んで」
「?」
「なんで…」
なんで?なんでって?
「いくらなんでも…こんな…」
仕方ないのよね
「魔王は時の神子によって封印された、でも封印が解かれ復活した…封印が解かれたのよ?解かれたってことはまた封印しても無理ってこと、だったら肉体を無くせばいい…そういうことよ」
それだけ言って私は歩き出した。
* * *
「ご苦労様、これでまた平和が訪れた」
「今度は封印ではなく肉体ごと消したので復活することはありません」
「…さらりと言うのが怖いよな」
「それを言うならあの空気の場で返り血を拭くルドと肉片処理するラトでしょう」
「いやいやいや!お前ら親子揃って怖いからな!?」
…この世界にきて色んなモノが歪んだ自覚はあるけど。
「明日、式典がある。そこで正式に国から討伐参加者への褒美が与えられる…もちろんユーリもだ」
「褒美だなんて私は欲しい物なんてありませんから、寧ろ私は彼らに与える側です」
「そういうと思ってたさ」
「それで実は…」
明日行われる式典、そこで私は彼らに送るものを陛下に話したら許可がでた、よし。
* * *
「このたび、魔王を討伐してくれた者たちへ感謝を、そしてそなたらに褒美を」
陛下の言葉に私は立ち上がり皆の前に立ち、深く息を吸った。
『大いなる生気の力、我が時の神子よりそなたらに力の加護を』
『悠久の剣』のメンバー、勇者たちの周りが光り吸い込まれていった…これで完了。
「世界中の感謝を貴方達に…お礼の褒美に神子の加護を付けました、このたびは本当にありがとうございました」
ふふ…皆驚いてる、作戦成功ね。
「加護なんて…いいの?」
「勇者4人には巻き込んでしまったお詫びとお礼、悠久の剣メンバーは協力と…息子がお世話になったお礼よ」
そして私はアランシスを見た。
「アランシス、今回陛下は貴方に魔王の件をすべて託しました…それは何故だか分かる?」
「…いえ」
「『もうすぐ生まれてくる子には”アランシス”と名付けてほしいの…きっと近い未来、その名は世界中を駆け巡るわ』この言葉は私が時の神子を継ぐ時、魂だけとなった前時の神子リリアが言っていた言葉。彼女は恐らく魔王の復活を予知していた、そして全てを知っている中で私達にこの事だけを伝えた…実際に今回の件でアランシスの名は世界を駆け巡っている、ありがとうアランシス…これが正解だということが証明された」
こうして式典が終わった。




