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異世界召喚されたら時の神子になりました  作者: 森崎優嘉
第一章 2代目時の神子 ユーリ
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メイリラルド歴611年(4)

「ユーリさんもレイトルに行くんですね!」

「えぇ、そうなの」


私とルドは今ヴィーラという小さな町にいる、そして目の前には観察対象者であるアイルさんがいる。


「良ければ一緒に行かないかしら?」

「え、いいんですか?お連れさんとかは…」

「問題ないわ、レイトルまでは遠いし…魔術師だからって女の子一人で行かせるなんてつまらないでしょう?」

「なんで私が魔術師ってわかったんですかっ?」

「アイリさんが魔術を使い慣れているのを見たからよ」

「ふえっ?」


正直言おう…なんだこのかわいい生き物は。


「恥ずかしいです…」

「ふふふ…それで、どうかしら?」

「お、お願いします」


これで調査が出来る。




   *   *   *




接触も無事に成功して私達は今隣村に向かって歩いている。


「ユーリさんとルドレイクさんは息子さんに会いにメルゼルク王国から来たんですか!そんな遠い所からって冒険者の私が言うことではないですね」

「冒険者に比べては全然よ、アイリさんはチームに入っているのよね?」

「はい!悠久の剣って言うチームです、他のチームに比べて人数も少ないですが…チームのメンバーは私よりもとても強い人達なんです」

「あら、さっきの魔物との戦いを見ると十分強いわよ?」


それに彼女、手紙の通り歪みが見えているわね。ルドとの作戦で少し大きい歪みを放置して観察していたら彼女の目は歪みを見ていた…歪みを直したら驚いた表情をしていたし。

彼女の観察をしながら旅を続けていると村に到着した。


「ここで一旦人休憩、少し経ったら行こう。昼にはレイトルに着く」

「そうね」

「着いたらお別れですね」

「そんな寂しそうな顔しないで?同じ町に居るのだし、すぐ帰るわけでは無いのだからまた会えるわ」


ラトルクに会うのだから絶対に再開するしね。


「そう、ですね」


休憩も終わり、私達は再び歩き出した。




   *   *   *




「わぁ…」

「さすが港町ね」

「凄い混んでるね」


港町レイトルに着いた私達は人の賑わいに驚いていた。


「アイリさんはギルドに行ってチームの人と合流するのだったね」

「はい」

「じゃあお別れね」

「はい…ありがとうございました!」

「こちらこそ楽しかったわ、じゃあまた会いましょう」


こうしてメリアさんと別れた。


「ふぅ」

「お疲れ様」

「結果は出たわ」

「だね」

「今日はまだ会うわけにも行かないし、泊まるところを探しましょうか」


それにしてもさすが港町、店には魚がたくさんある。日本にもこんな感じのところがあったけど、賑わいが日本以上ね。


「ここにしようか」

「そうね」


無事に泊まるところも見つかり部屋の窓から外を見る。考えるのはメリアさんのこと、まさかラト以外に歪みが見える人がいるとは思わなかった。


「明日はさっそくラトに会いましょうか」

「そうだね」


チーム”悠久の剣”

数多くあるチームの中で一番少人数のチーム。しかしリーダーであり『黒剣』と言われるライト・マルカスを始めサブリーダー『神剣』のエリン・ブリスタ、『赤弓』のラーク・アイルド、『氷姫』アイル・メルスク、『無鬼』ラト・コルテス…この5人だけで他のチームの100人以上の力を発揮している。


…ふふ、なんか個性的な人達そうね…会うのが楽しみになってきたわ。




   *   *   *




次の日、朝食を食べ終わりラトルクに会うべく準備をしていた時だった。


―――キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!―――


「キャァァァァァァ!!!」

「魔物だ!魔物が出たぞ!!」

「こいつらッどこから入ってきたんだ!!」

「おいッ逃げるぞ!!」


歪みの音と人々の悲鳴と怒鳴り声が聞こえた。


「ここに歪みがッ」

「行こうッ」


急いで外に行くと魔物と戦っている町の兵士と冒険者達、そしてその向こうには巨大な歪みが見えた。


「兵士たちが魔物を戦っているのは嬉しい事ね」

「急いだほうがいいね」


走っていると歪みの近くで戦っているアイルさんとラト、他のメンバー達がいた。


「ユーリさん!?」

「昨日ぶりねアイルさん」

「どうしてッ逃げてください!!」

「大丈夫よ、ねぇアイルさん…貴方にはアレが見えるでしょう?」


そう言って私は歪みを指さした。


「…はい、見えます…ユーリさんも、見えるんですかっ?他の人には見えないのに!」

「私には寧ろ貴方が見えるのが謎だわ」

「えっ?」


驚いているアイルさんを無視して歪みを直す、ついでにラトと他3人が戦っている奴と残っている魔物も倒しておく、瞬殺で。


「「!?」」

「ちょっ、危なっ」

「ラトルク、細かい歪みがまだ残っているわ…ルドと一緒に瞬間移動で歪みを瞬殺してきなさい」

「え」

「了解」


これでよし。


「えっと、あの」

「彼女とさっきの人が一緒に来た人か?」

「そうなの、ラトと一緒にいたのがルドレイクさん、こちらはユーリさんです」

「はじめまして、皆さんの事は有名ですから知っていますよ」

「おや、そうなのかい?」

「えぇ」


かなり有名だしラトルクからも話は聞いているからね。


「もしかして私の事知ってたんですか!?」

「知ってたわ、だけどアイルさんは自分が有名だということが苦手そうだったから」

「うぐっ」

「よく気付いたね!」


ふふ、可愛い…さて、もうすぐで戻ってくるわね。


「ただいま」

「お帰りなさい二人とも」

「ラトも成長したな」

「まだ一年しか経っていないのにね」

「まったく母上は…あ」

「「「「母上!?」」」」


あ~あ、バレたわね…これが狙いだけど。とりあえず防音の結界を…


「…防音結界?」

「他の人に聞かれたくないからね」


さすが魔術師ね。


「では自己紹介、私の名前はユーリ…ユーリ・ミドル・サーベイト、隣はルドレイク・ミドル・サーベイト。時の神子と片割れと言った方が分かるかしら?」

「時の…神子…」

「まさか…あの?」

「…マジで?…でもラトは」

「ごめん皆、今の名前は偽名で…本当の名前はラトルクなんだ」


申し訳なさそうに話すラトルクに私とルドは見守った。事情を全部説明すると4人は驚きながらも理解してくれた…さすがね。


「ラトが貴族だったなんてビックリだぜ!」

「道理で育ちがいいと思ったよ」

「やはり俺の目に狂いはなかったな」

「だから野宿の時どこか行ってたんだね…歪みを直すために」


ちなみにこの言葉は上からラーク、エリン、ライト、アイルの順である。


「そして、チーム『悠久の剣』に私からその力を見込んでお願いがあります…現在調整を行っている勇者と共に魔王の討伐をお願いしたいのです」

「お願い?依頼ではなく?」

「もちろん討伐後は報酬を出すわ、依頼だと国を通さないといけない…今は一刻を争う非常事態、だから私からのお願い」


意味をかなり省いたから気づくかしら…そう思っていたらライトが笑った、これは気付いたわね…さすがリーダー。


「いいだろう、反対はいるか?」


…反対もいないことで『悠久の剣』も魔王討伐に加わった、陛下に説明しないとね。


「ありがとうございます」



魔王討伐まであと1年。



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